「秋になるとやる気が出ない人」の特徴3つ。脳科学的に正しい“エネルギー切り替え習慣”

オフィスでクリップボードを持ち、笑顔でガッツポーズする女性スタッフ

朝のアラーム。夏なら飛び起きていたのに、秋になると布団が重力の倍に感じる。しかも、慌てて起きても頭はボーッとしたまま。コーヒーを飲んでも、気持ちが仕事モードにならない。

挙句の果てに「自分、ダメ人間かも......」と落ち込む始末。ちょっと待ってください。それ、あなたのせいじゃありません。じつは脳科学的に見ると、秋は日照時間が夏より短くなるこの時期、脳内では "ある異変" が起きているのです。

でも大丈夫。やる気を出す方法があります。まずは、今日から実践できる具体的な対策から見ていきましょう。

脳科学的に正しい“エネルギー切り替え習慣“

脳は環境の影響を受けやすく、ほんの少しの刺激でもパフォーマンスが大きく変わります。ここからは、誰でもすぐに実践できる「脳をエネルギーモードに切り替える3つの習慣」を紹介します。

1. 朝の光を浴びる

朝起きたらまず、15 〜 30分ほど自然光を浴びてみましょう。 日光は、脳内でセロトニンを分泌させる最強のスイッチです。セロトニンは夜になるとメラトニンへ変化し、「朝の光 → 夜の眠り」という健全なリズムを整えてくれます。

2. 軽い運動で脳を起こす

秋は気温の低下により代謝が下がり、血流も滞りやすくなります。 そのため、朝のウォーキングや5分のストレッチなど、「軽く体を動かすこと」が脳への起動信号になります。
運動によって分泌されるBDNF(脳由来神経栄養因子)は、脳細胞の成長や記憶力を高め、集中力をアップさせることが研究で確認されています。

3. 小さな「完了リスト」で達成感を積み重ねる

秋は季節の変化によって脳の「報酬系」が鈍りやすく、大きな目標だけを見ていると途中で挫折しやすくなります。そこで効果的なのが、「今日できたこと」を書き出す習慣です。

「メールを返信した」「近所を散歩した」など、どんなに小さなことでも構いません。 脳科学的には、小さな達成感の積み重ねがドーパミンを分泌させ、次の行動への意欲を生み出すことが証明されています。

これらの習慣が効果的な理由は、秋特有の「やる気が出ない症状」に、じつは3つのパターンがあるからです。あなたはどのタイプに当てはまるでしょうか?

木々の緑の中、白いウエアで朝日を浴びながら軽くジョギングする女性

秋にやる気が出ない人の「あるある」3パターン

1.  日照時間に左右されやすいタイプ

「夏は早起きできたのに、最近は起きるのがキツい」

じつはこれ、脳が勘違いしているだけなんです。秋になると日の出が遅くなり、朝の光を浴びる時間が短くなります。 このとき脳内では「眠りを誘うホルモン」であるメラトニンの分泌が長引き、結果として朝の目覚めが悪くなったり、日中に眠気が残ったりするのです。 

実際、アメリカ国立精神衛生研究所(NIMH)によると、日照時間の減少はセロトニン(気分を安定させる神経伝達物質)の分泌低下にも影響するといいます。*1  そのため、秋になると自然と「朝がつらい」「頭が重い」と感じやすくなります。 

つまり、あなたが怠け者になったわけではなく、脳が「省エネモード」に勝手に切り替わっているだけなのです。

2.  体内リズムが壊れやすいタイプ

夏の間は夜更かし気味でも活動できた人も、秋に入ると生活リズムが合わなくなります。これは気温の低下に加えて、体内時計(サーカディアンリズム)が乱れるためです。つまり、体温・ホルモン・代謝などを調整している体内時計が、季節の変化に追いついていないことが原因です。

また、集中力や判断力が低下すると、モチベーションにも影響が出ます。「寝ても疲れが取れない」「仕事に集中できない」といった現象は、まさにこのリズムの乱れのサインなのです。 

3.  気分の落ち込みをため込みやすいタイプ

秋は、ネガティブな感情が増えやすい季節でもあります。多くの人は、秋と冬に日が短くなると「落ち込んでいる」と感じ、日照時間が長くなる春には気分が良くなるそうです。

特徴的なのは、「やる気が出ない自分」を責めてしまうこと。しかし、これも脳の仕組みから見れば自然な反応です。セロトニンの減少により、「自己評価」を担う前頭前皮質の活動が低下し、自己否定的な思考が強まりやすくなるからです。

これら3つのタイプに共通しているのは、「やる気を出そう」と頑張るほど空回りしてしまうこと。その理由は、脳のやる気スイッチが想像とは全く違う場所にあるからです。

寝起きのだるさで目を閉じ、ベッドの上で髪を押さえる女性

やる気スイッチは"感情"ではなく"環境"にあった

「やる気を出さなきゃ」と感情面でなんとかしようとする人ほど、空回りしてしまうもの。じつは脳の研究では、やる気を左右するのは「感情」よりも「環境」であることが明らかになっています。

実は、先ほど紹介した3つの習慣が効果的なのも、この原理に基づいているからです。朝の光、軽い運動、小さな達成感——これらはすべて「外部刺激」を通じて脳の「覚醒モード」を司るRAS(網様体賦活系)を活性化させる方法なのです。

RAS (網様体賦活系)

脳幹にある神経の集まりで、外部からの刺激をキャッチして脳全体を覚醒させる「目覚めのスイッチ」のような役割を持ちます。光、音、温度などの環境刺激がRASを活性化させると、脳は自動的に「活動モード」に切り替わります。

前出の習慣を実際に試してみると、想像以上の効果を感じました。朝の光を浴びる、部屋を整える、BGMを変える——こうした環境調整を意識するだけで、「やる気を出そう」と気合を入れるよりもずっと自然に、頭がスッキリと冴えてくるのです。

ここで重要なことは "やる気を出す" よりも "やる気が出る環境を整える" という発想の転換です。脳は思っている以上に外部刺激に敏感で、環境が整うと自然と集中モードに切り替わります。逆に、雑然とした空間や暗い部屋では、やる気の回路が抑制されてしまうのです。

***

秋の朝、布団から出られない自分を責める必要はありません。それは脳が季節の変化に適応しようとしている、ごく自然な反応です。 明日の朝も、きっと布団は重いでしょう。でも、それでいいのです。季節と脳の仕組みを味方につけて、ゆっくりと自分のペースを取り戻していきましょう。

(参考)

*1  メイヨークリニック|季節性感情障害(SAD) - 症状と原因 -

【ライタープロフィール】
橋本麻理香

大学では経営学を専攻。13年間の演劇経験から非言語コミュニケーションの知見があり、仕事での信頼関係の構築に役立てている。思考法や勉強法への関心が高く、最近はシステム思考を取り入れ、多角的な視点で仕事や勉強における課題を根本から解決している。

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