これであなたも整理整頓の達人に!机の上にもPCにも効く、きれいを保つ“2つの原則”

乱雑なオフィスを背景に "A Clear Desk, A Clear Mind" の文字と共に整理整頓された仕事机が中央に配置されている。

せっかく整理しても、なぜだかすぐにデスクまわりが散らかってしまう……。毎日忙しいビジネスパーソンなら、それも仕方がありません。ただ、その状況はあなたの仕事に悪影響を与える可能性があります。

2024年10月22日にニューロン誌で発表されたイェール大学の研究では、視覚的に散らかった環境を視野に入れた場合、脳の情報処理効率が低下することが示唆されました。*1

そこで今回は、「仕事机を片づけてもすぐにリバウンドしてしまう……」とお悩みの方に向け、モノが散らかる理由と、きれいなデスクを無理なくキープできるコツをご紹介します。

なぜモノが散らかるのか?

意を決してデスクまわりを片づけても、気がつけばもとの散らかった状態に逆戻り。そうなってしまう理由はなんでしょう? 自分に置き換え考えてみると、忙しいこと、どこに何を置くのか決まっていないこと、物が多すぎることなどが原因ではないかと感じます。

整理収納アドバイザー・お部屋と心のカウンセラーの中山真由美氏は、散らかる理由をこう指摘していました。*2

  • 忙しいので片づけを後回し⇒散らかり具合がどんどん蓄積
  • とりあえず「きれにいに見せたいから」収納に頼る⇒物が増える⇒結果としてそれが散らかる原因に

とはいえ、常に整理された状態にしているのは難しいので、「散らかってもすぐ元に戻せる」ような仕組みをつくればいいと中山氏は言います。*2

つまり、 具体的なルールを決め、簡単にリセットできる環境を整えてしまえばいいわけです。そこで今回は、事務効率化コンサルタントとして活躍するオダギリ展子氏の整理術を参考にしてみましました。

整理法1:入口から出口へと整理の流れをつくる

封書やメモ、書類などが一見きれいに積み重ねられた机を前に、「あれ、〇〇はどこに置いたっけ?」などと言いながら毎回探しているならば、その整理法は間違いかもしれません。解決のカギは、机の上に入口と出口を設けた「整理の流れ」をつくることです。

前出のオダギリ氏は「机周りの書類整理や管理」について、「作業しやすい仕組みや環境をつくること」「机の上に書類の流れをつくり、何がどの段階でどこにあるのかをクリアにすること」が大切だと語り、以下イラストのような流れをつくるようアドバイスしています。*3

仕事机の線画に示された番号と矢印。

*3 内のイラストを参考に編集部とAIが作成。入口から出口への流れをつくる。

具体的にはこうした流れをつくります。*3

  1. 未処理の封書・メモ・書類などの保管場所としてトレーを置く(入口)
  2. 稼働中の書類は複数のボックスファイルなどで段階別に保管(稼働中)
  3. 保留専用の保管場所もいずれかに設置(保留)
  4. 処理が済んだら机上から撤去(出口)

このように流れを整えることで、何がどの段階にあり、どこに置かれているのかが明確になり、業務全体の進捗状況が把握しやすくなる――また、探し物に費やす時間やストレスから解放されて、集中しやすくなるとオダギリ氏は言います。*3 

デジタルで入り口から出口への流れをつくってみた

ここで独自に、前段の物理的な整理の流れを、パソコン内のデジタル整理に置き換えてみました。次のようになるのではないでしょうか。

  1. 未処理の専用フォルダを作成(入口):たとえば一時的に保管する専用フォルダをデスクトップやクラウドストレージ(例:Google Drive、OneDriveなど)上に作成。
    フォルダ名例:未処理、To Process。

  2. 進行中の作業ごとにフォルダを分けて保管(稼働中):作業段階別またはプロジェクトごとに専用のフォルダを設ける。
    フォルダ名例:進行中_レビュー待ち、進行中_校正中。

  3. 保留専用フォルダを作成(保留):判断が必要な書類や作業を後回しにするファイル専用のフォルダを設ける。
    フォルダ名例:保留中、Pending。

  4. 処理済みのファイルをアーカイブまたは削除(出口):処理済のものは、手動で作成もしくは設定したアーカイブフォルダに移動するか、不要であれば削除。
    フォルダ名例:完了済み、Archived。

また、やり方によっては全自動化が可能かもしれません。たとえばこんな感じです。

タスクスケジューラで未処理のファイルを稼働中もしくは保留フォルダに振り分け、タスク管理ツールで段階別に整理。さらに、カレンダー連携で保留期限を管理し、クラウドストレージの自動整理機能を活用して処理済みファイルをアーカイブフォルダに移動させたり、不要ファイルを一定期間後に削除したりするルールを設定。

これができれば便利ですが、さすがにこれは多くの人にとってハードルが高め……。もしも挑戦するのであれば、手動操作も残し、ツールを絞り込んでしまうといいのではないでしょうか。

いずれにせよ、整理整頓が効率化の手段のひとつであることは確かです。どれかひとつでも、小さなことから試してみてください。

パソコン内でファイル整理を自動化しているビジネスパーソン

整理法2:分割してスキマ時間利用

また、もうひとつオダギリ氏が提案している「7分割整理法」は、あらかじめ机をエリア分けして、段取りを決めておく方法です。スキマ時間を使って整理整頓できるので、ビジネスパーソンにはピッタリかもしれません。*4

手順は以下のとおり。

  • 手順1:デスクを7つのエリアに分けておく
    (1)机上左側
    (2)机上右側
    (3)センターの引き出し
    (4)サイド1段目の引き出し 
    (5)サイド2段目の引き出し
    (6)サイド3段目の引き出し
    (7)机の下

  • 手順2:手が空いたらエリアごとに2ステップで片づける
    【ステップ1:不要な物の処分】デスクまわりに置かないものを撤去
    【ステップ2:整頓】空いたスペースと周辺を整頓

「7分割整理法」の図解

オダギリ氏の説明 *4 を基に「7分割整理法」のエリア分け図解を編集部が作成

こうやって決めておけば、「今日はこのエリアをやったから次はここ」といった具合に進めることができ、「負担にならず楽しくできます」とオダギリ氏は伝えています。*4

デジタルで「7分割整理法」をやってみた

この「7分割整理法」も独自に、パソコン内のデジタル整理に置き換えてみました。あらかじめパソコン内をエリア(フォルダやセクション)ごとに分け、それぞれの整理ルールを決めておくやり方です。手順は以下のとおり。

  • 手順1:パソコン内を7つのエリアに分ける
    (1)デスクトップ左側 → 仮置きファイルや未整理データ用のエリア
    (2)デスクトップ右側 → 作業中のプロジェクト専用エリア
    (3)メインフォルダ(例:ドキュメントフォルダ) → 定期的にアクセスする重要ファイル
    (4)サブフォルダ1(例:アーカイブ用フォルダ) → 処理済みファイルの保存場所
    (5)サブフォルダ2(例:ダウンロードフォルダ) → 一時的なファイル置き場
    (6)クラウドフォルダ(例:Google Drive、OneDrive) → オンライン共有やバックアップ用
    (7)ゴミ箱 → 削除済みファイルの最終確認エリア

  • 手順2:時間が空いたら、エリアごとに次の2ステップで片付ける
    【ステップ1:不要なファイルの処分】不要なファイルを削除またはゴミ箱に移動。必要ならクラウドや外部ストレージにバックアップ。
    【ステップ2:整頓】ファイル名を分かりやすくリネームし、適切なフォルダに移動。未整理のデータを整理し、空いたスペースを確保。

こうすることで、たとえば「オンライン会議まで5分あるからデスクトップ左側を整理しておこう」「電話を待つうちにゴミ箱をチェックしてみよう」などと、パソコン内もスキマ時間に整理整頓できるのではないでしょうか。散らかる余地もなくなりそうです……!

***
整理整頓のコツは、まず「仕組み」をつくること。それを習慣化してしまえば負担もグッと少なくなるはずです。ぜひ一度お試しください!

【ライタープロフィール】
上川万葉

法学部を卒業後、大学院でヨーロッパ近現代史を研究。ドイツ語・チェコ語の学習経験がある。司書と学芸員の資格をもち、大学図書館で10年以上勤務した。特にリサーチや書籍紹介を得意としており、勉強法や働き方にまつわる記事を多く執筆している。

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