箇条書きとは? 超定番テクニックの活用例3選

箇条書きとは1

箇条書きとは、情報を文章としてまとめず、ひとつひとつの項目として列挙する書き方。少ない文字数で要点のみを簡潔に抜き出すため、相手に情報を伝えやすくなります。

箇条書きなんて簡単だと思うかもしれませんが、ただ段落を1文ずつ改行して行頭記号をつければOK、というわけではありません。必要な情報を適切にピックアップし、見やすくまとめる必要があります。

今回は、箇条書きとは何か、箇条書きを活用するコツをお教えしましょう。

箇条書きとは

最初に、箇条書きとは何か、どのような特長があるのかを確認しましょう。大辞林第三版によると、箇条書きとは「事柄をいくつかに分けて書き並べる」書き方のこと。以下のように、言葉を簡潔に列挙するのが箇条書きです。

  • ニンジン
  • 玉ねぎ
  • 豚肉

箇条書きの特徴は、「情報量が絞られている」こと。箇条書きだと、不要な情報がそぎ落とされ、短く簡潔に記述されているため、情報の要所がつかみやすくなります。もしも、上の箇条書きを以下のような文にしてみるとどうでしょう?

ニンジンと、玉ねぎと、豚肉を買おう。

「と」「を」などの要素が増えるぶん、煩雑になってしまいますね。

箇条書きの特徴としては、「要素ごとに改行されている」点も挙げられるでしょう。改行によって、要素と要素が明確に区切られるので、情報の可読性が高まるのです。以下の2つを比べてみてください。

ニンジン・玉ねぎ・豚肉

  • ニンジン
  • 玉ねぎ
  • 豚肉

後者のほうが見やすいと思いませんか?

このように、箇条書きとは「情報量が絞られている」「各要素ごとに改行する」という2つの特長をもつ記述法なのです。

箇条書きとは2

箇条書きとは、情報をわかりやすく伝える手段である

箇条書きとは、情報をわかりやすく伝えられる手段であることがわかりましたね。前章で見たように、箇条書きを使うと、重要な情報を簡潔に提示できます。

たとえば、

徳川家康は、徳川幕府初代将軍。幼名は竹千代。関ヶ原の戦いで石田三成を破り、征夷大将軍となる。大坂冬・夏の陣で豊臣氏を滅ぼし、天下を統一した。
(※美術人名辞典をもとに記述)

という文章は、箇条書きを用いると、以下のように整理できます。

徳川家康は……

  • 徳川幕府初代将軍
  • 幼名は竹千代
  • 関ヶ原の戦いで石田三成に勝利
  • 大坂冬・夏の陣で豊臣氏を滅ぼし、天下統一

箇条書きのほうが、すっきりとして見やすいですよね。要素ごとに改行して縦に並べたことに加え、不必要な単語や助詞をなるべく削ったのです。

「情報を伝えやすい」というメリットをもつ箇条書きは、以下のようなシーンで役に立ちます。

箇条書きの活用例1:会議の資料

会議などで使う資料を作成するとき、積極的に箇条書きを使ってみませんか? 特に重要な情報や数値を箇条書きにして目立たせれば、資料の可読性が向上しますよ。たとえば、

消費者1,000人へのアンケート調査の結果、48%が「香り」、33%が「パッケージのデザイン」、17%が「ブランドイメージ」を基準に柔軟剤を選んでいることがわかった。

という文は、箇条書きを使って以下のように改善できるでしょう。

消費者1,000人へのアンケート調査の結果、消費者が柔軟剤を選ぶ基準は、

  • 香り(48%)
  • パッケージのデザイン(33%)
  • ブランドイメージ(17%)

であることがわかった。

箇条書きにしたほうが、見せたい情報(アンケート結果)が目立つため、一目で情報を把握しやすいですね。内容が同じでも、箇条書きにするかしないかで、これほどまでに読みやすさが変わるのです。

箇条書きの活用例2:メール

箇条書きにすれば、メールの読みやすさも変わります。特にビジネスシーンだと、アポイントの時間や場所をメールでやり取りすることが多いのではないでしょうか。打ち合わせの時間・場所を勘違いしたら大変なことになるため、読み間違いが起こりにくいよう、箇条書きにしてみましょう。例として、

○○に関する打合せの件なのですが、4月30日(木)15:00~16:00、弊社オフィスにてよろしくお願いいたします。

という文は、以下のように直すことができます。

○○に関する打合せの件ですが、

  • 4月30日(木)
  • 15:00~16:00
  • 弊社オフィス

にてよろしくお願いいたします。

箇条書きにすることで、「日付」「時間」「場所」が明確に区切られるため、かなり読みやすくなりましたね。

箇条書きの活用例3:プレゼンのスライド

箇条書きを使えば、プレゼンテーションのスライドも読みやすくなりますよ。スライドの場合、会議の資料やメールと違い、表現の選択肢が増えます。箇条書きを使うだけでなく、以下のような工夫を施すことで、大事な情報をさらに強調させられるのです。

  • 「・」「◆」など行頭記号の色を変える
  • 箇条書きする項目を枠で囲う

このように、箇条書きとは、さまざまなシーンで役に立つ手法なのです。

箇条書きとは3

箇条書きで情報を伝えるコツ

箇条書きとは、情報を簡潔に伝えられる手段。コツを意識すれば、さらに見やすくなりますよ。経営コンサルタントの小林尚氏は、以下の3つのコツを紹介しています。

同じ情報はまとめる

箇条書きの際、同じ情報はなるべくひとつにまとめます。中学校の数学で習った “因数分解” を思い出すとわかりやすいでしょう。

「y=ax+bx」という式は、xという共通の要素をまとめて、「y=(a+b)x」と変形できます。箇条書きでも同様に、重複する要素をまとめ、情報量を少しでも減らしましょう

消費者は柔軟剤を、

  • 香りで選ぶ(48%)
  • パッケージのデザインで選ぶ(33%)
  • ブランドイメージで選ぶ(17%)

上の箇条書きだと、「で選ぶ」という言葉が重複していますね。重複を解消し、極限まで無駄を省いた例が以下です。

消費者は柔軟剤を選ぶ基準は、

  • 香り(48%)
  • パッケージのデザイン(33%)
  • ブランドイメージ(17%)

後者のほうが、箇条書き部分の文字数が少ないため、より読みやすくなっています。

「時系列」か「並列」かを明確にする

箇条書きには、情報を簡潔に示せるメリットがある一方、「各情報間の関係性がわかりづらい」というデメリットがあります。各要素が時系列(決まった順番)で並んでいるのか、並列なのかがわかりにくいのです。たとえば、

今月中に終わらせるべき課題は、

  • 市場調査
  • 予算の検討
  • 企画案作成

という箇条書きだと、各タスクが「上から順番にやる」(時系列)べきものなのか、「どの順番で取りかかってもよい」(並列)ものなのかわかりません。そんなときは、以下のように工夫すれば、各情報の関係がわかりやすくなります。

【時系列の場合】

今月中に終わらせるべき課題は、

  1. 市場調査
  2. 予算の検討
  3. 企画案作成

【並列の場合】

今月中に終わらせるべき課題は、
 ┗市場調査
 ┗予算の検討
 ┗企画案作成

階層構造を意識する

箇条書きの際は、「階層構造」を意識することも大切です。箇条書きにした各要素の「階層」が同等ではない場合があるからです。以下の例をご覧ください。

  • 日本
  • 東京
  • 大阪
  • 韓国
  • ソウル
  • 中国

日本や韓国といった「国名」と、東京やソウルといった「都市名」が同列に並んでしまっているので、情報が整理されていない印象ですね。

階層構造を明確にするのに役立つのが「インデント」です。インデントとは、行頭に空白を挿入すること。空白の大きさによって、各要素の階層を表現できます。

上の箇条書きをインデントしたものが、以下の例です。

  • 日本
    • 東京
    • 大阪
  • 韓国
    • ソウル
  • 中国

国名である「日本」「韓国」「中国」と、都市名である「東京」「大阪」「ソウル」。それぞれの階層が、インデントによって表現されています。

以上のように、箇条書きとは便利な表現形式ですが、ちょっとした工夫が必要でもあるのです。

箇条書きとは4

箇条書きとは、脳内を整理する手段である

箇条書きとは、他人に情報を伝達するだけでなく、自分の頭のなかを整理するにも便利な手法です。「悩み」「本を読んだ感想」「やるべきタスク」など、脳内で散らかっている思考や情報を、箇条書きにして取り出しましょう。

箇条書きの活用法1:ブレインダンプ

まずは、仕事術に関する著書を多くもつブロガー・堀正岳氏が紹介する「ブレインダンプ(Brain Dump)」という方法。ブレインダンプとは、「頭のなかのものを、ドサッと落とす」というような意味です。

ブレインダンプは、「頭のなかにあるものを、紙に箇条書きしていくだけ」という、とてもシンプルな思考整理術。堀氏によると、ブレインダンプの際は、「書き出す思考の大小を区別しない」ことが重要なのだそう。「シャンプーを買わなきゃいけない」というささいな用事も、「10年先のキャリアプランを立てたい」のように大きなテーマも、以下のように区別せず列挙するのです。

  • シャンプーを買わなきゃいけない
  • 10年先のキャリアプランを立てたい
  • 本がたまってきたので、読書の時間をつくりたい
  • 貯蓄を増やしたい
  • スーツをクリーニングに出したい

前章で「箇条書きの階層構造を明確にすべき」と述べましたが、ブレインダンプには当てはまりません。ブレインダンプの目的は、とにかく「思考を洗い出す」ですから、思ったことを手当たり次第にアウトプットしていきましょう。ブレインダンプに慣れると、一度に100項目近くも書き出せるのだそうです。

堀氏によると、頭にたまっていた考えが箇条書きとして可視化されることで、やるべきことが見えやすくなるばかりか、気分がスッキリするのだそう。「思考がまとまらずモヤモヤする」「何から手をつけていいのかわからない」と悩んでいるなら、ブレインダンプをやってみることで、状況が好転するかもしれませんよ。

箇条書きの活用法2:読書ノート

箇条書きは、読書の記録をつけるのにも活用できます。箇条書きには「整った文章でなくていい」「書くべき項目が明確になりやすい」というメリットがあるため、読書記録を格段につけやすくなるのです。

堀氏は、本の各章について、以下の3点を箇条書きにする方法を推奨しています。

  • 要約:印象も交えつつ、内容を簡単に要約する
  • 印象的な箇所:特に印象的だった文章やセリフを挙げる
  • 感想:その「印象的な箇所」に惹かれた理由を挙げる

例として、村上春樹氏の小説『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』の第1章「エレベーター、無音、肥満」に適用してみます。

  • 要約:「僕」が奇妙なエレベーターに乗っている。エレベーターが止まると、ドアの前に立っていた「美しく太った女」に案内され、728号室に入る。
  • 印象的な箇所:主人公が暇つぶしにやる「左右のポケットの小銭を同時に数える」というゲーム。
  • 感想:「左脳と右脳を使い分ける」という記述が、本作の「2つの世界を並行して語る」構造とリンクしている。

このように、「要約」「印象的な箇所」「感想」という3点に絞って箇条書きをすることで、本の感想をスッキリとまとめられるのです。もちろん、小説以外の本にも使えますから、読書記録をつけるのに苦戦している方は、ぜひ実践してみてください。

箇条書きの活用法3:バレットジャーナル

タスクを箇条書きにして管理する「バレットジャーナル」という方法があります。bulletは箇条書きの先頭につける「・」印を、journalは「日誌」を意味する英単語。「箇条書き形式の日誌」というのが、バレットジャーナルのコンセプトなのです。

バレットジャーナルでは、一日の予定やタスクを、ノートに箇条書きして管理します。以下のような具合です。

6月20日(土)

  • 光熱費支払い
  • 読みかけの本を読了する
  • 参考書を買いに行く
  • 薬局へ行く

ここまでは普通のToDoリストと一緒ですが、バレットジャーナルでは、書き出した予定・タスクに、以下のルールで印をつけていきます。

  • 終わったタスク:×
  • できなかった(先延ばしにした)タスク:>
  • 予定を変更したタスク:<
  • やる必要がなくなったタスク:線で消す

このルールを、先ほどのリストに適用してみましょう。

6月20日(土)

×光熱費支払い
>『道をひらく』を読了する
<参考書を買いに行く
・薬局へ行く

どのタスクがどんな状態になのか、ひとめでわかりますね。先延ばしにしたタスクは、翌日の予定に引き継がれるため、「先延ばしにしたまま忘れてしまう」というリスクを減らせます。バレットジャーナルのやり方を詳しく知りたい方は、「最強の手帳『バレットジャーナル』を作ってみたら先延ばし癖が治った。」をご覧ください。

「ブレインダンプ」「読書ノート」「バレットジャーナル」。箇条書きとは、思考整理術にも応用できる、便利なテクニックなのです。

***
箇条書きとは、メモをとるときだけでなく、さまざまな目的で活用できる情報整理術なのですね。箇条書きを上手に取り入れ、仕事や勉強を効率化していきましょう。

(参考)
コトバンク|箇条書き
コトバンク|徳川家康
日経クロステック ラーニング|箇条書きを使うべき理由
小林尚(2019),『開成流ロジカル勉強法』, クロスメディア・パブリッシング.
東洋経済オンライン|思考力が強い人が「箇条書きメモ」を駆使する訳
村上春樹(1985),『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』, 新潮社.
和気文具|はじめようバレットジャーナル

【ライタープロフィール】
佐藤舜
大学で哲学を専攻し、人文科学系の読書経験が豊富。特に心理学や脳科学分野での執筆を得意としており、200本以上の執筆実績をもつ。幅広いリサーチ経験から記憶術・文章術のノウハウを獲得。「読者の知的好奇心を刺激できるライター」をモットーに、教養を広げるよう努めている。

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