私:企画書を作成して
AI:はい、それでは企画書のテンプレートをお出しします
私:もっと具体的なアイデアを出して
AI:承知しました。以下のようなアイデアが考えられます
私:あぁ、もう! なんかWikipediaみたいな一般論ばっかり.
ChatGPTなどの生成AIとの会話、こんな経験ありませんか?
せっかくAIで仕事を効率化しようと思ったのに、返ってくる回答は一般的で表面的。「これなら自分で考えた方が早いかも……」と感じることも。
でも、質問の仕方を少し工夫するだけで、AIの回答は劇的に変わります。
この記事では「回答の質を格段に上げる質問テンプレート」をご紹介します。準備時間はたった1分で、あなたのビジネスに最適化された、具体的で実践的な提案が得られるようになります。アイデア出しの効率も、何倍にも上がるはずです。
それでは、具体的な方法を見ていきましょう。
ChatGPTを ”メンバー” として育成する
「生成AIってすごいはずなのに、なんか思うように使えない……」
じつは私も最初は同じでした。何を聞いても一般論ばかり。欲しい答えにたどり着くまでに、何度も質問を言い換えて… 正直「これなら自分で考えたほうが早いかも」と思うこともありました。
でもある日、「あ、これって人間と同じだ」と気づいたんです。
たとえばこんな場面。
あなたの会社に優秀なメンバーが入ってきました。一流大学院出身で、専門知識も実績も豊富。「この人なら即戦力になるぞ!」と期待に胸を膨らませて、初日から重要な企画を任せてみると……。
「すみません、もう少し具体的に指示をいただけませんか……?」
そうなんです。どんなに優秀でも、会社の状況や目的を理解していなければ、その力は発揮できない。
ChatGPTやAIもじつは同じでした。生成AIは本当にたくさんのことを知っている。でも唯一知らないことがあります。それは「あなたの置かれた状況」です。
AIはやり取りを続けて、出力内容の精度を段階的に引き上げていくのがいい、ということはもはや常識です。でもそれは、当然ですが、最初の質問を適当にやった方がいいということではありません。きちんと最初に前提を伝えたほうが、その後補足しながら手間が減るということです。
そういうことを前提として、最初の「前提共有」に工夫をすればいいのです。
「プロンプト」と呼ばれる質問や指示の仕方を工夫するだけで、AIは「何を言っても一般論」な存在から「頼れるメンバー」へと変わります。
優秀なメンバーは、まずチームの仕事の前提をしっかり理解しようとします。同じように、ChatGPTなどにも次の3つを伝えることが大切。
1. いまの状況(現状の正確な把握)
2. 目指したいゴール
3. 考慮すべき制約(予算、時間、リソースなど)
では、具体的な例を見ていきましょう。
ChatGPTの質問の仕方で、こんなに変わる!
ChatGPTに聞いてみても、なんかイマイチな答えしか返ってこない、とお感じの方のために、架空の「サラダ専門店」を想定して、具体例を見てみましょう。
プロンプト:
『新商品のアイデアを出して』
ChatGPTからの返答:
- SNSで話題の商品を企画する
- 季節限定商品を作る
- 既存商品のバリエーションを増やす
うーん、これじゃダメですよね。どこかで見たような一般論ばかり。しかも具体性がないから、明日から何をすればいいのかさっぱりわかりません。
では、ちょっと質問の仕方を変えてみましょう。
プロンプト:
『私たちは都心のオフィス街でサラダ専門店を経営しています。健康志向の方をターゲットに、ランチは好調なんですが、夕方以降の売上があまりよくありません……。
店舗は駅近で、周辺にはジムも多いんです。予算は1商品あたり原価300円以内で、2週間以内に始められる新商品のアイデアをもらえませんか?』
ChatGPTからの返答:
1. “ジム帰りの栄養補給セット”(299円)
- プロテイン入りグリーンスムージー+ミニサラダ
- ジム利用者の補食需要に対応
- 既存の材料で対応可能
2. “おつまみサラダボウル”(280円)
- 帰宅前に買って帰れる、おつまみ感覚の小分けサラダ
- 既存サラダの少量版+ナッツ追加で簡単製造
3. “デリバリー限定・夜まかないセット”(250円)
- 近隣オフィスの残業需要に対応
- 既存サラダの規格外野菜活用でコスト抑制
全然違いますよね!
じつは、ChatGPTは「説明が詳しければ詳しいほど」具体的な提案をしてくれます。
特に大切なのは
- どんな状況か(業態、場所、お客様の特徴)
- 何に困っているのか(いまの課題)
- どんな制約があるか(予算、時間、材料など)
- 何が欲しいのか(具体的な提案数)
この4つ。これだけで、返ってくる答えはグッと実践的になります。
「でも、毎回そんな長い説明を考えるのは大変.……」
そう思いましたか?
大丈夫です。これを簡単にできる「質問テンプレート」を用意しました。
【実践テンプレート】ChatGPTの使い方を劇的に改善する7つの質問
実際のテンプレートがこちら。これに沿って空欄を埋めるだけです。
📝 質問の魔法のテンプレート
私たちは:________
(例:都心でサラダ専門店を経営してます。健康志向のお客様が中心です)
目的は:________
(例:夜の時間帯も、もっと多くの方に健康的な食事を楽しんでほしい)
大切にする価値観は:________
(例:やっぱり健康第一。でも手軽さも大切にしたい)
いまの課題は:________
(例:夕方以降はガラガラで……17時過ぎると客数がグンと減る)
目標は:________
(例:まずは夜の売上を1か月で20%上げたい)
条件・制約は:________
(例:新しいスタッフは雇えないので、いまのメンバーでできること)
求める観点は:________
(例:明日からすぐ始められて、でもいままでにないおもしろいアイディア)
「えっ、こんな簡単なの?」
そうなんです。でも、このテンプレートにはじつはビジネスの核心をつく要素が全部詰まっています。
- いまの状況(現状分析)
- 目指すところ(目標設定)
- 大切にしたいこと(価値観)
- 実現のための条件(実行条件)
これだけの情報があれば、ChatGPTを初めとする生成AIはあなたのビジネスに合わせた、具体的で実践的な提案ができるはず。
ちょっとしたコツをお伝えすると、
- 数字は具体的に
「売上アップしたい」より「20%アップしたい」 - 期限ははっきりと
「そのうち」より「1か月以内に」 - 制約も細かく
「予算が少ない」より「ひとりあたり5,000円以内で」
言葉を具体的にするだけで、返ってくる答えはグッと実用的になります。
AIを「オンボーディング」するという発想
新しいメンバーが入社したとき、私たちは何を伝えるでしょうか?
会社の状況、目指すゴール、大切にしている価値観……。チームの一員として活躍してもらうために必要な情報を、ていねいに共有します。
じつは、AIにも同じことが必要なんです。
「AIアシスタント」として使うのではなく、「チームの新しいメンバー」として迎え入れる。そんな意識が、返ってくる回答を大きく変えます。
- いま、あなたの目の前にある課題。
- あの新規事業の企画書
- なかなか進まない業務効率化
- 伸び悩む売上
- 新商品のアイデア出し
これらは、チームで取り組むべき重要な課題です。
このテンプレートは、まさにChatGPTへの「オンボーディング資料」。新しいメンバーに伝えたい情報が、きちんと整理されています。
そして驚くべきことに、たった1分でこのオンボーディングは完了します。
このテンプレートを使えば、ChatGPTはあなたのチームの一員として、ビジネスを理解し、実践的なアイデアを提案してくれるようになります。
……さぁ、あなたの生成AIを、チームの中核メンバーに迎え入れましょう。今すぐ、テンプレートを開いてみませんか。
岡 健作(おか・けんさく)
スタディーハッカー 代表取締役社長
1977年生まれ、福岡出身。同志社大学(文学部英文学科)在籍中から英語教育に関わる。大手学習塾の講師・教室長を経て、2010年に京都で恵学社(現:スタディーハッカー)を創業。“Study Smart”(学びをもっと合理的でクールなものに)をコンセプトに、第二言語習得研究(SLA:Second Language Acquisition)などの科学的な知見を実際的な学びの場に落とし込んだ予備校を立ち上げる。予備校で培った英語指導ノウハウを活かした社会人向けの英語のパーソナルジムENGLISH COMPANYを2015年に設立。その他、学びやスキルアップにまつわるアプリ開発なども行なっている。