仕事もプライベートも忙しく、「気づけば今日もやりたいことに手をつけられなかった……」という日、ありませんか?
こうした忙しい日常を効率よく進める方法として注目されているのが、RPA(Robotic Process Automation)――いわゆる人間が行なっている定型的な作業を、ソフトウェアロボットが自動化する技術です。この技術によって、これまで手間だった作業が、ほぼ「ほったらかし」で完了するような状況になりつつあります。
ただ、「自動化は魅力的だけど、なんだか難しそうなので、自分には無理かもしれない」と感じてしまう人も少なくないでしょう。そこで今回は、プログラミング知識がなくても使いやすい、初歩的な自動化テクニックをいくつかご紹介します。
手間のかかる作業に追われて、本当に大切なことに時間を使えないと悩みの方は、見て、聞いて、触れてみることから始めてみてください。
自動化テクニック1:ベーシック
まずは、最もベーシックな「メールの自動振り分け」と「メールの自動返信」テクニックからご紹介しましょう。
▶ メールの自動振り分け
Gmail のフィルター機能を使えば、差出人、件名、キーワードなどに基づいた、メールの自動振り分けが行なわれるようになります。
たとえば特定のメールを振り分けたい場合、Gmail を開いて検索ボックスの右側にある「検索オプションを表示」アイコンをクリックします。
すると以下の画像が表示されるので、振り分ける条件(差出人、件名、キーワードなど)を入力します。
ちなみに筆者のおすすめは「含む」項目でのドメイン指定。これだけで、簡単に同一ドメインを同じラベルにまとめることができます。*1
そして、最後に「フィルタを作成」をクリック。
すると以下画面に切り替わるので、ご自身が求める「フィルタの動作」にチェックを入れていきます。
このとき「ラベルをつける」にもチェックを入れ、同時に振り分けるラベルを作成しましょう。
それから再び「フィルタを作成」をクリックして完了です。これでメール振り分けの自動化が、ひとつ完成しました!*1
Outlook にも同様の機能があります *2 ので、ぜひ取り入れてみてください。
▶ メールの自動返信
また、Gmail のテンプレート機能と先のフィルタ機能を使えば、特定の相手に対する自動返信の設定も行なえます。
まず Gmail を開いて右上の歯車のマーク(「設定」ボタン)をクリックすると現れる画面で、「すべての設定を表示」をクリック。
そのあと現れる画面の「詳細」タブを選ぶと「テンプレート」の項目があるので、それを「有効」にしましょう。
そのあと、メール作成時に「その他のオプション」アイコン(︙)をクリックすると、「テンプレート」の項目が表示されるようになります。
そこで――
たとえば以下のような、自動返信に入れる定型文を下書きして、テンプレートとして保存。
次に、前出の「メールの自動振り分け」の説明に出てきた「フィルター機能」を使い、自動返信したい先の条件(差出人、件名、キーワードなど)を記入。
記入したら「フィルタを作成」をクリックすると、以下画面が出てくるので、そのなかの「テンプレートの送信」にチェックを入れて、先に保存しておいたテンプレートを選択します。
そして最後に「フィルタを作成」をクリックすれば、指定条件に合うメールに対して、自動的に定型文が返信されるようになります。すぐに返信できないときでも先方に安心感を与えられるでしょう。
Gmail には登録済の連絡先リストのメンバーだけに自動返信することが可能な、不在時の自動返信機能もあります。*3 Outlook にも同様の機能があるので *4 、あわせてご活用してみてはいかがでしょう。
自動化テクニック2:ノーコードツール
今度は、前項の「ベーシック」よりも少しだけ RPA に近づいてみます。ですが、ITに自信がなくても導入しやすい設計なので心配はいりません。
プログラミング知識不要で自動化ワークフローを構築できることから、ノーコードツールと呼ばれている「Zapier(ザピアー)」をご紹介します(ただし、なかにはプログラミング知識が必要な機能もあり)。*5
まずは、その特徴を見てみましょう。
▶ Zapier の特徴
Zapier は Gmail や Slack、Trello など、連携できるアプリの数が非常に多いことが特徴です。公式サイトによれば、その数なんと7,000以上。*6
ですから、Zapier は次のようにワークフローを自動化することができます。以下は、Zapier 専門家でマーケティングテクノロジストの稲場啓恭氏が挙げている例です。*5
- Googleフォームに問い合わせ
- ⇒Gmailからお客様に受け付けメールを自動送信
- ⇒その内容をGoogleスプレッドシートやNotionのデータベースに格納
- ⇒それを担当者にSlackで通知
また、稲場氏によれば、以下のような「簡単なワークフロー」なら、無料プランの範疇で行なうことが可能だといいます。*5
- 「毎日決まった時間にミーティングの開催通知をSlackに送信」
- 「Gmailの添付ファイルをGoogleドライブに保存」
▶ Zapier にサインアップ
ではさっそく zapier.com にアクセスして、まずは無料プランで始めてみましょう。
メールを登録してパスワードを設定、あるいは google アカウントを使ってログインすることもできます。ログインするとユーザーに関する質問があるのでそれに答え、サインアップが完了。ダッシュボードのページが開かれます。
稲場氏いわく、*5
時間を指定してZapを実行するトリガーもありますので、ここでしっかりと日本時間のタイムゾーンを選択する必要があります。
そこで、右上アカウントのアイコンタップで出てくる歯車マークの「Settings」をクリックして、設定画面を開き――
タイムゾーン(アジア/東京)を選択しておきます。
▶ Zapier の実践
では、ここから実際に、自動化ワークフローを作成してみましょう。
ダッシュボードを見ると、「自動化のアイデアを表示」という項目があります。まず初心者は、こちらから試してみてもいいかもしれません。
「自動化のアイデアを表示」をタップすると、以下のように「始めるためのアイデア」や、お試しプロンプト(AIに対する指示や質問)が表示されます。
つまり、このプロンプトを活用すれば、AIが自動化フローを作成してくれるのです。
筆者は「Gmail で新しいメールを受信したら、Zapier のフィルターを使用してフィルタリングし、Google スプレッドシートに行を追加します」というアイデアを選択してみました。
つまり、新しいメールを受信した際に、Zapier のフィルター(たとえば「見積依頼」というキーワードが含まれているなど)条件に一致するメールだけを、スプレッドシートの表形式データの新しい1行に、その情報が自動的に入力されるような感じです(以下は出力イメージ)。
そこでさっそく、該当のプロンプトを選択してみたら、送信窓にその内容が表示されたので(先の画像参照)、そのまま送信。するとAIが自動的に、以下の自動化ワークフローをつくってくれました。
さらに「試してみる」をクリックしてみると――
このようなワークフローが表示されます。
あとは、これに沿って行なうだけ。ノーコードで、ここまでできてしまうのです。それどころか、自動化ワークフローの作成が、作成の時点で、ほぼ自動的にできてしまった印象です。
ダッシュボードのなかには「人気のテンプレート」なども紹介されているので、慣れないうちは、そのなかから選んでみてもいいかもしれません。
こうした積み重ねを経て、徐々に慣れてきたら、いずれは自分独自の自動化ワークフローの構築ができるはず。まずは、とにかく一度、触れて、試してみてください。
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ノーコードツールは今回紹介した Zapier 意外にも、Power Automate(Microsoft製)や、kintone(サイボウズ製)などがあり、ほかにも新サービスが続々登場しているといいます。
いろいろ試して、自分に合うものを探してみましょう!
*1 Gmail ヘルプ|メールのフィルタルールの作成
*2 Microsoft サポート|Outlook でルールを使用して電子メール メッセージを管理する
*3 Gmail ヘルプ|不在時に自動返信を送信する
*4 Microsoft サポート|Outlook から自動応答 (不在時) を送信する
*5 ツギノジダイ|Zapier(ザピアー)とは できることや使い方・活用例・料金を紹介
*6 Zapier|Explore All Apps
Shinya
大学では経済学を専攻。集中力があり、長時間、長期間にわたって勉強し続けることが得意。現在は、資格試験に向けて効率的な勉強法の情報を収集中。心理学にも関心があり、コミュニケーション力の向上を目指してさまざまなメソッドを学び、実践している。