「勉強時間0分の人」が「勉強できる人」に生まれ変わるために、今日から習慣にすべき4つのこと

「勉強時間0分の人」が今日から習慣にすべきこと01

学び直しの必要性は感じていても、仕事やプライベートに振り回される毎日で、少しも勉強時間をとれない……という人はいませんか? 

学生時代とは違い、社会人は自ら時間を割かなければ勉強できないもの。勉強の習慣化も簡単ではありません。

今回は、「勉強時間0分の人」が「少しでも勉強できる人」になるために、習慣にすべき4個のことをご紹介します。ぜひ、ご自身の生活に取り入れてくださいね。

まったく勉強しないとマズい理由

「勉強しないよりはしたほうがいいだろうけれど、勉強時間0分のいまでもなんとかやっていけている。本当に勉強しないとマズいのだろうか?」

そうお考えの方に、勉強しないでいるとどんなデメリットがあるのかを説明します。

リクルートワークス研究所が実施した2018年の「全国就業実態パネル調査」によると、自己学習をしている社会人は33.1%。およそ7割もの社会人が勉強していないことが判明しました。同研究所の調査設計・解析センター長萩原牧子氏は、自己学習をする人としない人のあいだに学びの格差が生じる可能性があると指摘。キャリアへも影響を及ぼすだろうと言います。

では、どのような格差が生じるのでしょうか。

『知的戦闘力を高める 独学の技法』著者で独立研究者の山口周氏は、現代は「知識の旬が短くなっている」時代だからこそ、独学は重要だと述べています。

たとえば、マーケティングで分析に使うフレームワークの「4P」。1960年代に提唱されて以後使われてきましたが、企業側視点の分析方法であるため、「顧客が影響力をもつ現代社会では時代遅れ」という指摘もあります(参考:マーケティング・コンサルティング事業のTruestar Consulting Group「4P分析は古いのか?4Pと4Cを組み合わせた戦略とは」)

この例からわかるように、現代では学んだ知識が古いものに変わるサイクルが速くなったと、山口氏は言っているのです。

そのような時代に学び続けることができる人は、常に新しい知識を取り入れ、古い考えややり方を見直すことができます。当然、社会の変化やキャリアチェンジにも対応が可能。逆に、学ばなければどうなってしまうかは、言うまでもないでしょう。

いまからでも遅くはありません。時代のスピードに流されないためにも、学びの習慣を始めませんか?

「勉強時間0分の人」が今日から習慣にすべきこと02

【習慣1】誘惑のない環境をつくる

これまで勉強時間0分だった人が勉強を始めるにあたって、まず集中しやすい環境を整えましょう。勉強以外のことに注意が向かないよう、机の上をきれいにする習慣をつけてください。

こうすすめるのは、独学で東大・ハーバード大に合格した “学びのイノベーター” こと本山勝寛氏。「集中の邪魔をするものはなるべく排除すべき」としたうえで、その筆頭にスマートフォンを挙げます。通知音が鳴ればどうしても気になってしまうので、マナーモードにして机から離れた場所に置くのが鉄則だとのこと。

また、多すぎる付箋や、勉強とは無関係の本など、勉強机の上に物が散らかっているのもNG。プリンストン大学神経科学研究所の研究によって、無秩序な状態が常に視界に入り続けると、脳の認知資源が枯渇し、集中力が低下することがわかっています。研究では、散らかった環境を整理したところ集中力と情報処理能力が改善し、パフォーマンスも上がったそうです。

このように、まずは「勉強だけに集中できる環境を整える」ところから始めましょう。

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【習慣2】If-Thenプランニングで行動する

環境を整えたら、次は “勉強できる仕組み” をつくりましょう。ここで役立つのが、If-Thenプランニングという考え方。ニューヨーク大学の心理学者、ピーター・ゴルウィッチャー氏が発表したメソッドです。

If-Thenプランニングでは、「もし(if)Aをしたら、そのとき(then)Bをする」というふうに行動をあらかじめ決め、ルール化します。

(例)
  • 朝コーヒーを飲んだら(if)、過去問を解く(then)
  • 電車の待ち時間があったら(if)、ポッドキャストを聴く(then)
  • お風呂から上がったら(if)、15分読書する(then)

このように状況と行動を設定するだけの簡単なメソッドですが、その効果は科学的に裏づけられています。

2001年にイギリスで行なわれた実験では、248名の被験者を以下の3グループに分け、運動をするよう指示し、2週間経過を見ました。

  • グループ1……どれくらい運動したのかを報告する
  • グループ2……運動頻度を報告し、運動のメリットについて読む
  • グループ3……If-Thenプランニングを行なってから運動する

その結果、If-Thenプランニングを行なったグループ3の被験者たちが、ほかのグループより2倍も運動習慣の達成率が高かったとのこと。行動するトリガーをあらかじめ決めることで、習慣化しやすくなるわけですね。

食事をする、電車に乗るなど、普段している行動に勉強習慣を組み合わせれば、自然と勉強に取りかかりやすくなるはず。あなたも “勉強できる仕組み” をつくってみてはいかがでしょうか。

「勉強時間0分の人」が今日から習慣にすべきこと04

【習慣3】5分だけ勉強する

勉強の仕組みはつくったが、長時間勉強するのはやっぱり難しい……。そう悩んでいる人は、“5分だけ” でも良しとするのはいかがでしょう。

「たった5分の勉強なんて意味がない」と思われるかもしれません。しかし意外にも、一流大学に合格する人も実際にやっている方法です。ハーバード大学出身のバイオリニスト・廣津留すみれ氏は、ひとつの勉強を5分で終わらせる習慣があったと言います。ポイントは、“脳が飽きる前にやめてしまう”こと。「勉強なんかつまらない」という意識をもたず学習を継続していくためには、これが肝心なのだとか。

1回の勉強時間を短くすることには、達成感を得やすくなるメリットもあります。アメリカの心理学者バラス・スキナー氏が提唱した「スモール・ステップの原理」が働くためです。これは、目標達成のためにするべき行動を小さなステップに分け、ひとつずつ確実にこなしていくと、達成率が上昇するというもの。

心理カウンセラーの中島輝氏は、ひとつステップをこなして「よくできた」と感じることが、脳にとって報酬となると説明します。これを勉強に当てはめて考えると、短時間でも勉強するたびに「よく勉強した」と感じれば、それが成功体験となり「次もやろう」という気になれるということ。

単語を覚える、ポッドキャストを聴く、読書する……など、5分間を目標に勉強を始めましょう。

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【習慣4】勉強の記録をつける

勉強習慣のなかった人が、勉強に取り組み始め、そしてそのモチベーションを維持していこうとするなら、記録をつけるのも効果的です。

『独学大全―絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法』の著者で、独学の達人として知られる読書猿氏は、やる気を支えるために「ラーニングログ」をつけることを提案しています。ラーニングログとは、取り組んだ内容や時間、ページ数などの記録。いわゆる、勉強記録です。

読書猿氏いわく、進捗度や勉強し終えた内容を “見える” かたちにして、ときどき見返すことが大切だそう。こうして達成感を日々得ていけば、突発的に湧いたやる気に頼ることなく、地道に勉強を重ねていくことができるのですね。

記録をとることの効果は、研究でも証明されています。

シェフィールド大学の研究者らが、「記録をとる」ことに関する過去138件の実験から19,951名のデータを統計処理し、メタ分析を行ないました。すると、目標までの進捗を記録することが、目標達成率の向上につながるとわかったのです。記録するだけで目標に近づけるとは驚きですね。

なお、研究によると「記録を他人に公開」すると、さらに効果が期待できるとのこと。ひとりでは勉強が続かないと感じる人も、進捗状況をSNSやアプリで勉強仲間にシェアしてみませんか? “誰かから見られている” 意識が、勉強する意欲を後押ししてくれるはずです。

***
「勉強時間0分」だった人にとって、たとえ5分や10分の勉強であっても、長期的に継続すれば必ず大きな力となります。今回ご紹介したものを参考に、無理せず勉強できる習慣を身につけてくださいね。

(参考)
リクルートワークス研究所|どうすれば人は学ぶのか
ダイヤモンド・オンライン|「独学」できる人しか生き残れない時代になった
Truestar Consulting Group|4P分析は古いのか?4Pと4Cを組み合わせた戦略とは
STUDY HACKER|“極貧” から東大とハーバードに合格した男の「最強の独学術」
DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー|デスクが散らかっていると集中力も生産性も低下する
PRESIDENT Online|発達障害の"こだわりさん"が伝授「飽きっぽい」人が三日坊主を克服できる"ある仕組み"
Psychology Today|The Science of Success: The If-Then Solution
PubMed|Combining motivational and volitional interventions to promote exercise participation: protection motivation theory and implementation intentions
現代ビジネス|塾なしハーバードの母が教える「天才を育てる習慣」「勉強嫌いを作る言葉」
PRESIDENT Online|"仕事も勉強も三日坊主"が治る3つのステップ
ダイヤモンド・オンライン|コロナ禍で大学が休校に…「一人でも挫折しない」究極にシンプルな勉強法
PubMed|Does monitoring goal progress promote goal attainment? A meta-analysis of the experimental evidence 

【ライタープロフィール】
青野透子
大学では経営学を専攻。科学的に効果のあるメンタル管理方法への理解が深く、マインドセット・対人関係についての執筆が得意。科学(脳科学・心理学)に基づいた勉強法への関心も強く、執筆を通して得たノウハウをもとに、勉強の習慣化に成功している。

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