自分と向き合い、思索にふける。ビル・ゲイツの毎年の習慣『Think Week』

Microsoft社CEOで、世界長者番付1位のビル・ゲイツ。彼が “習慣” としていて、私たちが普段していないことはたくさんあります。その代表的なもののひとつが「Think Week」。

世界で一番のお金持ちが毎年必ず行っている習慣ならば、ぜひ私たちもまねしてみたいものですね。今回は、ビル・ゲイツが実践する「Think Week」の効果とやり方をご紹介します。

Think Weekとは

直訳すると「考える週」。ビル・ゲイツは年に2回、個人的な隠れ家とも言える別荘で、いつもの業務から完全に離れ、思索にふける週を設けています。1週間の間、外部との接触を完全に遮断するため、会社のメンバーや友人、家族さえもゲイツに連絡を取ることは許されていません。

Think Weekは、静かな場所で自分と向き合い、仕事や人生に関わる重要な決断をする時間。ただリラックスする休暇とは違います。ビル・ゲイツによると、日常業務に煩わされず思考に専念し、一歩離れて問題を考えることが重要なのだとか。

誰にも何にも邪魔されないところで、読みたい本を読み、考えたいことを考える。高みから現状を見下ろし、新たな視点で自分の目標や願望について思索を深める。そんな1週間です。

Microsoft社の成功を支えるThink Week

Think Weekなしには、Microsoft社の発展は語れません。なぜなら、Think Weekでなされた決断によって、会社の方向性が変わり、その結果「IT革命」を先導することに成功したから。

1995年のThink Weekで、ビル・ゲイツはインターネットに焦点を当てて1週間徹底的に調べ、考えたそう。そして、Microsoft社の全役員に “The Internet Tidal Wave(インターネットの大変動)” というタイトルのメールを送りました。このメールはネットサーフィンの未来を正確に予測した内容だったのだとか。

そのわずか数ヶ月後には、Microsoft社は、独自のウェブブラウザであるInternet ExplorerやMSN(Microsoft Network) というポータルサイトを開始。競合他社を打ち負かす勢いでインターネット事業を成長させ、1995〜2000年のパソコンとインターネットの普及を牽引することになります。

また、2000年にXboxをはじめとしたゲーム市場への進出を決定したのも、2008年にMicrosoft社の日常業務を離れ、ビル&メリンダ・ゲイツ財団を通して慈善事業に専念することを決断したのも、Think Weekによるものでした。

Think Week中のビル・ゲイツの過ごし方

Think Weekの間、ビル・ゲイツは何百もの新聞や雑誌、事業報告書に目を通し、テクノロジーの未来について思索を深めているのだとか。

読んだ記事や書類にコメントを書き記し、そのコメントを紙に印刷して重ねると15cmほどの厚さになるほど! 時には集中しすぎて、18時間休憩なしで読み続け、考え続けることもあるそう。

Think Weekのために、年に何度かオフィスを離れる。その間は様々な分野の知識を得るために読書をしたり、同僚が作ってくれた資料に目を通したりする。なかには最前線のコンピュータサイエンスの動向が把握できる博士論文も含まれている 。

(引用:パン・ ヒョンチョル(2013),「大富豪のお金の教え」, CCCメディアハウス. )

ヘリコプターに乗って2階建てのコテージの屋根に降り立つ。お客の訪問はすべて断る。家族を含め、どんなに親しい知人でもコテージの中に立ち入ることは禁じられている。1日2回、食事だけが運ばれてくる。Think Weekの朝は、ベッドの上でマイクロソフトのエンジニアや生産部門のマネジャーが作成したアイデア報告書を読むことから始まる

(引用元:日経ビジネスONLINE|休暇は仕事を離れ思考に専念

Think Weekの終了が近づくと、Microsoft社の何百人もの従業員に事業戦略や会社のビジョンに関してメールを送り、経営幹部にThink Weekで得た考えのまとめを書いて届けるそうですよ。

Think Weekのメリット

普段、業務に追われて、人生や仕事において本当に「やるべきこと」に取りかかる時間がないという人も多いはず。重要な問題は、スキマ時間に片付けるのはなかなか難しいですよね。

Think Weekのように、まとまった時間を見つけてひとつのテーマに徹底的に向き合い、「重要だけれども緊急ではない」タスクに集中して取り組むことで、落ち着いて最善の決断を下すことができるようになります。

予防医学研究者の石川善樹氏によると、働き方改革には、無駄を省いて効率化すること、知的生産性を上げることのふたつのアプローチがあるそう。Think Weekは後者の知的生産性を上げるのに効果的な手段と言えるでしょう。

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Think Weekを実践するときのコツと手順

今でこそビル・ゲイツはヘリコプターで別荘に行っていますが、そんな彼も最初のThink Weekでは祖母宅を訪れることから始めたそう。

Think Weekを実践するにあたり、必ずしも億万長者と同じような環境を整える必要はありません。まずはできることから始めれば十分。以下、気軽にThink Weekに取り組むためのコツと手順をご紹介します。

1. 週末、”Think Weekend”の時間を設ける 1週間だとなかなか休みを取りづらいもの。まずは週末に挑戦してみてはいかがでしょうか。1~2日間だけでも、集中して行えば大きな成果を得ることができますよ。 2. 何も予定を入れず、日常生活の流れを遮断する いつもの生活はいったん完全にストップ。仕事や友人との約束だけでなく、ジム通いや料理、掃除などのルーティーンワークもできればやらなくて済むように調整するのが理想です。 3. ひとりになれる静かな場所に行く 自宅のような慣れている環境ではなく、普段は行かない場所がおすすめ。日帰りならば、近くの公園や静かなカフェが活用できます。泊まりがけなら、近所の旅館、ホテルなども良いでしょう。ひとり暮らししている人は実家に帰り、自分の部屋にこもってみては。 4. テーマを決め、To doリストを作り、調べ、考え抜く テーマは「転職すべきか否か」「業績を上げるためには何ができるか」のように、仕事や人生、キャリア選択をはじめとして、自分にとって重要なことなら何でもかまいません。テーマに応じて情報収集や思考の整理に必要なタスクをリスト化し、順を追って進めていきましょう。 5. 考えたことを全て書き出し、結論を導く 調べてわかったことやコメントを記しておけば、決断を下すうえで役立つ情報を整理するのに便利。考えたことを手書きで片っ端から書き出していくだけで、気持ちの整理がつき、現状を客観視できるようにもなります。

Think Weekをやってみた

筆者も以前、内定先の会社に就職するべきか大学院に進学すべきか迷った際に、Think Weekをやってみました。

ひと気のないインドの片田舎で1週間、ノートとペン、数冊の本を片手に、遺跡を眺めながら丘の上で、朝から夜までたったひとりで考えを巡らせていました。その結果、次第に納得できる答えが出て、すっきりしたのを覚えています。

パソコンで調べ物をしたい人なら、インターネット環境があるカフェやホテルが便利。本をたくさん読みたい人は、実家や公園もいいでしょう。そうではなく自分の気持ちにまっすぐ向き合いたい人は、自然に囲まれた静かな場所でひとりになることをお勧めします。

*** 億万長者が実践する「Think Week」、取り入れてみると人生が変わるかもしれません。ぜひ実践してみてくださいね。

(参考) Life Optimizer|Think Week: A Great Way to Get New Insights Ladders|How to take a ‘think week’ (or day) like Bill Gates 99U|Why You Need a “Think Week” Like Bill Gates Wikipedia|Internet Explorer 日経ビジネスONLINE|休暇は仕事を離れ思考に専念 日経BP”明日”を紡ぐテクノロジー|JINSが仕掛ける「集中できる空間」を見てきた パン・ ヒョンチョル(2013),「大富豪のお金の教え」, CCCメディアハウス.

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