何回復習しても、勉強したことが覚えられない……。
そもそも勉強に集中できない!
このような悩み、勉強の仕方を変えれば解決できるのかもしれませんが、自分に合った勉強法を見つけるのはひと苦労ですよね。
そこで、これまでSTUDY HACKERが紹介してきた勉強法のなかでも、特に反響が大きかった「青ペン書きなぐり勉強法」と「3ワードノート術」をあらためて取り上げ、両者の効果の違いや上手な活用法を徹底検証してみることにしました。
「青ペン書きなぐり勉強法」とは
「青ペン書きなぐり勉強法」とは、見やすさはいっさい意識せず、ノートに青ペンでひたすら覚えたいことを書きなぐるという非常にシンプルな勉強法です。早稲田塾創業者で、日本アクティブラーニング協会理事長の相川秀希氏が提唱しました。
この勉強法の主なメリットは、達成感によるモチベーションアップ。相川氏は青ペン書きなぐり勉強法をする際、インクの減りが見える透明な軸のボールペンを使うことをすすめています。また、ルーズリーフなどではなく、1冊につづられたノートを使うのがよいそう。というのは、勉強した量を見える化できるからです。使いきったペンやノートを目で見ると、「こんなに勉強した」と実感できて達成感を得やすくなり、モチベーションもアップするのです。
また、ほかの色ではなく青色のペンを使うことにも理由があります。長岡技術科学大学教授の野村収作氏が2014年に行なった実験で、青色にはストレスを軽減し、集中力を高める効果があることが判明しました。つまり、青ペンを使うことで、ストレスなく勉強に集中できるわけですね。
「3ワードノート術」とは
「3ワードノート術」は、メンタリストDaiGo氏が提唱する、記憶定着に効果的な勉強法。3つのキーワードを軸にノートをつくっていくというものです。DaiGo氏は、主に「本で勉強した内容を確実に覚えたい」人に向けて、この方法をすすめています。
用意するものは、ノート、黒ペン、そして色ペン3色。具体的な手順は以下のとおりです。
- ノートの端、3分の1ぐらいのところを折る
- 本のタイトルを書く
- 覚えたいことが書いてあるページの番号を書く
- 覚えたい内容のなかで、目を引いたキーワードを3つ書く
- 3色のペンを使って復習する(詳細は後述)
(画像引用元:STUDY HACKER|メンタリストDaiGo推奨「3ワードノート術」は記憶定着&思考訓練にホントに効く)
3ワードノート術の強みは、復習の回数が増やしやすくなるところにあります。
みなさんは、長い文章を読み直したり、問題を解き直したりするのが面倒で、復習に手がつかなくなるときはありませんか? 復習の仕方は後述しますが、このノート術では3つのキーワードに絞ることで、復習のハードルを下げることを目的としているのです。
実際、精神科医の樺沢紫苑氏によると、人間の脳が一度に処理できる情報は3つまで。それ以上になると脳がパンクして、逆に情報を覚えられなくなるのだとか。「3ワード」というのは脳の機能に見合った数でもあるのです。
両方のノート術をやってみた
筆者も、勉強のために読んでいる本の内容をしっかり記憶するために、青ペン書きなぐり勉強法と3ワードノート術を実践してみました。使用した本は『倍音 音・ことば・身体の文化誌』(中村明一著)です。
青ペン書きなぐり勉強法でやってみた
まずは青ペン書きなぐり勉強法。今回は「本をひと通り読み終えてから、頭に入れたい内容を書きなぐる」という方法をとりました。そしてできたものがこちら。
狂気を感じるビジュアルですね……。
画像のように見開き1ページを埋めるのにかかった時間は1時間弱。少し長めでしたが、「夢中になってやめ時を見失った」という感じです。ページを文字で埋めていく感覚や、青ペンのインクが減っていくのが心地よく、上述のモチベーションアップ効果を想像以上に実感しました。
また、きれいさを考えず書くことに没頭していると、モヤモヤした気分が消え、終えたあとに気分がすっきりしました。青色のストレス低減効果とは別に、「書きなぐる」行為そのものにも同様の効果が見いだせたのです。結果、集中して勉強に時間を費やせ、覚えたいことを頭に叩き込めた実感があります。
3ワードノート術でやってみた
次に、同じ本を読んで、3ワードノート術を実践してみました。
最初は、本を読み進めながら、覚えたいと思う内容を先述の手順で書き出します。そしてDaiGo氏が提案する以下の方法で、復習を行ないました。
- 3つのキーワードを見て、人に説明できるくらい思い出せるか試す
- 思い出せたらページ数の上に○、思い出せなければ×をつける
- ×の場合は該当ページを開き、再度学習する
- 次の復習時に思い出せるようにするための手がかりを書き足す
・キーワードを2〜3個追加する
・ノートの端の、折った3分の1のスペースに、思い出す助けとなる質問を書き込む - ペンの色を変えながら、復習を繰り返す
※例:1回目の復習時は緑、2回目は青、3回目以降は赤
そして完成したものがこちら。
3ワードノート術では、復習の書き込みをできるよう、余白を多めにとっておくのもポイントです。とはいえ、青ペン書きなぐり勉強法のノートを見たあとでは、よけいにスッキリ感じますね……。
見開き1ページ分の復習をワンサイクル終えるのにかかったのは10分程度の短さ。しかし、しっかり覚えている箇所と、覚えたつもりになっていた箇所が明確にわかりました。1度目の復習で覚えていなかった箇所も、復習を重ねるうちに頭に入った実感があります。
そして、ノートの端に書き込む「質問」がたいへん効果的だと感じました。というのも、本の内容を読み込めていないと、的確な質問をつくれないからです。質問づくりが、ポイントをひとことで要約する訓練にもなりました。また「質問だけ見て内容を思い出す」という使い方ができるので、内容を覚えているかいつでもテストできるのも大きな強みだと感じました。
あなたに向いているのはどっち?
実践してみたことで、どちらも効果の高い学習法であることはわかりました。では、これらふたつの勉強法の使い分け方を筆者なりに提案したいと思います。
◆ 資格取得や試験合格を目指すなら「青ペン書きなぐり勉強法」!
資格試験や受験などの合格を目指して勉強している人は、青ペン書きなぐり勉強法を実践してみてはいかがでしょうか。
筆者は青ペン書きなぐり勉強法により、確実に記憶できる実感を得ました。試験の問題演習と組み合わせながら「間違えた箇所を確認する→覚えていないことを青ペンで書きなぐる→再び問題を解く」というようにすれば、理想の勉強サイクルがつくれると思います。
また、試験という明確なゴールがある以上「つらいけど勉強しなきゃいけない」「いまいち集中できない」という状況になる瞬間もあるはず。そんなとき、モチベーションアップやストレス解消効果も期待できる青ペン書きなぐり勉強法は、まさに理想の勉強法と言えるのではないでしょうか。
◆ 忙しくてもスキルアップのために勉強を進めたいなら「3ワードノート術」!
普段スキルアップのためにしている勉強の効率アップをはかりたい人には、3ワードノート術がおすすめです。
3ワードノート術は「人に説明できるくらい思い出せるか試す」「質問だけ見て内容を思い出す」というように、インプットとアウトプットが一体になった勉強法です。これひとつやれば、ほかの勉強法を併用しなくてもよいのです。なおかつ短時間で行なえるので、忙しいなか勉強時間を捻出している人には特にピッタリの勉強法だと言えそうです。
また、DaiGo氏は本を読んで勉強する人向けにこの勉強法をすすめていましたが、実際は本だけでなく、セミナーに参加するときなどにも応用できると感じました。たとえば、講師が話した内容を書きとるノートとは別に、印象深かったワードを抜き出す復習用のノートをつくっておけば、効率よく復習ができるのではないでしょうか。
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両者とも、特別な道具も心がまえも必要なく、簡単に実践できるというのも大きな強みです。ぜひ、シーンに合わせて取り入れてみてください!
(参考)
PRESIDENT Online|絶対忘れない「青ペン書きなぐり」勉強法
野村収作(2014), 青色のストレス反応抑制効果〜唾液コルチゾールによる検証〜, 映像情報メディア学会誌, vol.68, No.12, pp.J537-J539.
STUDY HACKER|メンタリストDaiGo推奨「3ワードノート術」は記憶定着&思考訓練にホントに効く
STUDY HACKER|復習サイクルが超速で回る! “記憶” のための『3ワードノート術』
樺沢紫苑(2019),『学び効率が最大化するインプット大全』, サンクチュアリ出版.
中村明一(2010),『倍音 音・ことば・身体の文化誌』, 春秋社.
【ライタープロフィール】
月島修平
大学では芸術分野での表現研究を専攻。演劇・映画・身体表現関連の読書経験が豊富。幅広い分野における数多くのリサーチ・執筆実績をもち、なかでも勉強・仕事に役立つノート術や、紙1枚を利用した記録術、アイデア発想法などを自ら実践して報告する記事を得意としている。