「できる人」と「できない人」の分岐点:4M4E分析で手に入れる仕事の質

パソコン関連のテーマで4M4E分析を実践したもの、全体図

どんな人間だって、大なり小なりミスはするものですよね。しかし、同じミスを繰り返す人と、繰り返さない人には決定的な違いがあるようです。その違いとは、ミスをしたあとに真因究明ができているかどうか。今回は、ミスの再発で悩むビジネスパーソンに向け、再発防止のカギを握る分析方法を紹介しましょう。

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STUDY HACKER 編集部
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あまり目が向けられていない「ミスの実態」

当然のことながら、ミスをしたことについて一番悔やむのは本人です。だからこそ気が滅入る事実と向き合うのを避け、「自分のことだからよくわかっている」などと深く追求せず、サッサと原因を特定してしまう場合があるかもしれません。しかし、それだと同じようなミスを繰り返してしまうのではないでしょうか。

行動科学マネジメントの第一人者・石田淳氏は、自身の著書『無くならないミスの無くし方』(日本経済新聞出版)のなかで、どんなミスであるかは把握できていても、その実態にはあまり目を向けていないのが現実だと述べます。

石田氏によれば、無意識のうちに日常で繰り返されていることこそが、ミスや事故の要因になるとのこと。そうしたことから石田氏は、

「ミスや事故の実態はわかっている」とのひと言で終わらせずに、まずは「ミスや事故が繰り返し発生している現場の環境」を俯瞰(ふかん)してみることが大事

(参考および引用元:日経ビジネス電子版|ミスした部下に「理由の追及」をしてもムダなわけ

だと伝えています。

仕事でミスをしてしまったビジネスパーソン。窓際でそのことについて考えている。

では、いったいどうやってミスの実態を把握していけばいいのでしょう? そこで、あるひとつの方法が浮かんできます。

4M4E分析を選ぶ理由とは?

その方法とは4M4E分析のことです。講師派遣型研修事業などを行なう株式会社インソースの、リスクマネジメント研修プログラム例には、ミスの再発要因として真因(本当の原因)の分析が不十分であることが挙げられ、これに対して4M4E分析が紹介されています。

4M4E分析は、「原因と対策を多角的に分析」することが可能な、「再発防止のカギを握る真因分析」なのだとか(参考およびカギカッコ内引用元:株式会社インソース|リスクマネジメント研修~再発防止のための真因追究と対策の徹底編(1日間))。

JR東日本の資料にも、4M4E分析を用いることで過失の要因を多面的にとらえることができ、広い観点から対策を検討できるとあります。それに加え、実践する人が理解しやすい手法でもあるそうです(参考元:JR東日本|JR東日本版4M4E分析手法の開発と導入・展開)。

根本的な原因を突き詰めていく際、やり方によっては最終的に “ミス防止には個人の意識・注意力向上が必要だ” などと、個人レベルの話にまとまってしまう可能性があります。明らかに前出の石田氏が言う “俯瞰” にはほど遠い状態ですよね。

また、どんなに効果が高くてもひどく難解であれば、取り入れにくい・継続しにくいものになってしまいます。

だからこそ、多面的にとらえられて、多角的に分析でき、理解しやすい4M4E分析は、非常に理想的なミス再発防止策と言えるわけです。

ミーティングのあとミスの再発防止について立ち話をするビジネスパーソンたち。

4M4E分析のフォーマットと方法

では、4M4E分析のフォーマットとやり方を見てみましょう。4M4E分析では、4つのMで要因を分析し、4つのEで対策立案を行なうとのこと。その内容は以下のとおりです。

  • <4つのM>
    Man:人的な要因
    Machine:モノの要因(機械や設備など)
    Media:環境の要因
    Management:管理上の要因

  • <4つのE>
    Education:教育・訓練による対策
    Engineering:技術・工学的な対策
    Enforcement:強化・徹底による対策
    Example:模範・事例による対策

国土交通省や長崎大学病院の資料を参考にすると、タテ軸・ヨコ軸はどちらでもいいようですが、以下に示したとおり起点は少し違います。

  • 国土交通省の資料:事故データ分析⇒脆弱性を把握(たとえば焦り運転など)⇒その脆弱性に対して4M4E分析を行なう。

  • 長崎大学病院の資料:インシデント事例(大きな事故になりうる可能性をもつ出来事)を挙げる⇒インシデント事例で4M4E分析を行なう。

(参考元:国土交通省|事故報告書のデータ化、傾向分析、対策立案を演習形式で学習する研修の手順書 / 長崎大学病院|インシデントを予防しよう ~安全なインスリン療法~研修

これらをふまえて実際にやってみましょう。

4M4E分析をやってみた

データ分析から始めるのは大変なので、前項の長崎大学病院の資料にならいインシデント事例を挙げ、それに対して4M4E分析を行なうかたちにしました。フォーマットも同資料にならい、4つのMをヨコ軸に、4つのEをタテ軸にします。

筆者の手書き4M4E分析フォーマット

ちなみに今回は、株式会社中村印刷所の脳スッキリノートA4判を見開きで使用しました。ノートが水平に開く特許技術が施され、集中力への効果を58%高めてくれるという特殊紙(OKシナプス)を使用しています。

このノートは、どのページを開いても真っ平らですが、1枚続きのページを見開きで使うと、のちに大きな1枚の資料としてキレイに切り離せるのでとても便利です。

脳スッキリノートは見開きをキレイに切り取れる

(画像の引用元:STUDY HACKER|【ノートのプロに聞いた】見開きいっぱいに思考が広がる「脳スッキリノート」社会人におすすめの活用術

なお、長崎大学病院が4M4E分析の資料内で挙げているインシデント事例は、インスリン関連になっていたので、筆者の場合はパソコン関連にしてみました。

たとえば、具体的要因のMachine(機械・モノ)枠に「Wifiが不安定でミーティング時に数秒間ほど発言者の声が聞こえなくなった」ことなどを書いた場合は、

手書きで少し4M4E分析を実践したもの

下方にあるExample(模範・事例)枠に、「リモートワーク中のチームメンバーにWifi設置場所のアドバイスをもらう」などの対策を書きます。

この調子で続けてみたところ――

前出のJR東日本の資料に書かれていたように、とても理解しやすい分析だと実感できました。要因を挙げ⇒対策を書くといったシンプルな手順であり、それぞれの4軸に当てはめていくのも容易に感じられたからです。

それに、とても大切なことにも気づかせられました。

パソコン関連のテーマで4M4E分析を実践したもの、全体図

対策として挙げているのは、本当になんてことない内容ばかりです。

しかし、そのなんてことない内容が、これまで実施されていなかったことが露呈したわけです。

パソコン関連のテーマで4M4E分析を実践したもの

この4M4E分析は、当たり前のようでいて、いまだ実施されていない身近な対策に、気づかせてくれる方法とも言えるのかもしれません。

***
同じミスを繰り返さない優秀な人は、ミスをしたあとに何らかの方法で真因究明を行ない、対策を立て、確実に実施しているはずです。今回はその真因分析のひとつとして、4M4E分析を紹介しました。よろしければお試しくださいね。

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