勉強する中で、生活する中で、誰しも必ず一度は抱くのが劣等感。 この劣等感、そこにこだわりすぎると前に進む気力も奪われてしまう厄介者。 でも、本当は劣等感は私たちの味方だったんです。 劣等感の本当の意味とともに、劣等感を克服するためのメソッドをご紹介します。
劣等感って本当に悪いもの?
他人と比較すると自分が劣っていると思う部分に関して私たちが抱く劣等感。 劣等感という言葉を最初に考えたのは、心理学者のアルフレッドアドラーだと言われています。 実は、現代に生きる私たちの多くが、アドラーの言っていた「劣等感」の意味を勘違いしてしまっているのです。
私たちは誰しも、もっと勉強ができるようになりたい、とか、もっとかわいくなりたい、とか、現状に対してある種の欠乏感を持っています。アドラーは、この欠乏感を劣等感と名付けました。 そして、その劣等感は日々の生活や、自分の目標を達成するための推進力となる、宝物のようなものだと捉えていました。
「私は勉強ができないからやったって無駄だ」と劣等感を言い訳に、やるべきことから逃げてしまうことをアドラーは「劣等コンプレックス」と呼び、それが私たちの言うところの「劣等感」と混同されてしまっているのです。
だから、劣等感を抱くこと自体は、何も問題がないんです。 問題は、その劣等感を適切な行動につなげられるかどうか。
劣等感克服のためのメソッド
アドラーは言います。
人の心理は物理学と違う。問題の原因を指摘しても、勇気を奪うだけ。 解決法と可能性に集中すべきだ。
これは、弱点を見て見ぬふりをしようと言う訳ではありません。 自分の弱点にとらわれすぎて、進む元気さえなくなってしまうことはありませんか? アドラーはまた、
できない自分を責めている限り、永遠に幸せにはなれないだろう。 今の自分を認める勇気を持つ者だけが、本当に強い人間になれるのだ。
とも述べています。. つまり、今の自分の弱点を、まず見つめる。 そして、その場で踏みとどまるのではなくて、その弱点を克服するためにはどうしたらいいかを考えだしてしまうのがコツなんです。その場で踏みとどまっていると、自分ってなんてだめなんだろう…と落ち込むばかり。 自分の弱点を洗い出した後に、すぐ解決法と良くなる可能性に目を向けそちらに集中すれば、劣等感を推進力にして行動に移すためのステップはもう踏めていると言えます。
ここで例として紹介したいのが、漫画家わたなべぽんさんの、『スリム美人の生活習慣をマネしたら1年間で30キロ痩せました』。
わたなべぽん著『スリム美人の生活習慣をマネしたら 1年間で30キロ痩せました』 (メディアファクトリー、2013年)
この中で、ぽんさんが自分のコンプレックスを書き出すところがあります。
ぽんさんは一瞬自分ってなんてだめなんだろう…と落ち込むのですが、自分が書き出したコンプレックスを見つめながらふと気づくのです。
例えば、「爪が汚い」。痩せている時はネイルにも凝っていたのに最近はささくれだったままもちろん何も塗らずに放置して……。でも爪のケアって、太っていたってできるのに、なんで怠っていたんだろう?と。
すると、太っているからこんなことをしても似合わない、とネイルをしなくなっていた自分に気が付きます。そして、昔買ったネイル用品を引っ張り出してきて、ネイルをしてみるのです。 それだけで、気持ちが上向きになり、他の部分も実はできない、んじゃなくてやっていなかっただけなんじゃないかということに気が付くのです。
劣等感克服の秘密は、まさにここにあります。 またアドラーの言葉を借りれば、
「やる気がなくなった」のではない。「やる気をなくす」という決断を自分でしただけだ。 「変われない」のではない。「変わらない」という決断を自分でしているだけだ。
ということなんです。 だから、劣等感克服のメソッドは、
①自分のなりたい像を描いてみる ②①と比べて、自分のだめなところを書き出してみる ③すぐに改善できそうなところを探してみる→即実行に移す ④どんどん改善策を考える
このメソッド、神経科学的にも理にかなっています。 脳には作業興奮というものがあり、やろうと迷っていたことでも、一度やりだしてしまえば脳が活性化し、ぐんぐんやる気が湧いてくるというもの。 今劣等感に悩んで先に進めなくなっている人は、このメソッドを試してみませんか? 見えない敵が一番怖い。あぶりだしてみたら、意外と大したことはなくて、すんなり前に進めちゃうかもしれません。 まずは自分を見つめなおして、劣等感をうまく使いこなしちゃいましょう。
参考 wikipedia>アルフレッド・アドラー アドラー心理学 勇気づけのページ

