漠然とした不安に襲われる? 将来や仕事のモヤモヤを解消する方法

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みなさんは、自分の将来について漠然とした不安に襲われることはあるでしょうか。多くの方は、進学や就職などを期に不安を感じた経験がもしかするとあるかもしれませんね。しかし、人生の節目でなくとも、ふとしたときに「自分は大丈夫なのかな……」とぼんやり考えてしまう場合もきっとあるでしょう。

このご時世、今後の状況が誰も予測できない中で、漠然とした不安感にさいなまれストレスを抱えている方もいるかもしれません。そこで今回は、漠然とした不安を解消するための3つの方法をご紹介します。

漠然とした不安を解消する方法1:エンプティ・チェア

誰もが知る作家の芥川龍之介氏も、人生の意味を感じられず漠然とした不安を抱えていました。このことは、彼が遺した記録『或旧友へ送る手記』の中で次のように記されています。

レニエは彼の短篇の中に或自殺者を描いてゐる。この短篇の主人公は何の為に自殺するかを彼自身も知つてゐない。君は新聞の三面記事などに生活難とか、病苦とか、或は又精神的苦痛とか、いろいろの自殺の動機を発見するであらう。(中略)が、少くとも僕の場合は唯ぼんやりした不安である。何か僕の将来に対する唯ぼんやりした不安である。

(引用元:青空文庫|芥川龍之介 或旧友へ送る手記

漠然とした不安について、多くの方は「なくさなければならないもの」と考えているかもしれませんね。しかし、作家でありビジネスコンサルタントの星渉氏は、漠然とした不安を消そうとするのではなく「認めてあげること」が大切だと述べています。

星氏によれば、私たちが不安を消そうとするのは、つまり脳からの警告を無視していることになるのだそう。すると、脳は危険を察知して、余計に不安にさせたりネガティブな気持ちを感じさせようとしたりすると言います。

むしろ漠然とした不安を認めてあげることで、不安をこれ以上大きくしないよう脳に認識させることができるのだとか。そこで、漠然とした不安を認めてあげるためにご紹介したいのが、星氏が提唱する「エンプティ・チェア」です。

エンプティ・チェアの手順は以下の通り。

  1. 自分の隣に、「悩んでいる自分が椅子に座っている姿」をもう1人イメージする
  2. 隣で悩んでいるもうひとりの自分に入り込むようなイメージで、「それはどんな気持ちだろう?」と言葉に出して実際に言う
  3. 入り込んでいた自分から離れて隣に戻り、まだ隣で悩んでいるもうひとりの自分を眺める
  4. 「隣で悩んでいるもうひとりの自分」にアドバイスするとしたらどうするかを考える

この流れを行なうのは、認知心理学において「メタ認知」と呼ばれる、不安を客観的に認識している状態を作り出すためです。客観的に自分の感情を認識することができれば、漠然とした不安感を抱えている状態にストップをかけることがきっと可能になるでしょう。

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漠然とした不安を解消する方法2:エクスプレッシブ・ライティング

漠然とした不安を常に抱えているのは、精神衛生上あまりよくありません。もやもやした気持ちで気分が晴れないと、何をするにもおっくうになってしまいますよね。

そこでオススメしたいのが、「エクスプレッシブ・ライティング」です。エクスプレッシブ・ライティングとは、自分の感情を思いのままに書き出すという手法。アメリカの社会心理学者であるジェームズ・ペネベーカー氏が、1980年代にストレス解消やうつ病治療のために提唱しました。

エクスプレッシブ・ライティングのやり方はとても簡単。自分が感じたことを、正しい文章でなくてもかまわないので素直に、できるかぎり詳細に紙に書き出すだけです。社会心理学者のティモシー・ウィルソン氏は、「書き出す」ことで自分のネガティブな感情を客観視できるため、物事をポジティブに捉えやすくなると述べています。

たとえば、漠然とした不安について「ここ最近、夜になるとなんとなく不安を感じる。いったん不安を感じ始めると少なくとも1時間はそわそわしてしまうし、眠れないことだってある。もしかしたら、仕事をうまくやれるどうか自信がないからかもしれない。でもどうすればいいかわからない。とてもつらい」というように書いてみてはいかがでしょうか。

紙に書いたことで、ただ抱えているだけだった漠然とした不安感が「見える化」されます。すると、「わからないことをいくら考えても仕方がない」と客観的に考えることもできますし、あるいは、「仕事をきちんと進められるように準備しておこう」と考えて実行することができるかもしれません。どちらにせよ、これまでよりも漠然とした不安感に対処しやすくなるはずです。

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漠然とした不安を解消する方法3:「週1回」の親切

漠然とした不安を感じてしまうのは、もしかすると、自分に原因があるのではなく他人に影響された結果なのかもしれません。カリフォルニア大学リバーサイド校のハワード・フリードマン氏とロナルド・リジオ氏が行なった研究によれば、言葉や非言語的態度で不安を表している他人が視界に入ると、自分も同様の感情を経験する可能性が高くなり、脳のパフォーマンスが下がってしまうのだそう。

他人の状況を変えることはできません。しかし、漠然とした不安を感じている自分も他人も同時に癒す方法があります。それは、何でもよいので相手に親切なことをするというもの。カリフォルニア大学の心理学教授であるソニア・リボムスキー氏は、「週に1回」誰かに親切なことをすると幸福度が高まると、自身の研究において伝えています。

また、その親切の内容は変化に富むものであるとなお好ましいのだとか。たとえば「両親へ手料理を作ってあげる」という親切を「毎週」やると決めてしまうと、親切ではなく日常のタスクだと認識するようになるため、効果は落ちてしまいます。今週は両親へ手料理を作り、来週は両親に代わって実家の掃除をするなど、少しずつでもいいので内容を変えるようにしましょう。

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最近、みなさんは誰かに親切なことをしたでしょうか。どんなに小さなことでもかまいません。「両親に手料理を作ってあげた」「友人からの電話で話を聞いてあげた」など、自問自答して考えてみましょう。そうすれば、漠然とした不安感はあたたかい安心感へ変わるに違いありません。そして今後も週に1回は、誰かに親切なことができるよう目を配るようにしてみてください。

***
漠然とした不安と付き合うには、エネルギーをかなり消耗します。お伝えした方法を実践することで、漠然とした不安感が解消され、日々を気持ちよく過ごすことができるようになりますよ。

(参考)
青空文庫|芥川龍之介 或旧友へ送る手記
STUDY HACKER|負の感情を「消そうとする」のは間違い。やっぱり「紙に書き出す」のが最強だった
STUDY HACKER|悪い感情は書きなぐり、良かったことは3つ書き出すーー "2つのノート習慣" で心を整理しよう
STUDY HACKER|自己肯定感は「書いて」高める! 自分に価値があると気づける、3つのノート習慣
ハーバード・ビジネス・レビュー|他人がまき散らすストレスに"感染"しない4つの方法
STUDY HACKER|今週誰かに親切なことをしましたか? ーー幸せになるために自分に問いかけるべき4つの質問。

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