ポモドーロの集中力をさらに高める! 最新の脳科学が証明する、90分の波に乗る「エネルギーマネジメント」入門

ポモドーロで作業する女性ノッてきたところでアラームが鳴り、「25分で終わらせたくない」と集中を断ち切られる。あるいは、何サイクルも回したあとの午後、頭がまったく働かなくなる。

ポモドーロ・テクニック(25分集中+5分休憩)を実践している方なら、一度は感じたことがありませんか。

じつはこれは、意志が弱いからでも、ポモドーロが間違っているからでもありません。脳がもともと持っている「エネルギーの波」と、時間の区切り方がほんの少しズレているだけなのです。

この記事では、脳科学の知見を踏まえながら、ポモドーロ・テクニックのよさを保ったまま、さらに集中力を引き出す「90分の波」のエネルギーマネジメントをご紹介します。

「25分で終わらせたくない」の正体は、脳の90分リズム

私たちの体には、1日(約24時間)周期のリズムだけでなく、それより短い周期で繰り返される生体リズムが存在します。「ウルトラディアンリズム」と呼ばれる、体内でおよそ90分前後の周期で訪れるバイオリズムです。

代表例が、睡眠中に約90分周期で繰り返されるレム睡眠とノンレム睡眠のサイクル。

そして重要なのは、この約90分のリズムが、眠っているあいだだけでなく、起きて活動している日中にも存在すると考えられている点です。

覚醒中にもこのリズムが存在するという考えは、「基礎的休止・活動リズム」として最初に提唱されました(レム睡眠の発見者のひとり、シカゴ大学のクライトマン教授による)。*1

日中の脳にも、覚醒度が高まり集中しやすい時間帯と、覚醒度が下がり休息を求める時間帯が、波のように交互に訪れているということ。

90分ほど作業を続けたあとに、あくびが出たり、そわそわしたりするのは、脳が「そろそろ休ませてほしい」というサインを送っている自然な現象なのです。

集中が切れるのは、根性の問題ではなく脳の生理的な波によるもの。だからこそ、波に逆らうのではなく、波に乗る時間設計が合理的だといえるでしょう。

時計を見てあくびをする男性

ポモドーロ3セット=90分。休憩を「5分」から「20分」に変えるだけでいい

ここで、ポモドーロ・テクニックの構造をあらためて見てみましょう。「25分の集中+5分の休憩」をワンセットとすると、3セットで経過時間はちょうど90分。計算上、ウルトラディアンリズムの活動期とうまく重なるのです。

長めの休憩を挟む発想は、もともとポモドーロ・テクニック自体にも組み込まれています。25分の作業を4回繰り返したあとには、15〜30分の長い休憩を取ることが推奨されているのです(考案者のフランチェスコ・シリロ氏による)。*2

さらに、Dropboxの解説記事でも、25分の繰り返しに慣れて集中力がついてきたら、1回のインターバルを60〜90分に伸ばしてもよいと紹介されています。*3

そこで提案したいのが、次のような「90分単位」のエネルギーマネジメントです。

  • 25分集中+5分休憩を3セット行なう(計90分)
  • 3セットめが終わったら、5分ではなく20〜30分の長めの休憩をとる
  • 回復したら、また次の90分ブロックへ進む

ポイントは、90分頑張ったら「しっかり休む」を先に予定へ組み込んでしまうことです。

脳の波が下がるタイミングに合わせて意図的に回復時間を確保すれば、エネルギーの前借りをせずに済みます。その結果、夕方になっても疲れにくい「脳の回復サイクル」がつくれるでしょう。

とはいえ、「休むと遅れる気がして、つい作業を続けてしまう」という方もいるかもしれません。

これは意志の弱さではなく、将来の回復より目の前の達成感をつい優先してしまう人間の性質によるもの。休憩を先に予定へ組み込む発想は、この性質への対処法としても理にかなっています。

戦略的休息

25分と90分、どちらを使う? タスク別の使い分け

すべての作業を90分ブロックにまとめる必要はありません。おすすめは、タスクの性質に応じたハイブリッドな使い分けです。

25分ポモドーロが力を発揮するタスク
  • メール処理や書類整理などの単純作業
  • 単語や用語の暗記
  • 気乗りしない仕事や勉強の「解き始め」
90分波を活かしたいタスク(ディープワーク)
  • 企画書や提案書の作成
  • プログラミング
  • 難解な資料や専門書の読み込み

短い制限時間は、程よい締め切り効果を生み、先延ばしの防止にもつながります。*2

とりかかりさえすれば作業興奮でエンジンがかかる、というタイプのタスクには、25分の区切りが最適です。

一方、深い思考を要するタスクでは、集中が深まってきたところでアラームに中断されるのはもったいないもの。

ノッてきたら25分で止めず、90分の波を乗りこなすと決めておけば、深い集中を最大限に活かせます。その代わり、90分の終わりには必ず長めの休憩をとる。これがルールです。

なお、短いポモドーロを使う場合は、タイマーが鳴ったらどんなに中途半端でも必ず中断することが、集中を持続させる鍵になります。区切りのよいところまで進めてしまうと、かえって休憩後に集中が途切れやすくなるためです。

スマホを見る休憩は逆効果。脳を回復させる正しい過ごし方

時間を管理するだけでなく、休憩の質を管理することも、エネルギーマネジメントの重要な柱です。

コーヒーブレイク

やってしまいがちなのが、休憩のたびにスマートフォンを眺めること。視覚情報の処理で疲れた脳と眼を、休憩時間にさらにスマホで酷使するのは、休むどころか疲労が蓄積するだけです(精神科医・樺沢紫苑氏による)。*4

脳には、ぼんやりしているときに働き、情報の整理などを行なう「デフォルト・モード・ネットワーク」という仕組みがあります。休憩中までスマホで情報を浴び続けていては、脳を回復させるこの働きが充分に機能しません。

そこで、休憩の長さに応じて次のような過ごし方をおすすめします。

5分休憩ポモドーロのあいだの過ごし方
  • 目を閉じて視覚情報を遮断する
  • ゆっくり深呼吸をする
  • 立ち上がって軽くストレッチをし、血流を促す
20〜30分休憩90分の波の終わりの過ごし方
  • 外に出て軽く散歩をする
  • 目を閉じて瞑想する
  • お茶をいれるなど、仕事や勉強から完全に離れる

共通するのは、スマホを手に取らないことです。脳を情報から解放してあげることが、次の90分のパフォーマンスへの最高の投資になるのです。

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ポモドーロ・テクニックというすぐれた仕組みに、「90分の波」というエネルギーマネジメントの視点を掛け合わせる。それだけで、無理なく1日じゅう高いパフォーマンスを保ちやすくなります。

まずは今日、3セットめのあとに20分の長い休憩を入れてみてください。夕方の頭の軽さが、きっと変わってくるはずです。

よくある質問(FAQ)

Q. ポモドーロ・テクニックと「90分の波」は何が違いますか?
ポモドーロ・テクニックは「25分集中+5分休憩」という時間管理の型です。一方「90分の波」は、脳が本来持っているウルトラディアンリズムという生体リズムのこと。ポモドーロを3セット行なうとちょうど90分になるため、3セットめの後に休憩を長めに取ることで、両者を組み合わせられます。
Q. 90分がんばったら、休憩は必ず20分以上取る必要がありますか?
必ずしも厳密に20分以上でなくてもかまいません。大切なのは、5分程度の短い休憩ではなく、脳が回復しやすいまとまった休憩時間をあらかじめ予定に組み込んでおくことです。15〜30分ほどを目安に、生活や仕事のスケジュールに合わせて調整してみてください。
Q. すべてのタスクを90分ブロックにする必要がありますか?
いいえ、その必要はありません。メール処理や暗記のような単純作業は25分のポモドーロが向いており、企画書作成やプログラミングのような深い思考を要するタスクには90分の波を活かすのがおすすめです。タスクの性質に応じて使い分けましょう。
Q. 休憩中にスマホを見てはいけないのですか?
休憩中のスマホ利用は避けたほうがよいでしょう。視覚情報の処理で疲れた脳を、休憩時間にさらにスマホで酷使すると、休むどころか疲労が蓄積してしまいます。目を閉じる、ストレッチをする、散歩をするなど、スマホから離れた過ごし方がおすすめです。

【ライタープロフィール】
澤田みのり

大学では数学を専攻。卒業後はSEとしてIT企業に勤務した。仕事のパフォーマンスアップに不可欠な身体の整え方に関心が高く、働きながらピラティスの国際資格と国際中医師の資格を取得。日々勉強を継続しており、勉強効率を上げるため、脳科学や記憶術についても積極的に学習中。