仕事のパフォーマンスを下げる「脳に悪い4つの習慣」——今すぐ見直したい働き方

脳のパフォーマンスを下げる悪習慣を示すビジネスパーソンのイメージ

一生懸命働いているはずなのに、なかなか成果が出ない……。

そう感じる方は、脳にマイナスに作用してパフォーマンスを下げる「悪習慣」に陥っている可能性があります。

本記事では、脳科学の研究をもとに、仕事中に避けるべき4つの習慣と、その改善法をご紹介します。
心当たりのある方は、ぜひ今日から改善を図っていきましょう。

【1】「休憩なしで長時間デスクワーク」はNG

「成果を出すにはとにかく長時間働くことが大切だ」と、休憩時間も惜しんで業務に励む人もいるかもしれません。

しかし、これはパフォーマンス悪化を招きます。

東京大学薬学部教授の池谷裕二氏と株式会社ベネッセコーポレーションが共同で実施した研究をご紹介しましょう。

研究では、中学生を被験者に、英単語の暗記を「60分間続けて行なうグループ」と「休憩を挟みながら15分間×3回行なうグループ」に分け、その効果を比較。

その結果、翌日および1週間のテストで、後者の「休憩あり」のグループのほうが好成績を収めました

また、彼らの脳波を計測してみると、集中力に関係があるとされる前頭葉のガンマ波の波形が、休憩を入れるたびに回復することも判明。

休憩を挟まなかった場合は下降し続けたため、長期記憶の形成のみならず、集中力維持のうえでも休憩は重要なのです。

加えて、マサチューセッツ工科大学の研究では、アルツハイマー病の原因物質となる脳内のアミロイドβが、ガンマ波の刺激によって減少することも報告されています。

「休憩を入れる→ガンマ波が回復」というサイクルは、脳の健康にも遠からず寄与するようです。

仕事中は、タイマーなどを利用して数十分おきに休憩をとる習慣をつくりましょう

デスクで休憩を取らずに働き続けるビジネスパーソンのイメージ

【2】「ずっと座り続ける」のはNG

デスクワーク中心のビジネスパーソンにとって、長時間座りっぱなしは避けがたいもの。

しかし、これもまた脳に悪影響のようです。

カリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究チームは、45歳~75歳までの男女を対象に、記憶形成に関わる脳領域の「皮質の厚さ」と「着座時間」の関係性を調査しました。

その結果、座っている時間が長い人ほど、当該脳領域の皮質が薄い傾向が見られたのだそう。

また、たとえ運動習慣があったとしても、座りすぎが脳に与えるダメージを帳消しにすることはできないという結果も得られました。

「仕事は座ってするもの」という固定観念を捨て、立ったままできる業務を取り入れるのも手かもしれません。

たとえば、スタンディングデスクを活用する、オンライン会議は立って参加する、あるいは通勤時間にオーディオブックやポッドキャストでインプットするなど。

脳へのダメージを最小限にするためにも、座りすぎには注意です。

長時間座り続けることで脳に悪影響が出ることを示すイメージ

【3】「楽しいことを封印する」のはNG

仕事に集中するために、ゲームや趣味といった娯楽を遠ざけておくのはたしかに大切。

しかし、それらを過剰に排除するのもどうやら考えもののようですよ。

脳科学者の澤口俊之氏は、脳内物質「ドーパミン」のパワーに注目します。

ドーパミンは私たちのやる気に大いに関係しており、「頑張ればこれが得られる!」となんらかの報酬を期待したときに大量に分泌されるのだそう。

逆に言えば、娯楽をいっさい捨てて、楽しくもない仕事だけに取り組もうとしたところで、やる気が出ず続けづらいのも当然だということです。

仕事中はご褒美に釣られてはいけませんが、「今日のタスクがすべて終わったらゲームができる」「1週間仕事を頑張ったら◯◯へ遊びに行ける」など、スパンを決めて報酬を用意しておくとよいでしょう。

具体的に思いつかない場合は「好きな音楽を聴く」のがおすすめです。

マギル大学の研究により、「好きな音楽を聴いてワクワクしているときに脳でドーパミンが分泌される」こと、そして「好きな音楽を聴く "前" の期待感でも同様の反応が見られる」ことが明らかになっています。

楽しいことを有効活用し、仕事に対するモチベーションをアップさせましょう。

ご褒美や楽しみを設定してやる気を引き出すイメージ

【4】「寝る間を惜しんで働く」のはNG

納期に追われて睡眠時間まで削ってしまうのも、正しい行為ではありません。

甲南大学准教授で睡眠科学が専門の前田多章氏いわく、睡眠は脳内を整理する役割を担っているとのこと。

睡眠は眼球運動をともなうレム睡眠とそうではないノンレム睡眠から成りますが、レム睡眠には記憶をスムーズに思い出せるように索引をつける働きが、ノンレム睡眠にはさまざまな記憶を関連づけて統合する働きがあるのだそう。

しかし、睡眠時間が短いと、レム睡眠とノンレム睡眠のサイクルがきちんと現れないため、記憶の整理が不十分になってしまうのです。

また、睡眠に関するクリニックを経営する医師の白濱龍太郎氏は、睡眠をおろそかにすると、本来は睡眠中に処理されるはずである前出のアミロイドβ(アルツハイマー病の原因物質となる)がたまりやすくなり、将来的な認知症発症のリスクも高まると指摘します。

睡眠は仕事のパフォーマンスになくてはならないものだという認識をもち、睡眠時間を削らないよう注意しましょう。

前田氏によれば、レム睡眠とノンレム睡眠のサイクルをふまえると、理想的な睡眠時間は6時間または7時間半だそうです。

***

仕事のパフォーマンスは脳の状態に左右されます。

心当たりのある習慣があれば、ぜひ今日から改善に取り組んでみてください。

よくある質問(FAQ)

Q. 仕事中の休憩はどのくらいの頻度で取るべきですか?

A. 東京大学の池谷裕二教授らの研究によると、15分程度の作業ごとに短い休憩を入れることで集中力が維持されやすくなります。
目安として25〜30分に一度、5分程度の休憩を取る「ポモドーロ・テクニック」などを活用するとよいでしょう。

Q. デスクワーク中に立ち上がる頻度はどのくらいが理想ですか?

A. カリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究では、座りすぎが脳に悪影響を与えることが示されています。
30分〜1時間に一度は立ち上がり、軽くストレッチをしたり歩いたりすることをおすすめします。

Q. 仕事のやる気を出すための「ご褒美」は何がおすすめですか?

A. 脳科学者の澤口俊之氏によると、自分にとって楽しみになるものであれば何でもOKです。
好きな音楽を聴く、おいしいものを食べる、趣味の時間を設けるなど、「これがあるから頑張れる」と思えるものを設定しましょう。

Q. 睡眠時間は何時間が理想ですか?

A. 甲南大学の前田多章准教授によると、レム睡眠とノンレム睡眠のサイクルを考慮すると、6時間または7時間半が理想的とされています。
ただし個人差があるため、日中に眠気を感じないかどうかを目安に調整しましょう。

【ライタープロフィール】
STUDY HACKER 編集部

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