
「また気づいたら、会社のパソコンの画面をぼんやり眺めている……。」
今日も期限の迫った企画書と格闘中。朝から集中して作業を進めてきたはずなのに、ここ1時間はまったく手が進まない。目の前のタスクリストは長くなる一方なのに、パソコンに向かって座り続けるほど、アイデアは出てこず、仕事の効率は落ちていく。
「休憩なんてとってる場合じゃない。でも、この集中力低下をなんとかしないと……」
じつはこの現象、脳の仕組みから見ればごく自然なことです。カギを握るのは、頑張り続けることではなく「休み方」。本記事では、脳科学の知見をもとに、集中力を保つ休憩のとり方を見ていきます。
- 仕事の生産性を下げる最大の落とし穴。休憩なしが集中力を奪う理由
- 休憩がもたらす意外な効果。創造性とひらめきの源
- 脳科学が教える最適な休憩法。3つの実践テクニック
- ワークハックで実現する生産性向上。ポモドーロテクニックの導入レポート
- よくある質問(FAQ)
仕事の生産性を下げる最大の落とし穴。休憩なしが集中力を奪う理由
「この企画書、今日中に仕上げないと……」
そんな焦りから休憩を後回しにしていませんか? オフィスワークに没頭するあまり、適切な休憩をとらずに頑張り続けるビジネスパーソンは少なくありません。しかし、それが思わぬ効率低下を招いている可能性があるのです。
ハーバード・ビジネス・レビューの記事では、脳の集中力には明確な限界があることが指摘されています。研究では、私たちの脳は筋肉と同様に疲労することが判明しているそう。*1
休憩なしで仕事を続けると、脳の機能が低下し、単純なタスクでさえ難しく感じられるようになるのです。たとえば、こんな経験はありませんか?
- 2時間続きの会議の後半で、話が頭に入ってこなくなる
- 午後のプレゼンテーションで、普段なら簡単に答えられる質問に詰まる
- 重要な企画書の作成中なのに、アイデアが全く浮かばなくなる
これらは決して「気合いが足りない」からではありません。脳が休息を必要としているサインなのです。

さらに興味深いのが、東京外国語大学大学院総合国際学研究院の岡田昭人教授が紹介する研究結果です。イスラエルの脳科学者ラビー教授の発見によると、私たちの脳には「ウルトラディアン・リズム」と呼ばれる自然なリズムがあるとのこと。
睡眠中に浅い眠りと深い眠りがあるのと同様に、日中の活動時にも、集中と非集中のサイクルがおよそ90分周期で交互に出現するのだそう。つまり、90分ごとに、脳の活動レベルは休息を必要とする水準まで下がってしまうのです。*2
どんなに意識を集中させようとしても、90分経過すると脳は自然と休息モードに切り替わってしまうもの。多忙な日でも、少なくとも90分に1回は休憩が必要なのです。
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休憩がもたらす意外な効果。創造性とひらめきの源
「休憩は時間の無駄では?」
そう考えている方も多いかもしれません。しかしじつは、適切な休憩こそが、仕事の生産性を劇的に向上させる重要な要素なのです。
脳が「何もしていない状態」や「ぼんやりしている状態」のとき、「デフォルトモード・ネットワーク(DMN)」と呼ばれる脳内ネットワークが活性化します。*3
この状態こそが、ひらめきを生み出す源泉にもなるのです。脳科学者の西剛志氏は、STUDY HACKERのインタビューでDMNの状態について以下のように解説しています。
このとき、自分の意志としては仕事のことは考えていません。でも、それまでにインプットした情報や積み上げた思考を脳が自動的につなげてくれて、ふっとアイデアを出してくれるのです。これが、いわゆる「ひらめき」の正体です。*4
たとえば、シャワーを浴びているときに突然アイデアが浮かんだ経験はありませんか? これは、DMNが活性化することで脳内の経験や知識が組み合わさっているためだと考えられています。
何もしていない時間は無駄ではなく、むしろ創造性に大きな影響を与える時間なのです。

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脳科学が教える最適な休憩法。3つの実践テクニック
それでは、どのくらいの頻度で、どのくらいの時間休憩をとればいいのでしょうか。デスクワークの効率化につながる、休憩の黄金ルールを紹介します。
1. デスクワークの集中力を高めるポモドーロテクニック
仕事の生産性を高める方法として、オフィスワーカーの間で注目を集めているのが「ポモドーロテクニック」。イタリア出身のコンサルタント フランチェスコ・シリロ氏が考案した、科学的なタイムマネジメント術です。
このテクニックのポイントは以下の通り。
- 25分間、ひとつのタスクに集中する
- その後、必ず5分間の休憩を取る
- これを4セット繰り返したら、15〜30分の長めの休憩を入れる
短時間で区切ることで、脳に適度な緊張と解放を与え、集中力を持続させることができます。

2. オフィスでのリフレッシュ方法。休憩中のスマホ利用を見直す
デスクワークの休憩時間中、ついスマホを触ってしまいがちです。しかし、SNSやメールチェックは本来の休息を妨げ、逆に疲労感を増幅させる可能性があります。
代わりに、次のようなリフレッシュ方法を試してみましょう。
- オフィスの窓際での深呼吸
- デスクワーク疲れを解消する簡単ストレッチ
- 社内での短時間ウォーキング
視覚と情報のインプットを一時的に遮断することで、脳が本来の休息をとることができます。
3. 仕事の合間にできる集中力回復テクニック
長時間のデスクワークで疲れを感じていても、忙しさのあまり短時間の休憩すらとれない場合があります。そんなときこそ、「マイクロブレイク」が効果的です。
雨晴クリニック院長で睡眠専門医の坪田聡氏が監修する記事によると、目から脳に伝わる情報量は多いため、「3秒だけでも目を閉じることで、膨大な情報を遮断し、脳を休めることができる」のだそう。*5
さらに、1分間ほど目を閉じて意識的にリラックスする「マイクロ・ナップ」を行なうことで、疲労感を軽減し集中力を取り戻せるでしょう。あまりに忙しくてまとまった休憩時間をとることができない場合は、このような方法を取り入れるのもひとつの手です。
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ワークハックで実現する生産性向上。ポモドーロテクニックの導入レポート
「仕事が立て込んでいて休憩する余裕がない」
「休憩を入れると、かえって集中力が途切れそう」
「一気に作業を終わらせたほうが効率的では?」
デスクワークに従事する多くのビジネスパーソンが抱えるこんな悩み。筆者も同じ思いを抱えていました。しかしその結果、午後の集中力低下に悩まされ、仕事の生産性が落ちることも少なくありませんでした。
そこで、オフィスワークの効率化を目指し、ポモドーロテクニックを実践してみることに。まずは準備からはじめます。
- スマホのタイマーの用意
- 作業リストの作成
- タスクの見積もり

最初は「本当に休憩を入れる余裕があるのだろうか」と半信半疑でしたが、タイマーを使って25分間だけ集中することから始めてみました。25分という短い時間だと、「その間だけなら全力でやれる」と思え、自然と集中力が高まりましたよ。
休憩中は、5分間スマートフォンとパソコンから離れ、窓から外の景色を見ながら肩と首を回してみました。
5分はとても長く感じました。こんなに休憩してもいいのかなと罪悪感が生まれたのも正直なところです。窓を開けて空気を吸い込むと全身の細胞が生き返ったような気がして、とてもいい気分転換になりましたよ。

これを数回繰り返してみると、不思議なことに、1日中作業を続けたときよりも集中力が持続し、むしろ作業がスムーズに進むことに気づきました。特に、4セット目後の15〜30分の長めの休憩では、散歩をして頭をリフレッシュさせたり、音楽を聴いてリラックスしたりすることで、次のタスクへの意欲が自然と湧いてきたのです。
実践して特に感じたのが、作業リストの準備の重要性です。筆者はタスクの見積もりが甘く、25分以内で完了してしまうものと、それ以上かかるものがありました。次回はもっと小さなタスクに分割しておけば、よりスムーズに進められると感じました。
タスクを効率的に実行するのにとても有用なテクニックですので、みなさんもぜひ取り入れてみてくださいね。
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「休憩は時間の無駄」
「忙しすぎて休めない」
そんな思い込みが、じつはオフィスワークの生産性を下げているのかもしれません。
大切なのは、休憩を「サボり」ではなく「仕事の効率化のための投資」として捉え直すこと。タイムマネジメントの観点からも、適切な休憩は不可欠です。
意識的に「質のよい休憩」を取り入れることで、仕事の質は確実に変わっていきます。明日からあなたも、科学的な休憩法を試してみませんか?
よくある質問(FAQ)
Q. 休憩はどのくらいの頻度でとるのがよいですか?
Q. 忙しくてまとまった休憩時間がとれないときはどうすればよいですか?
Q. 休憩中にスマートフォンを見てもよいですか?
*1: DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー|精神的な疲労を軽減し、生産性を高める3つの行動
*2: PHPオンライン|脳科学が明らかにした「成果を出す人ほどしっかり休む」の秘密
*3: 日本経済新聞|斬新なアイデアの生み方 何をすればひらめくのか
*4: STUDY HACKER|ジョブズも毎朝やっていた。脳科学者が教える「脳内トーク」のすごい力――行動も人生も変えられる!
*5: つながるティーペック|「3秒仮眠」で寝不足脳がスッキリ!【医師監修】
橋本麻理香
大学では経営学を専攻。13年間の演劇経験から非言語コミュニケーションの知見があり、仕事での信頼関係の構築に役立てている。思考法や勉強法への関心が高く、最近はシステム思考を取り入れ、多角的な視点で仕事や勉強における課題を根本から解決している。