仕事などで毎日忙しくて「効率よく知識をインプットできる方法が知りたい」と思っている人はいませんか? そんな方は、こちらのチャートをたどってみてください。
たどり着いた先が、あなたに合った「インプット術」です。限られた時間を確実に学びに変えるための方法を詳しく見ていきましょう。
【1】拾い読み
「普段から読書をする習慣があって」「通勤時など外で本を読むことが多い」という人には、高速でインプットが進む「拾い読み」をおすすめします。
メンタリストとして活躍するDaiGo氏は、毎日10~20冊もの本を読む習慣をもっているのだそう。しかし、すべての本を最初から最後まできっちり読んでいるわけではありません。自分にとって読む価値があると判断した箇所だけを「拾い読み」しているとのこと。
本の内容には、自分がすでに知っている情報や、現在の自分には必ずしも必要のない情報も多分に含まれています。それらすべてに律義に目を通していては、時間がいくらあっても足りないですし、学びの密度も薄くなってしまいますよね。
拾い読みのキモは「その本を通して自分が手に入れたい知識や情報」を事前に明確にしておくことにあります。こうすることで、「ここは読んでおくべきだ」「ここは読まなくてもよい」という判断が瞬時にできるため、スピードを高めながらも密度の濃い読書が可能となるのです。
まとまった時間がなくてもできるこの「拾い読み」は、バスや電車を待っている時間や通勤中など「スキマ時間」に適した方法と言えるでしょう。たとえば「今日はこの3冊」などと決め、1日のなかのスキマ時間を活用しながら、さくさくインプットを重ねていきましょう。
【2】速音読
「普段から読書をする習慣があって」「家で本を読むことが多い」という人には、内容理解がより進む「速音読」(できるだけ速く読む音読)をおすすめします。
おそらくほとんどの人が、何か文章を読むときは声に出さずに「黙読」しているはず。小中学校の国語の授業のとき以来、音読なんてしていない……そんな方も多いのではないでしょうか。しかし音読の効果を侮ってはいけません。
東北大学加齢医学研究所所長の川島隆太氏いわく、高速で音読を行なうことで、脳内の神経細胞「シナプス」の量が増加し、論理的思考力や記憶力をつかさどる前頭葉が活性化するとのこと。また、医学博士の福井一成氏によれば、耳栓などを使い外部からの音を遮断した状態を音読をすると、骨伝導により自分の声が頭のなかで響くため、集中力が増して暗記しやすくなると伝えています。
黙読に比べると読むのに時間がかかるのが難点ですが、確実にインプットしたい事柄がある場合は、決して悪くない方法のはず。自宅など気兼ねなく声を出せる場所で、少し時間をとって音読に取り組んでみてください。
【3】運動+勉強
「普段あまり読書しなくて」「体を動かすのが好き」という人は、運動しながら勉強してみてください。
筑波大学教授の征矢英昭氏の研究グループは健康な成人36人を対象に、運動条件下(※10分間のペダリング運動をしてもらう)と安静条件下(※何もせず座ってもらう)で、直後の記憶テストの出来がどうなるのか調べました。すると、運動条件下のほうが記憶テストのスコアが有意に高かったとのこと。記憶テストに取り組んでいる最中の脳の様子をMRIで解析したところ、記憶をつかさどる「海馬」周辺の活動が増加していたそうです。
また、京都大学主席合格という実績をもつ教育家の粂原圭太郎氏いわく、自身が運営する塾の受講生たちにロシア語を勉強させた際、座りながら覚えるよりも歩きながら覚えたほうが暗記効率が高かったとのこと。粂原氏は、座ったままでいると筋肉が動かないため脳も働かなくなる一方で、歩き回ると筋肉が動いて脳が活性化するからと分析しています。
普通に勉強するのもよいですが、勉強前や勉強中に運動すると脳がよく機能するようになるようです。ぜひプラスアルファで運動を取り入れてみてください。
【4】青ペンで書きなぐる
「普段あまり読書しなくて」「あまり体を動かしたくない」という人は、「青ペン書きなぐり勉強法」を試してみてください。これは文字通り、得た情報や覚えたいことを青ペンでノートにひたすら書きなぐっていくという勉強法です。早稲田塾創業者である相川秀希氏が考案しました。
勉強の際は、多くの人が黒色のペンを使っていることでしょう。しかし、青ペンが優れているのはその鎮静効果。『人を動かす「色」の科学』などの著書をもつカラーコンサルタントの松本英恵氏によれば、青色には副交感神経を刺激して脈拍や呼吸数を減らす効果があるのだそう。落ち着いた気持ちで集中しながら勉強に取り組めるようになるというわけです。
また相川氏は、ノートにきれいにまとめようとすると「自分勝手な情報の取捨選択」に陥ってしまうと指摘します。自分で勝手に重要だと感じたところだけノートに書く――これでは復習の効率がかえって下がってしまうとのこと。そうではなく、「すべて書く」というスタンスでペンを走らせることで再現性の高いノートが出来上がり、内容の振り返りが楽になるのです。
実際に青ペン書きなぐり勉強法をやってみたライターが、その所感を『どんどん脳に刻まれる! 「青ペン書きなぐり勉強法」が最強のインプット法であるワケ』にまとめています。ノートをきれいにまとめる癖がある人は、だまされたと思って一度試してみてください。
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4つのインプット術を紹介しました。ご自身に合ったものはありましたか?
(参考)
東洋経済オンライン|「速読しないで多読する人」の超合理的なやり方
到知出版社|脳トレの川島隆太さんが実証データ「速音読で、脳の回転速度が速くなる」
AERA dot.|“耳栓して音読”が暗記に効果的 脳科学で苦手を克服!
筑波大学|短期間の軽運動で記憶力が高まる!(PDF)
ダイヤモンド・オンライン|【落ち着きのない子向き】暗記効率がアップし、眠くもならない「アインシュタイン法」
東洋経済オンライン|頭のいい人は「青ペン×A3見開き」だった!
All About|好きな色がもたらす効果とは?色彩心理学を解説!
【ライタープロフィール】
亀谷哲弘
大学卒業後、一般企業に就職するも執筆業に携わりたいという夢を捨てきれず、ライター養成所で学ぶ。養成所卒業後にライター活動を開始し、スポーツ、エンタメ、政治に関する書籍を刊行。今後は書籍執筆で学んだスキルをWEBで活用することを目標としている。