「感情的すぎる」のはダメ。「無感情」でも成功できない。社会人は “気持ち” をどう表すのがベスト?

感情的でも出世する方法01

職場などで受け入れられにくい、感情的な言動。「非論理的」「突発的」など、よくないイメージをもつ人も多いのではないでしょうか?  

しかし、仕事で感情を積極的に表現するメリットは意外にも多く、なんとあなたの出世によい影響を及ぼす場合もあるのです。今回は、感情をどのように表現すれば仕事での成功につながるかをお教えします。感情的になることは悪いとは言いきれない、ということをぜひ知ってください。

【メリット1】共感力が育つ

感情的になることで鍛えられる力があります。それは「共感力」です。

ハーバード大学のDavid Comer Kidd氏とトロント大学のEmanuele Castano氏が行なった実験で、被験者は文学作品を数分間読んだあと、他者の行動からその心理を想像・理解する能力を測るToMテストを受けたそう。感情がいかに「共感する力」に影響するかが焦点となったこの実験の結果、「楽しい」「悲しい」といった感情が強くなるほど、ToMテストの点数が上昇しました。つまり、強い感情によって共感力が育まれると証明されたのです。

共感力は、ビジネスパーソンにとっても重要な力です。たとえばあなたが、自社の商品について顧客から意見をヒアリングすることになったとしましょう。ここで得られる情報は、まさしく「生の声」。自社の商品企画にとって大事な材料です。

もし「仕事だから」と感情をもたず淡々としていたら、顧客の気持ちに共感し、顧客目線で自社の製品をとらえることは難しいでしょう。一方、顧客に寄り添い「この商品のここがいい感じ!」「でもここは難点だよね」などさまざまな感情をもってコミュニケーションをとれば、その商品の課題が見えてくるはず。それをふまえて調査結果を提出すれば、自社に大きく貢献できる優秀なビジネスパーソンだと評価されるに違いありません。

感情的でも出世する方法02

【メリット2】仕事相手と信頼関係を築ける

日々の仕事のプレッシャーに押し潰されないためには、感情を定期的に爆発させることが必要です。ここで言う「爆発」とは、自暴自棄な行動をとることではなく「自分らしさを最大限に出せる時間をつくる」という意味。

感情を思いきり表すことは、自分が普段何を考えているのか、あるいは何に不満をもっているかを示す貴重な自己表現の機会になりうるでしょう。起業コンサルティングなどを行なう株式会社NEO SHAKE HANDS代表の清水久氏は、共著『挑戦と成長を諦めたくない人の目標達成術』で、どうすれば自分らしい感情を最大限に出せるかについて具体的な事例を示しています。

会社勤めを経て独立した清水氏は、会社員時代の上司がすぐに「口撃」してくる面倒なタイプで、「こんな上司にはなりたくない」という思いで仕事を続けてきたそう。しかしあるとき、「上司は嫌なことをしようとしているのではなく、私のためにという良心から厳しいことを言うのではないか」と思い、正直な感情を上司へ打ち明けてみたのだとか。そのコミュニケーションのなかで、上司の人間らしく魅力的な一面が垣間見え、考えを改められたそう。その後の信頼関係に大きく影響したとも述べています。

このように、苦手な人にも感情を見せて心からの会話をすれば、その人に対するイメージが変わり信頼関係を築けることがあるのです。職場での人間関係がよくなれば、仕事もきっとスムーズに進むに違いありません。

感情的でも出世する方法03

【メリット3】仕事の評価が高くなる

「何度言えばわかるんだ」「やる気があるのか」といったネガティブな発言は、周囲に悪影響を及ぼします。心理学者で経営コンサルタントのマルシャル・ロサダ氏による研究だと、低業績のチームではネガティブな発言がポジティブな発言の3倍以上確認されたそう。極端に主張的で、内向きな発言が目立ったと言います。

実際にそのような場面に遭遇して困った経験がある人もいるでしょう。ですが、この状況を解決するばかりか、みなさんの出世にもつながる方法があります。単純に、ネガティブではなくポジティブな感情を職場で伝播させればよいのです。

ノースカロライナ大学のバーバラ・フレドリクソン氏によれば、ポジティブ感情の高い社員はそうでない社員よりも、1年半後の評価や給料が高い傾向が見られるそう。また、7年間で1,200人の被験者を対象にした研究においても、仕事で充実を感じ高い学習意欲をもつ「幸福度の高い」社員は、そうでない社員と比較して長期的に高いパフォーマンスを挙げると証明されました。

ポジティブな感情を職場で伝播させるには、たとえば「契約がとれたのはきみのおかげだ」「大変だろうけど一緒に頑張っていこう」といった、相手を肯定するようなコミュニケーションを多くとるように心がけるとよいそうです。自分がポジティブな感情をもてば、職場での評価が高まり、出世もしやすくなることでしょう。

感情的でも出世する方法04

仕事で成功するための感情コントロール法を知っておこう

一度に多くのタスクが舞い込んできたり、人間関係がうまくいかなかったりと、職場はストレスの温床。嫌な感情を抱きがちですよね。感情を出すことにメリットがあるとはいえ「やっぱり仕事で感情的になるなんて、大人げない」と思う人もいるかもしれません。

たしかに、度を超えた感情表現は考えものです。女性向けにキャリアコンサルティングを行なう川崎貴子氏によれば、特に「怒り」の感情は突然押し寄せてくるもの。ほかの感情に比べると、内省する一瞬の余裕もない場合が多いのです。

そこで川崎氏がすすめるのが、「アンガーマネジメント」の実践。アンガーマネジメントでは、怒りが押し寄せてきたときに6秒間待ち、さらにその場を離れる行動をとります。

出世はたいてい、仕事の成績で決まります。怒りの感情の過度な表出は、まわりから「感情の起伏が激しい人だから、仕事を任せにくい」「自分のことしか考えていない」と評価されることを助長しかねません。これまでお伝えしてきたように、感情を表に出することのメリットは多くあります。しかし、度が過ぎると職場での出世や社会での成功を妨げてしまう大きな壁にもなりうるのです。

突発的に怒りの感情が押し寄せてきても、それは一時的なもの。そう理解してアンガーマネジメントを行なえば、バランスのよい感情表現ができるようになり、仕事力アップにもつながるでしょう。

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感情の出し方をコントロールすべき場面もあります。しかし、つい感情が出てしまったからといって自分を責め続けず、多くのメリットがあることを思い出してくださいね。

(参考)
NIKKEI STYLE|ロジカルシンキングだけでは通用しない「非合理な職場」
ITmedia ビジネスオンライン|感情を忘れたビジネスマンは出世しない
Kidd, David Comer and Emanuele Castano (2013), "Reading Literary Fiction Improves Theory of Mind," Science, Vol. 342, Issue 6, pp.377-380.
清水久・須崎雄介(2019), 『挑戦と成長を諦めたくない人の目標達成術』, 合同フォレスト.
幻冬舎ゴールドオンライン|「感情を爆発させたサラリーマンこそ出世する」本当の理由
一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会|Chapter9 パフォーマンス向上を促す職場をつくる
リクナビNEXTジャーナル|「すぐカッとなり感情コントロールができない…」職場で役立つ感情コントロール法とは?

【ライタープロフィール】
YG
大学では日韓比較文学を専攻し、自身の研究分野に関する論文収集に没頭している。言語学にも関心があり、文法を中心に日々勉強中。これまでに実践報告型の記事を多数執筆。効果的で再現性の高い勉強法や読書術を伝えるべく、自らノート術や多読の実践を深めている。

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