「毎日5分+週イチ報告」という超小さな習慣が、勉強への自信を取り戻してくれた。

アカウンタビリティ(説明責任)を勉強に取り入れる方法

「一応、目的をもって勉強に励んでいる。でも、これ本当に役に立っているのかな……?」

忙しいなか日々の合間に時間を割いて勉強しても、この感覚のままだとモヤモヤしてしまいますよね。

あらゆる勉強法を取り入れ、試行錯誤しているならなおさらのこと。せっかく続いていた勉強習慣の継続も危うくなりそうです。

では、いったい何が問題なのでしょう?

ある心理学者が行なった研究を参考にすると――もしかしたらそれは「責任」が足りないせいかもしれません。

ここで言う責任とは、道徳的な意味ではなく、アカウンタビリティ(Accountability/説明責任)を指します。

米国企業におけるアカウンタビリティは「単に『責任がある』という状態を超え、自身の行動、決定、そしてその結果に対して正当性の証明責任を持ち、結果を引き受けることを意味する」といいます。*1

なんだか、萎縮してしまいそうな内容ですが、どうか安心してください。

今回は、その概念を「誰もが気軽に取り入れやすい柔軟な勉強法」にアレンジしてみました。

筆者自身が実際に試した体験をもとにご紹介いたします。特に、学び続けることに自信がなくなってきた方にご覧いただきたい内容です。

アカウンタビリティの効果を裏づけた研究とは

まずは、冒頭で触れた研究についてお話ししましょう。

Goals Research Summary

ドミニカン大学の心理学者 Gail Matthews 氏の研究では、以下のグループに分けて比較を行ないました。

  1. 目標を頭で考えるだけのグループ
  2. 目標を書き出すグループ
  3. 目標と具体的な行動を書き出すグループ
  4. それを友人に共有するグループ
  5. さらに週ごとの進捗報告を行なうグループ

その結果、目標を書き出した人は書かなかった人より達成度が高く、さらに目標や進捗を他者と共有するほど成果が高まる傾向が確認されたといいます。*2

つまり、アカウンタビリティ――説明責任のプラス効果が裏づけられたということです。

「この勉強が役に立っていない気がする」と感じるなら、何を目的に、何を目標にするのかをはっきりさせたうえで学び、上記5番目のグループのように進捗を他者に共有・報告してみるといいかもしれません。

勉強にアカウンタビリティを取り入れる「毎日宣言・週イチ報告」のコツ

今回は忙しいビジネスパーソンに向け、このアカウンタビリティ効果を "無理なく可能な範囲" で取り入れる工夫をしてみました。

ざっくり言うと「毎日宣言・週イチ報告」の繰り返しです。

ステップ1. 具体的な行動を宣言する

  • 【宣言の内訳】
    → 初回は具体的な目的を宣言
    → 日々においては「今月のテーマ」と「毎日これだけはやる(最小単位)」という目標を宣言
  • 【宣言の仕方】例:
    ・手書きのメモを貼って同居者に宣言
    ・LINEなどで協力可能な友人に宣言
    ・X(旧Twitter)など SNS の1ポストで宣言

ステップ2. 週1回の「定型文」で共有と報告をする

ステップ1をこなしたうえで、週に1回、以下のような定型文を使って他者に報告します。(報告のために文章を考える時間をゼロにするのがポイントです)

【テンプレート例】

  • 進捗:
    → ◯%進行
    → 「やった」「やれなかった」の二択
  • 来週の修正(必要に応じて):
    → 「テーマを変える」
    → 「時間を〇分に増やす」

では、実際にやってみた体験を紹介します。

アカウンタビリティ勉強法を実際にやってみた

筆者が学んだのは、知覚や記憶の仕組みを扱う認知心理学の入門的な内容です。
大学の講義資料として公開されているオンライン教材を読みながら、スキマ時間に少しずつ勉強してみました。*3

学ぶ目的は、「この学問を学習法や仕事術のアイデアに活かすため」でもあり、編集者として「読者が情報をどのように受け取り(知覚)、処理し、記憶するかという脳のメカニズムを理解し、より読みやすいコンテンツを制作するため」でもあります。

ステップ1. 具体的な行動を宣言してみた

ツッコミが激しい家族に向け、手書きのメモを壁に貼りだす方法を選びました。

内容はこちらです。

  • 「今月のテーマ」:人がどのように情報を認識・処理するのかを、認知心理学の基礎から理解する
  • 「毎日これだけはやる」:以下を交互に
    ・オンライン教材を5分だけ読む
    ・前回読んだ内容を5分だけ思い出して書く

アカウンタビリティ勉強法の「宣言」メモを壁に貼りだした様子

ステップ2. 週1回の「定型文」で共有と報告をしてみた

スキマ時間でなんとか勉強をこなし――(以下は5分の想起学習ノート)

スキマ時間で行なった認知心理学の想起学習ノート

日曜日の朝に「共有と報告」を行ないました。
先に貼ったメモに、次の要素を書き足しただけです。

  • 日付と曜日
  • 「やった」か「やれなかった」か
  • 学習した日数
  • 該当期間

以下はその実際のメモです。

週1回の進捗共有・報告を書き加えたアカウンタビリティ勉強メモ

アカウンタビリティの考え方にのっとり、学習日数が少なかった週は自主的に説明責任も果たしました。

赤い文字の部分です。(超簡単ですが)

学習日数が少なかった週に説明責任を記入したアカウンタビリティメモ

こうして宣言したり説明したりするだけで、自分がしっかりと勉強している実感が生まれてきました。

アカウンタビリティ勉強法を試してみた感想

よかった点

宣言してしまうと「今日はやったの?」と第三者に聞かれてしまうので、やらざるをえない状況に自然となっていきます。

また、週1回の報告を前提にしていることで、「まったく手をつけない週」を防ぎやすくなったのも大きな変化でした。

「毎日5分だけ」とかなり小さな単位にしたぶん心理的な負担が少なく、忙しい日でも「これだけならできる」と感じられたのが続けやすかったポイントです。

さらに「頑張っているね」という家族からの一言が、継続の意欲を強く後押ししてくれました。

そして、「この勉強、本当に役に立っているの?」という疑心暗鬼が、「ちゃんと身になる勉強にしていこう」という前向きな意欲に変わったのも収穫でした。

注意が必要な部分

最初、「毎日30分勉強する」という目標を掲げていましたが、貼りだした途端に心理的な圧迫感が生まれてしまいました。

「ちょっと頑張れば手が届く目標」は効果的だと言われますが、見誤ると忙しい日に崩れてしまいかねません。

誰かにとって「少なすぎる」目標でも、別の誰かには高いハードルになることがあります。

最初のうちは、「これなら確実にできる」と思える最小単位まで下げておくことが、アカウンタビリティをうまく機能させるコツです。

***
うまく工夫すれば「アカウンタビリティ」は厳しい自己管理ではなく、"ゆるやかな見守り" の仕組みとして使うことができます。

宣言と簡単な報告だけでも、「誰かに見られている」という意識が自然と行動を後押ししてくれますよ。ぜひ一度、試してみてください。

よくある質問(FAQ)

Q

アカウンタビリティ(説明責任)を勉強に取り入れるとは、具体的にどういうことですか?

A

学習の目的や目標を他者に宣言し、定期的に進捗を報告することです。ドミニカン大学のMatthews氏の研究では、目標を書き出して他者と共有・報告したグループほど達成度が高まる傾向が確認されています。堅苦しい制度ではなく、家族や友人への簡単な共有でも効果が期待できます。

Q

宣言や報告をする相手がいない場合はどうすればいいですか?

A

X(旧Twitter)などのSNSに投稿する方法があります。フォロワーの多少にかかわらず、「公の場で宣言した」という意識そのものが行動の後押しになります。また、勉強系のオンラインコミュニティに参加して報告し合うのも効果的です。

Q

最初の目標設定で気をつけるべきことは何ですか?

A

「これなら確実にできる」と思える最小単位まで目標を下げることが大切です。記事内の実践例では、最初に設定した「毎日30分」が心理的な圧迫感を生んでしまったため、「毎日5分だけ」に変更したところ、無理なく継続できるようになりました。

Q

週1回の報告では何を書けばいいですか?

A

シンプルに「やった/やれなかった」の二択と、学習日数だけで十分です。必要に応じて「来週はテーマを変える」「時間を増やす」といった修正点を加えます。報告のために文章を考える時間をゼロにすることが継続のコツです。

(参考)

*1: JCGR 日本コーポレートガバナンス研究所|「説明責任」は誤訳、Accountabilityの真の意味
*2: Matthews, G.(2015)"Goals Research Summary." Dominican University of California.
*3: maruhi laboratory 比治山大学 社会臨床心理学科 吉田ゼミ|知覚・認知心理学|7: 知覚・認知の情報処理

【ライタープロフィール】
STUDY HACKER 編集部

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