脳を知る者が学びを制す――東大生直伝、脳のしくみを生かした勉強法3選

勉強がなかなか捗らない。成長していないような気がする。こんな悩みを持っている方はいませんか?

大学生にしてもビジネスパーソンにしても、勉強しなければならないことは非常に多いものです。しかし学業が生活の中心であった中高生のころとは異なり、今では勉強以外で大切なこともいろいろと抱えているはず。限られた時間の中できちんと成果を出すためには、“効率の良い勉強” がとても重要になってきます。では、どのようにすれば効率的に学習を進められるのでしょうか。

答えは「脳の仕組みを生かす」こと。ただがむしゃらに勉強していては、せっかくの努力が結果に結びつかず、そのせいで自信まで喪失してしまいかねません。一流のアスリートが人体を熟知したインストラクターから適切なトレーニング方法を学ぶように、勉強においても脳に合った効果的な方法を取り入れましょう。

今回は「脳の仕組みを生かした勉強法」というテーマで、脳科学的に効果のある勉強方法を3つご紹介いたします。

1. 思考力を活性化させる「音読勉強法」

学習するうえで、音読という方法は非常に高い効果を発揮することがわかっています。音読に注目を集める立役者となった東北大学の川島隆太教授によると、音読をしているときの人間の脳は、思考力・判断力を司る前頭前野を中心に活性化しており、学習するうえで有利になるとのこと。

さらに音読は「目で見て」「声に出して」「耳で聞く」という3つの行為を同時に行ない、それぞれ違うルートから内容に触れることになるので、単に黙読だけ行なうよりも理解を深める効果を持っています。黙読よりも時間はかかるので、テキストをすべて音読するのは難しいかもしれませんが、特に重要だと感じた部分は音読するようにすれば、内容を頭に刻み込むのに効果的でしょう。

また、音読にはもうひとつ、「むりやり集中し、やる気を引き出す」という効果もあります。これは、集中力が途切れ始めたり、文章を読んでいるはずなのに頭は上の空だったりといった状況に陥ったときに非常に効果的で、実際に筆者もこの効果に何度も助けられています。

人間の脳は、側坐核という部分が活性化しドーパミンが分泌されているときに、やる気を感じるようになっています。その側坐核が活性化する条件が、“実際に何か行動を起こしていること” なのです。

集中力が途切れてやる気がなくなっているときとは、勉強という行動が止まっているとき。したがって、とりあえず声に出して読んでみるという行為を行なうことは、側坐核を活性化させて再びやる気を取り戻す効果があるのです。

2. アウトプットで理解が進む「模擬授業勉強法」

何かを覚えたと思っても、実際にはよく理解できていなかった……。一度覚えたはずなのに、気づいたら忘れていた……。勉強をするうえでは深刻な問題ですよね。このような悩みに対処するには、模擬授業勉強法が最適です。

この方法はとても簡単で、「勉強した内容について、自分が教師になったつもりで実際に頭の中で授業をしてみる」だけです。一見シンプルですが、わかりやすく説明しようとしてみると、記憶の中の意外なところに抜けがあったり、うまく表現できない部分が存在したりといったことに気づくはず。

この勉強法が有効なのは、人間の記憶が「インプット」のあとの「アウトプット」に強く定着するから。インプットした記憶の言語化作業は必ず、論理的に情報を整理する段階を踏むため、それが記憶の定着を助けてくれるのです。

「誰かに教えるのが勉強法だ」というのは非常に古くから言われていることですが、この方法は、そのメリットを自分の中だけで生み出す裏技と言えるでしょう。慣れてきたら、何を板書きするのかまで考えてみたり、意地悪な生徒の質問も想定してみたりすると良さそうですね。情報の重要度の整理や自分の弱点の発見が進み、思った以上に学習が効率化することがわかるはずです。

歩いている時間や電車の中、不意に訪れた待ち時間など、スキマ時間を有効活用する手段としてもおすすめです。そうして自分の理解不足が判明したら、スマートフォンのメモ帳などに書き留めておけば、あとで復習も可能になりますね。

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3. 学習はなるべく並行して。「インターリーブ勉強法」

何かを勉強しようと思ったとき、ついついひとつの勉強を長時間続けてしまいがちですよね。でもいくつかの実験により、1種類の訓練・学習を続けたグループよりも、複数の訓練・学習を織り交ぜて行なったグループのほうが、テストにおいて好成績を残すということが明らかになっています。

このようなことが起こるのは、複数の項目や方法を織り交ぜて受容することで、脳がそれらの違いを認識し、結果的に個々の理解度が向上するためだと考えられています。これは心理学の世界で「インターリーブ」と呼ばれ、さまざまな種類の学習行動に効果的であることから、勉強からスポーツの世界まで広く受け入れられています。

例えば複数の内容について勉強するのだったら、それぞれの勉強時間をある程度の長さで区切り、交互に行なうと効果的です。また勉強する内容が1種類なのであれば、「教科書を読む」「まとめノートを作る」「一問一答を解く」「論述問題を解く」など、複数の勉強法をあえて織り交ぜ、勉強に変化を取り入れるようにしましょう。

このインターリーブは直感的に正しさを感じにくいと言われていますが、その先入観を捨てて、学習に取り入れてみてはいかがでしょうか。

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忙しいなかで何かを学ぼうと思ったら、勉強時間の拡張よりも、まずは効率化を目指しましょう。脳の特性を理解して、“最短ルートで” 結果にたどり着けるといいですね。

(参考)
川島隆太 (2003),『「音読」すれば頭がよくなる―一日二〇分!能力はここまでアップする』, たちばな出版.
ほぼ日刊イトイ新聞|「やる気」と「脳」の話を、池谷裕二さんと。脳の気持ちになって考えてみてください。「第5回 自分で積極的に動いたときの反応は10倍。」
ダイヤモンドオンライン|反復学習よりも効果大! 学習に変化を取りいれる「インターリーブ」のすごさ
nikkei BPnet|潜在“脳力”:【1】脳は「入力」より「出力」で覚える

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