伝わるメールは「順番」が命! テンプレ付き、返信がすぐ来るメールの作り方

メールが何通もきている

「必要な情報は全部メールに書いてあるのに、読んでもらえていないようだ」「なかなか返信が来ない……」

そんなことが続けば、業務にも支障が出て困りもの。同時に、「自分の時間や仕事が軽視されているのではないか」とモヤモヤしてしまう人もいるかもしれません。

これはもちろん相手側にも不手際がありますが、メールの送り手側にも工夫の余地があるはずです。カギを握るのは、情報の「順番」。どういうことなのか、一緒に考えていきましょう。

「一瞬で伝わる人」がやっている3つのポイント

(1)冒頭1行で「誰向けの、何の話で、何をしてほしいか」を完結させる

軍隊には、BLUF(Bottom Line Up Front、はじめに結論を述べる)と呼ばれる書き方があります。これは米空軍のコミュニケーションマニュアルにも明記されている正式な作法で、メールの冒頭に短く歯切れのよい一文を置き、目的と必要な行動をただちに示すものです。*1

とはいえ、相手が目上の方や取引先の場合、あいさつを完全に省くのは日本のビジネスマナー的に難しいこともあるでしょう。そこで、短いあいさつのあとにすぐ結論を続けてみるのはいかがでしょうか。

(例)

  • Before 「お世話になっております。先日はお時間をいただきありがとうございました。さて、本日は先般ご相談させていただいた件について、少しご報告したいことがございまして……」
  • After 「〇〇様 いつもお世話になっております。今回はA社提案書の件でお願いしたくメールいたしました。木曜17時までにご確認いただけますでしょうか。

こうすれば、結論を先に出しても丁寧さは損なわれません。

(2)相手に求めるアクションを明示する

「確認をお願いします」「返信は不要です」「承認のみで結構です」など、相手は何をすればいいのかを、テンプレート化できるレベルまで具体的に書ききるのが重要です。「ご検討いただけますと幸いです」のような曖昧な結びは、相手に判断コストを押しつけてしまいます。

(3)背景・経緯・丁寧な言い回しは「後ろに置く」

まずは情報の置く順番を変えるだけでいいです。背景や経緯、丁寧なクッション言葉は、すべて後半にまわしましょう。

では、なぜこの3つが有効だと言えるのか。その根拠を見ていきましょう。

メールは、件名を見た瞬間に仕分けられている

気になった件名のメールだけを開き、残りはそのまま。メールアプリの未読アイコンは増えていく一方だ、という方も多いはずです。

実際、米マイクロソフト・リサーチが1996年と2006年の受信者データを比較した調査でも、この10年間でメールアーカイブの量が10倍に増加していたことが報告されています。*2

処理すべきメールの量そのものが、昔とは比較にならないほど増えているのです。すべてを読みきれない受け手は、件名や冒頭の数行だけを見て「いま読むか」「後回しにするか」「無視するか」を無意識に仕分けています。これは怠慢ではなく、限られた時間のなかで情報を処理するための、ごく自然な判断です。

アプリの多様化

だから、前置きの長いメールは、最初の数秒で「後回し」に振り分けられてしまうのです。

逆に、冒頭で用件を示しても、本文がダラダラと長ければ同じことです。米メールサービス企業Boomerangが4,000万件超のメールを分析した調査でも、返信率がもっとも高かったのは50〜125語程度の簡潔なメールでした。*3 順番を整えつつ、全体もできるだけ短くまとめるのが得策です。

「短くする」ではなく「適切な入口を作る」という発想

ただし、短ければ短いほどいいわけではありません。情報を削りすぎて必要な内容まで抜け落ちてしまうと、かえって確認のやり取りが何往復も発生し、本末転倒になってしまいます。

大切なのは、情報を整理して、適切な入口をつくることです。適切な入口とは、相手が「これは自分に関係がある」と1秒で判断できる部分を、もっとも目立つ場所に置くこと

具体的には、以下のようなレイアウトの工夫が有効でしょう。

  • 件名に、用件と締切を入れる(例「【要返信/7月10日締切】〇〇の件」)
  • 本文1行目に結論、2行目に空白行、3行目からアクションの詳細を書く
  • 背景説明は後半に配置する
  • 長くなる場合は、末尾に「詳細は下記をご参照ください」と添えて、任意で読める形にする

こうすれば、忙しい相手には「入口」だけが、時間のある相手には全体が届きます。ひとつのメールで、両方のニーズに応えられるのです。

【コピペ用】そのまま使えるメールのひな型

ここまでの考え方をそのまま形にしたひな型を置いておきます。件名から本文まで、穴埋め感覚で使ってみてください。

<件名>

【要確認/〇月〇日締切】ここに要件を簡潔に記述

<本文>

〇〇様

いつもお世話になっております。

今回は〇〇の件でお願いしたくメールいたしました。

(下記に結論を書く)

〇〇について、〇月〇日(〇)までにご確認をお願いいたします。

(下記にアクション詳細を書く)

・確認いただきたい点 〇〇

・ご返信方法 「承認」とだけご返信いただければ、そのまま進めます

(下記に背景やそのほかの事項を書く)※必要があれば

〇〇の件について、△△という経緯があり、□□となりました。

※詳細は添付資料をご参照ください(本件については資料の〇ページ部分をご参照ください)

(例)

<件名> 【要承認/7月10日締切】Q3予算、金曜17時までにご確認をお願いします

Aさん

いつもお世話になっております。

今回はQ3のマーケティング予算の件でご連絡いたしました。

金曜17時までにご承認いただけますでしょうか。期限を過ぎてしまうと、取引先の割引が適用されなくなってしまいます。

・確認いただきたい点 Q2比12%増となる申請額(新しいSEOツールの利用料 月額400ドル/週2本の追加記事にかかるライター費用)

・ご返信方法 「承認」とだけご返信いただければ、そのまま進めさせていただきます

先月ご相談した記事本数の増加にともない、ライター費用が増えています。

※詳細は添付資料をご参照ください(増加した申請額については〇ページに記載)

よろしくお願いいたします。

***

メールを書く目的は「送ること」ではありません。相手に読まれ、理解され、実際に動いてもらうことです。

冒頭で結論を示し、求めるアクションを明示し、背景は後ろに置く。この「相手の認知コストを下げる設計思考」は、上司への報告、企画の提案、資料作成など、あらゆるビジネスコミュニケーションに応用できるでしょう。

上手なビジネスコミュニケーション

よくある質問

Q. 結論を先に書くと、メールが冷たい印象になりませんか?
あいさつと、用件をひとことで示す前置きを残したうえで結論を続ける形にすれば、丁寧さを保てます。記事内のBefore/After例のように、あいさつをゼロにするのではなく、前置きを1〜2行に圧縮するのがポイントです。
Q. メールは何語くらいにまとめるのが理想的ですか?
Boomerang社が4,000万件超のメールを分析した調査では、50〜125語程度の、要点が明確なメールがもっとも返信率が高いという結果が出ています。ただしこれは英語圏のデータであり、日本語の文字数に単純換算はできない点にご留意ください。
Q. 背景や経緯の説明は書かないほうがいいのですか?
削る必要はありません。情報量を減らすのではなく、置く順番を変えて、背景説明は本文の後半に配置するのがポイントです。
(参考)

*1 DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー「米軍に学ぶ、相手に一瞬で伝わるメール術」(カビール・セガール) https://dhbr.diamond.jp/articles/-/4662?page=2
*2 Microsoft Research「Revisiting Whittaker & Sidner's "Email Overload" Ten Years Later」 https://www.microsoft.com/en-us/research/publication/revisiting-whittaker-sidners-email-overload-ten-years-later/
*3 Boomerang Blog「7 Tips for Getting More Responses to Your Emails (With Data!)」 https://blog.boomerangapp.com/2016/02/7-tips-for-getting-more-responses-to-your-emails-with-data/

【ライタープロフィール】
澤田みのり

大学では数学を専攻。卒業後はSEとしてIT企業に勤務した。仕事のパフォーマンスアップに不可欠な身体の整え方に関心が高く、働きながらピラティスの国際資格と国際中医師の資格を取得。日々勉強を継続しており、勉強効率を上げるため、脳科学や記憶術についても積極的に学習中。