自分はあがり症だ、と思う人はどのくらいいるでしょうか? あがり症とまでは行かなくとも、人前で発表をしたり、目上の人と会話するのが苦手だったりする人は、少なくないのでは?
かくいう私も、クラスメートの前で発表するだけで汗だくになり、震えが止まらなくなる、重度のあがり症でした。現在でも、発表となると緊張して早口になってしまいます。
“あがり”さえしなければ、もっと上手にプレゼンできたのに……。だけど、昔からあがっちゃうし、しょうがない。そんな風に投げやりになっていませんか?
しかし諦める必要はありません。あがり症になってしまうのには科学的な理由があり、ちゃんと克服できるものなのです。
今回は皆さんに、あがり症のメカニズムと、その対処法をお伝えします。
“あがる”ってどういうこと?
あがり症の人と、そうでない人の違いはなんでしょう?
人は、緊張するとノルアドレナリンが分泌され、これが交感神経を刺激します。すると、体温が上昇し、発汗や心拍数の増加につながります。これは、誰にでも起こる正常な反応です。
あがり症の人は、この反応が通常の人よりも強いということ。
なぜ反応が強いかというと、他人からの評価が気になりやすい体質だからです。これを、「公的自己意識が高い」と呼びます。反対に、他人からの評価が気にならない体質は、「私的自己意識が高い」と言います。
つまり、「あがり症=公的自己意識が高い」ということです。
カラオケに見るあがり症
あがる人とそうでない人がはっきりしやすい最たる例は、人前で話す時です。それに加えて、該当する場面がもう一つあります。
それは、カラオケです。カラオケに何人かで行った時、人は2種類に分類されます。“楽しく歌える人”と“楽しく歌えない”人ですね。さらに、“楽しく歌える人”には2パターンあります。
①歌が上手い人 ②歌は下手だけど、私的自己意識が高い人
逆に、“楽しく歌えない人”というのは、①と②のどちらも満たしていない人です。つまり、「歌が下手で、公的自己意識が高い」ということ。カラオケで楽しく歌えない状態から脱するためには、どちらか一つさえ克服すればいいのです。①歌が上手くなるか、②歌が下手でも私的自己意識が高くなるか、で解決できるというワケ。
練習を重ねて、技術を自信にしよう
①の歌が上手い人になるためには、練習が必要ですよね。つまり、ヒトカラをすればいいのです。
これをプレゼンに置き換えると、家や空き教室・会議室などで一人で練習すればいい、ということになります。そして、そのプレゼンに自信が持てるようになれば、人前で堂々と発表できます。
でも、いくら一人で練習したからといって、いきなり大勢の人を前にしたら、やっぱり緊張して上手くできないかもしれません。なのでまずは、友人や同僚1人に対してプレゼンをしてみましょう。カラオケで言えば、友達と2人で歌いに行くということ。
聞き手が0人と1人では、緊張のレベルが段違いです。そうやって次第に緊張に慣れた上で、大人数を相手にした本番に臨むのが良いでしょう。
自分に集中して私的自己意識を高めよう
②の私的自己意識が高い人になるためにはどうすばいいでしょう? 気にするなと言われても、やはり他人の目は気になってしまいますよね。
そういう人は、なるべく自分自身に集中しましょう。自分の世界に入り込むことで、次第に私的自己意識が高まり、他人の目が気になりにくくなります。プレゼンでは、次に話す内容や、ちゃんと説明できているかを考えるほか、早口になりすぎていないか、姿勢はしっかりしているかなど、ひたすら自分について考えるのがおすすめ。
また、裏技として、超ネガティブになるという方法もあります。「どうせ自分のプレゼンなんて誰も聞いてない」「何を言っても評価なんかもらえない」「プレゼンが上手くなくたって別にいいや」このように思うことで、他人の目が気にならなくなるものです。もし、その結果としてプレゼンが評価されたら、嬉しさも倍増するというメリットもあります。
マツコ・デラックスさんも、自身の番組の中でこう語っています。
「世の中って、思っているほどみんな他人(ひと)に興味ない」 「プレゼンなど人前で話すのがうまいと評判の人が、果たして幸せな人生かというと、そうとは限らない」
(引用元:キャリコネニュース|アガリ症が知っておきたいタモリの名言 「緊張できることをやらせてもらっていることを、幸せだと思うことだよ」)
ただ、この方法を使いすぎると、段々自分に自信がなくなってしまいますから、ほどほどにしましょうね。
*** “あがる”ことが予めわかっているのなら、準備しておけばいいのです。私もこれらを実践することで、緊張が軽減されるようになりました。みなさんも、ぜひ実践してみてください。
(参考) 医療法人 和楽会|あがり症の特徴とメカニズム Direct Communication|あがり症改善コラム①~精神論では片づけられない~ キャリコネニュース|アガリ症が知っておきたいタモリの名言 「緊張できることをやらせてもらっていることを、幸せだと思うことだよ」