
英語の長文問題を解いていて、ふと時計を見ると、残り時間が思ったより少ない。単語もわかるし、文法も習ったはずなのに、一文ずつ日本語に直しているうちに時間がどんどん過ぎていく。模試のたびに「時間が足りなかった」で終わってしまう。
そんな経験はありませんか? 読むのが遅いと、自分には読解力がないのだと考えがちです。でも、遅さの原因が、英文を一度日本語に訳してから理解するという読み方そのものにあることも少なくありません。
英語を英語の語順のまま理解できるようになると、同じ英文でも読む速さは大きく変わります。その手がかりになるのが、「認知文法」という文法の捉え方です。
- 共通テストは80分で約5,600語。私大入試も長文化している
- 訳しながら読むと、英文を後ろから読み返すことになる
- 認知文法は、文法の「形」と「意味」を結びつける
- わかっただけでは、速く読めるようにはならない
- 時吉秀弥の授業で、英語を英語のまま処理する方法を体験
共通テストは80分で約5,600語。私大入試も長文化している
2026年1月の大学入学共通テストでは、英語リーディングの総語数は約5,600語でした。試験時間は80分です。*1 *2
設問を読み、選択肢を比べる時間も含めて、1分あたり70語ほどのペースで進まなければならない計算です。
長文化しているのは、共通テストだけではありません。私立大学の個別試験でも、英文の量は増えています。
英語塾のJ PREPがまとめたデータでは、慶應義塾大学医学部の英語の出題語数は、1989年の1,269語から2025年には2,430語と、およそ2倍になっています。
同じ慶應義塾大学の経済学部では2,111語から4,285語へ、早稲田大学法学部では2,172語から3,720語へと増えています。*3
共通テストはリセマム掲載の代々木ゼミナール分析、私大入試はJ PREP「データで見る難化する大学入試英語」をもとに編集部作成。増え方は編集部が計算。
これだけの量を、一文ずつ日本語に訳しながら時間内に読み切るのは簡単ではありません。

訳しながら読むと、英文を後ろから読み返すことになる
訳して読むと時間がかかる一番の理由は、よく言われるように英語と日本語の語順の違い。たとえば、次の英文を見てください。
これを自然な日本語にすると、「高校を卒業したあと、留学することに決めた」となりますね。
日本語の文では、英文の最後にある after graduating from high school が先頭に来て、文頭の I decided が最後に回ります。
つまり、訳しながら読むと、目は英文の後ろまで進んでから、また前に戻ることになります。これを「返り読み」といいます。
1文ならわずかな差でも、長文全体では何度も「返り読み」をすれば、そのぶん時間を取られるのです。
そこで、英語の語順のまま読むようにすればいいのです。そうすれば同じ英文を頭から順に理解できます。具体的に見てみましょう。
こう読めるのは、to study abroad の to を見た瞬間に、ここから先は「決めたことの中身」だとわかるからです。
その感覚を支えているのが、認知文法の考え方です。

認知文法は、文法の「形」と「意味」を結びつける
認知文法は、英語のネイティブが物事をどう捉えているかという視点から、文法の形と意味を結びつけて理解する考え方です。
規則を形だけで覚えるかわりに、「なぜこの形になるのか」を意味から説明します。
「to不定詞」を例に見てみます。
学校で、
「want、hope、decide、plan は to不定詞を目的語にとる」
「enjoy、finish、avoid は動名詞を目的語にとる」
と習い、そのまま暗記した人も多いはずです。
認知文法では、to不定詞の to を、前置詞の to と同じ「向かう先」のイメージで捉えます。
go to school の to が行き先を示すように、to不定詞は「これから向かう行為」を表すと考えるのです。
そう考えると、want(したい)、hope(望む)、decide(決める)、plan(計画する)が to不定詞をとる理由がわかります。
どれも、まだ実現していない、これから向かう行為についての動詞です。
一方の enjoy(楽しむ)、finish(終える)、avoid(避ける)は、行為そのものを頭に思い浮かべて扱う動詞なので、動名詞と結びつきます。
remember は、この違いで意味まで変わる動詞です。
1つ目の to は、これから向かう行為を指しています。2つ目の locking は、実際に行った行為を思い浮かべています。
形と意味が結びついていれば、「remember to はこれから、remember -ing は過去」と暗記していなくても、英文を見た瞬間に意味がわかります。日本語に訳して確かめる手間が、そこで一つ減るわけです。

わかっただけでは、速く読めるようにはならない
ここまで読んで、「なるほど」と思った人もいるかもしれません。ただ、仕組みに納得しただけでは、試験本番で速く読めるようにはなりません。
理解しただけでは、ただの英語の知識がある「ものしりさん」になっただけ。
次に重要なのは、トレーニング、練習ですね。
初めて見る英文で to が出てきたとき、考えなくても「この先は向かう行為だ」と受け取れるようになって、はじめて読む速さが変わります。
学び舎東京では、認知文法で文法の形と意味を理解したうえで、英文を意味のまとまりごとに頭から読むチャンクリーディングなどのトレーニングを徹底的に行います。理解と練習を組み合わせて、「わかる」だけでなく「できる」を実現していきましょう。
時吉秀弥の授業で、英語を英語のまま処理する方法を体験
10月31日(土)14時から、医学部・難関大を目指す高校生・既卒生と保護者に向けた無料ウェビナーを開催します。セミナーでは、この認知文法の授業を実際に体験できます。
講師は、『英文法の鬼100則』の著者で、ENGLISH COMPANYのシニアリサーチャーを務める時吉秀弥です。
ENGLISH COMPANY創業者の岡健作も登壇し、第二言語習得研究をもとに、限られた時間で英語を伸ばす学び方を解説します。高校1年生から参加でき、保護者のみの参加も歓迎します。
【受験生のための「科学的英語学習」の記事はこちら】
*1: リセマム|【共通テスト2026】英語の分析…東進・河合塾・データネット・代ゼミ速報まとめ
*2: 旺文社 教育情報センター|共通テスト「試験時間、配点」発表!
*3: J PREP|データで見る難化する大学入試英語
STUDY HACKER 編集部
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