海外研究が証明「先入観がパフォーマンスを下げる」 避けるには “3つの方法” が効果大

バイアスやステレオタイプに悩まない方法01

「自分は学生時代に数学が得意でなかったから、きっと数字を扱う仕事は苦手だ」
「自分は外国語がうまく話せないから、海外勤務はできないだろう」
このように、ある特定のことに対して「自分にはできない」「自分とは合わない」といったイメージをもっている人は、ビジネスにおける自分の可能性をいつのまにか狭めてしまっているかもしれません。

自分の行動や可能性に限界をもたらす大きな原因のひとつが「先入観」。この記事では、「先入観」がもつネガティブな影響と、その影響を克服するコツについてご紹介します。

無意識に「思い込み」していませんか?

誰しも「自分にはできない」「自分とは相性が悪いはず」という先入観によって、物事を判断してしまう場面はあるはず。しかし、そうしたマイナスの「先入観」は、実際のパフォーマンスに対してネガティブな影響を及ぼします

イングランドのアングリア・ラスキン大学准教授マグダレナ・ザヴィシャ氏によれば、このネガティブな影響は心理学において「先入観の脅威(stereotype threat)」と呼ばれているそう。これは、自分の属している国籍や人種、性別といったカテゴリごとに「これは苦手」「これはできない」というイメージを抱き、そのイメージの対象に恐怖を抱くことを指します。

たとえば、「女性は数学が苦手だ」というイメージがあるせいで、女性が数学に対して本当に苦手意識をもってしまう……あるいは「男性は繊細にはなれない」というイメージがあるせいで、男性が繊細な作業を避けてしまう……など。

そしてよくないことには、先入観は実際の結果にも影響します。ノースウェスタン大学の研究者が2005年に行なった研究では、男性の被験者グループが「社会的感受性」という名前と「情報処理試験」という名前で同一内容の試験を受けた際、「社会的感受性は女性が得意とするスキルだ」と思い込んだことで、前者の点数が下がってしまったことが実証されています。脳の認知機能に変化が起こったのです。

前出のザヴィシャ氏は、「先入観」のもつ悪影響はどのような人にも当てはまり、またそれによって悪い循環を生みかねないと指摘しています。仕事でパフォーマンスを下げないためには、こういった自分が知らず知らずのうちに抱いているマイナスの「先入観」に対して、うまく対応する必要があると言えるでしょう。

バイアスやステレオタイプに悩まない方法02

「先入観」による悪影響は乗り越えられる

では、「先入観」が実生活に与えるネガティブな影響を避けるには、どのようなことに気をつければよいのでしょうか。3つの方法をご紹介します。

【方法1】ロールモデルを見つける

ザヴィシャ氏は、ネガティブな先入観を戦略的に克服するテクニックとして「ロールモデルの設定」を挙げています。自分に身近なロールモデルの活躍する姿を基準とすることで、自分に対するネガティブな先入観を排除するというわけです。

サンディエゴ州立大学の研究者らが2009年に行なった研究では、アメリカのオバマ元大統領の台頭により、オバマ氏がアフリカ系アメリカ人にとってのロールモデルとなったことで先入観からの悪影響が弱められ、被験者らの学業成績が大きく向上したという事実が明らかになりました。

このように、身近にロールモデルがいれば、ネガティブな先入観の影響をあまり受けずにすむはず。

たとえば、自分が一番信頼できる、部署内で最も優秀な先輩をロールモデルに設定してみるというのもひとつの方法です。「自分がロールモデルにしている先輩は、英語が苦手だと言っていたにもかかわらず、海外での商談で積極的にコミュニケーションをとり活躍している。自分も英語ができないと思って避け続けていたけれど、先輩を見習わなければ」といった具合で先入観と向き合えば、スキルアップを図ることができるでしょう。

【方法2】自分の先入観を徹底的に洗い出す

リーダーシップトレーニングやコーチングを提供する米MTI社社長のモニカ・タクラール氏は、人間の思考処理のうちほとんどは無意識で行なわれていることから、誰しも知らないあいだに先入観を抱いてしまっていると指摘します。そんななか、先入観のネガティブな影響を最小限に留めるには、無意識の先入観を意識下においたうえで最善の選択をすることが必要だそう。

タクラール氏は、先入観に気づく具体的な方法として、マインドフルネスを実践したり他者からフィードバックをもらったりすることをすすめています。自分で先入観に気づけなかった場合には、仲のよい職場の同僚や学生時代の友人に、自分がどのような先入観を抱いているように見えるかを尋ねてみてください。

たとえば同僚の話から、「自分はコミュニケーション能力が低い」という先入観をもっていて、そのせいで業績が実際に下がっている現状に気づいたとしましょう。このとき、先入観自体をすぐになくそうとしなくても問題ありません。「以前、チーム内でうまく立ち回ることができなかった」など、先入観が生まれるに至った経緯や原因のほうを明らかにするのです。そうすれば、「チームで仕事をする際は、役割分担をはっきりさせる」といった業務改善の選択肢が見えてくるでしょう。先入観をなくすには時間がかかりますが、起きている問題へすぐ対処することはできるはずです。

バイアスやステレオタイプに悩まない方法03

【方法3】3段階の推定を立てる

デューク大学ビジネススクール准教授のジャック・ソール氏らは、自分の先入観のせいで決断を迷ってしまうとき、「高・中・低」という3つのレベルでの推定を行なうと行動が促されると伝えています。

これら3つのレベルは、「自分が得られる成果の大きさ」です。たとえば、「コミュニケーションが苦手だから、座談会への参加を躊躇してしまう」といったように、先入観から行動できずにいたとしましょう。そんなときは、以下のような推定をしてみてください。

高レベル:座談会参加者との話が想像していたよりも弾み、内容も勉強になった
中レベル:座談会で特別問題が生じることはなく、参加できてよかったと感じた
低レベル:参加者との会話がスムーズにできないまま座談会が終了してしまい、何も得られるものはなかった

ソール氏によれば、これら3つのなかで、中レベルの推定が最も現実的に起こりやすいのだそう。そう考えれば、先入観からくる自分の過剰な不安や苦手意識は和らいで、パフォーマンスを落とすことはなくなるはずです。

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自分がどういったネガティブな先入観をもっているのかを認識したうえで、その影響を最小限に抑えるべく、賢く行動していきましょう。

(参考)
THE CONVERSTION|The terrifying power of stereotypes – and how to deal with them
United States Department of Defense|Yellow Ribbon Reintegration Program
Psychology Today|6 Ways to Overcome Your Biases for Good
Forbes|Unconscious Bias And Three Ways To Overcome It
Havard Business Review |Outsmart Your Own Biases

【ライタープロフィール】
YOTA
現在、大学の法学部にて法律を専攻中。哲学や心理学にも興味があり、個人的にアドラー心理学を学習中。趣味は音楽を聴くことやお笑い鑑賞。

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