「勉強はできた」のに「いい文章が書けない」人の問題点4つ。“読むと疲れる文章” になってない?

「勉強はできた」のに「文章が全然書けない」と悩む社会人、ビジネスパーソンのシルエット

「学生の頃から勉強はできたほうなのに、文章を書くことだけは全然ダメだ。書けないし、書いたら書いたでわかりにくいと言われる。これからも仕事で必要なのに、困ったなぁ……」

そんな悩みを抱えるあなたには、4つの問題点があるかもしれません。「書くプロフェッショナル」の教えを参考に説明しましょう。

問題点1:ただ「書こう」とする

学生の頃に勉強ができた人は、正しく勉強することで結果を出せると知っているはず。しかし、文章の場合、正しく準備(書くテーマを決めて構成を組み、必要な情報をそろえるなど)しても、スムーズに書けないことがあります。その理由は、ただ「書こう」としてしまうから。

数々のベストセラーを手がけてきた編集者であり、『書くのがしんどい』(PHP研究所)の著者でもある竹村俊助氏は、「文章なんて誰でも書ける」と説きます。どんなに文章が苦手な人でも、「〇〇って△△らしいよ。すごいよね!」などと書いたメッセージを送ったり、SNSで発信したりできるからです。つまり、

  • 何かを「書こう」とすると書けない
  • 何かを「伝えよう」とすると書ける

ということ。「伝えようとすれば、自然と言葉が出てくる」と竹村氏は言います。

したがって、書けないのは、伝えたいことを基軸にしないから。文章を書く際は、【「最も伝えたいこと」を書いたメモを目の前に置いておく】といいかもしれません。

伝えたいことが明確になりつつあるビジネスパーソン

問題点2:「ワンストップで書こう」とする

書くことを仕事にしている人でさえ、ゼロから書くのは難しいといいます。勉強ができたという自負心で、最初から独自の文章を、ワンストップで書き上げようとしていませんか? それが、書くことを難しくしているかもしれません。

かつては書くことが苦手だったという竹村氏。他者の文章を修正する編集の仕事を通して、「ゼロから書くのは難しくても、修正するかたちなら書けるかも」と気づき、抵抗がなくなったそうです。

だから竹村氏は「文章が書けない」と悩む人に、編集者の立場も担うようアドバイスしています。つまり、【執筆者と編集者の一人二役を担う】わけです。まず「執筆者」として伝えたいことを書きなぐり、そのあと「編集者」の立場で冷静に文章を見直し、整えていくのだそう。

あとで「編集者の自分」が直してくれると思えば、「執筆者の自分」は気にせずどんどん書けるはず。1行書いては消し、1行書いては消しを繰り返す、ムダな時間も減るでしょう。つまり、なかなか書けないのは、ゼロから文章を生み出し、なおかつ同じ観点のまま一度に書き上げようとするからです。

パソコンに文章を打ち込む手

問題点3:「コストが高い文章」にしてしまう

勉強ができたなら知識は豊富でしょう。難しい言葉や言い回しを用いることや、論理を固めることも得意なはず。しかし、それをそのまま文章にするのは間違いです。誰でもわかる平易な言葉や言い回しで、的確に物事を言い表しているほうが「良文」と言われるからです。

ベストセラー『世界中のエリートの働き方を1冊にまとめてみた』『最強の働き方』(いずれも東洋経済新報社)の著者ムーギー・キム氏は、「一流の文章」と「二流の文章」をこう表現します。

  • 「一流の文章」:読むコストが低い = 感覚的に読めて楽しい
  • 「二流の文章」:読むコストが高い = 論理だけでユーモアがなく、一生懸命に読まないとよくわからない

『そもそも文章ってどう書けばいいんですか?』(日本実業出版社)の著者・山口拓朗氏も、「読みにくい」とストレスを感じるような文章は悪文だと述べます。ちなみに山口氏は、文字がギュウギュウに詰まった読みにくい文章を「黒っぽい文章」と呼び、適度に余白がある読みやすい文章を「白っぽい文章」と呼ぶそうです。

つまり、難しい言葉・言い回し・漢字を多用し、知識と論理でガチガチにまとめられている文章は、読みにくい「コストが高くて黒っぽい文章」なのです。

キム氏いわく、一流の文章ほど読むコスト低減の努力がなされているとのこと。【自分で書いたものを何度も読み返して、パッとイメージが湧きやすいか、読んでいて疲れないかどうか確かめながら、文章を磨き上げていくこと】が大切です。

ギュウギュウに隙間なく置かれたフォント。わかりにくい文章のイメージ

問題点4:「修正時の冷静さ」が足りない

学生の頃に勉強ができた人は、しっかりと勉強に集中できたからこそ結果を出せたのでしょう。そんな人が、思いきり集中して書いた文章の熱量はすごいはず。ただし、そのままでは読み手に伝わりにくい可能性があります。

前出の山口氏によると、文章に「伝えたい情熱」は欠かせないが、それだけでは伝わらないそうです。たしかに、「この新製品は〇〇がすごい! △△もすごい!」だけでは、商品のよさが伝わりませんよね。相手が何を知りたいか、どう感じるか、よく考えたうえでつくられた文章なら、グッと伝わりやすくなるでしょう。

だからこそ山口氏は、こう提唱します。

「情熱で書いて、冷静で直す」

(引用元:リクナビNEXTジャーナル|“伝わる”ための総仕上げ!「●●で直す」と文章はグッとわかりやすくなる――山口拓朗の『そもそも文章ってどう書けばいいんですか?』

前項では、読みやすくなるよう文章を磨き上げることが大切だとお伝えしました。まさに「冷静さ」はその際に必要な姿勢です。

山口氏いわく、どれだけ読む人の気持ちになれるかが重要とのこと。そのため、【 “書き手” から “読み手” に意識を切り替えたうえで、冷静に文章を推敲していく】ようアドバイスしています。これは、前出の竹村氏が提唱した “一人二役” に共通しますね。

ちなみに「冷静で直す」際は、次を注意するといいとのこと(※以下、山口氏が挙げた内容を筆者がピックアップし、まとめたもの)

  • 具体的に書かれているか?
  • わかりやすい文章か?
  • やさしい言葉や表現で書かれているか?
  • 読む人にとって必要な情報か?
  • 押しつけがましくないか?
  • 上から目線ではないか?
  • その内容に根拠はあるか?
  • 一文が長すぎないか?
  • 文面が整っているか?
    (漢字、ひらがな、カタカナ、改行、空白のバランス等)

ぜひ参考にしてみてください。

***
「勉強はできた」のに「文章が全然書けない」社会人の問題点4つについて説明しました。楽しみながら、伝わる文章が書けるといいですね。

(参考)
PHPオンライン衆知|「文章が書けない」と悩む人の9割が勘違いしていること
東洋経済オンライン|文章でバレまくる「永遠に二流の人」の共通点
日本実業出版社|「黒っぽい文章」は、読む人に嫌われる?
リクナビNEXTジャーナル|“伝わる”ための総仕上げ!「●●で直す」と文章はグッとわかりやすくなる――山口拓朗の『そもそも文章ってどう書けばいいんですか?』

【ライタープロフィール】
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