皆さんは「論理的」という言葉を正しくとらえていますか。

キャッチコピーは、「30分で読めて、一生、あなたの役に立つ本」。13歳のための、というタイトルになってはいますが、内容は本格的。論理とは何かを網羅的に解説しており、13歳とは言わず、大学生や社会人にも一読の価値のある一冊となっています。

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『13歳からの論理ノート 「考える」ための55のレッスン』
小野田博一著
PHP研究所 2006年
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(以下引用は本書より)

察し合いによるコミュニケーションが浸透している日本社会。確かに、美しい人間関係ではありますが、捉えようによっては、「なぜ」を軽視した、非論理的なコミュニケーションがはびこっている社会であるともいえます。「なぜ」をきちんと問わずに「きっとそういうことだろう」で済ませるこの文化では、何かに関する主張に対しても「察する」というスタンスで臨みがちです。その結果、論理的に考えれば筋の通らないものまで受け入れてしまう、というような事態が起きるのです。

この本は、論理的であることとは何かを説明した1章、論理的であるための考え方を説いた2章、論理的な文章を書くための方法を解説した3章の、3部構成になっています。

そもそも「論理的」ってなんだ?

著者曰く、論理的であるということは、何かの理由の部分に「もっともな感じ」があること。しかし、その「もっともな感じ」とは人それぞれであり、絶対的な基準も存在しないといいます。

だからこそ、意見を述べる際にはその意見が「読み手や聞き手にとって」論理的であるようにしなければならないのです。1章では、論理学の概念を手軽に紹介しつつ、論理的であるということをクイズを交えてわかりやすく説明しています。

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論理の省略に人はごまかされる

2章では、意図的に前提を省略することで、理屈の通らない主張を通そうとするトリックに気を付けるようにと著者は言います。例えば下の文章。

歩きタバコは不快である。歩きながらタバコを吸うことは禁止するべきである。

一見、妥当なことを言っているように感じるのではないでしょうか。しかし、この文章は、ある前提を省略しているのです。それは「私にとって不快なことはすべて禁止するべきだ」というものです。それを考えて、先ほどの文章を完全なものとすると、

歩きながらタバコを吸っている人がいるのは私には不快だ。私に不快なことは、すべて禁止すべきだ。したがって、歩きながらタバコを吸うことを禁止すべきだ。

となります。こうなると、一転して身勝手な発言だという印象を持つと思います。このような乱暴な、論理が破たんしている主張をする人は、それをもっともらしくするためにあえて論理を省略することがあります。なぜかはわからないが、論理的におかしいと感じる言葉に対しては、省略されている前提が何かを考えると、理屈の通らない前提が見つかるといいます。

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論理的な文章のつくり方

この本の3章では、1、2章の内容を踏まえたうえで、説得力のある文章の書き方が説明されます。

1. まずは結論を考える
2.導入として、結論の短縮版と、それを支える理由を考える
3.2で書いた「支える理由」の詳細を書く

基本的にはこの手順をきちんと踏むことで、論理を突き詰めた説得力のある文章が書きあがるといいます。もちろん、1、2章で学んだ論理構造を守った上での話です。

自分の感情について言及したり、主語に「私」を用いることで主観的な印象を与える文章になったりしてはいけないなど、あくまで意見の受け手にとって「もっともらしい」記述を心掛けなければならない、と著者は語ります。

***
論理的思考の重要性は繰り返し説かれてきたものの、それが果たして自分には身に付いているのか。それをチェックするという意味でも、この本は面白いでしょう。人生のどの時期においても、学ぶことのある良著であるといえると思います。

参考文献
小野田博一著(2006),『13歳からの論理ノート「考える」ための55のレッスン』PHP研究所