読書というと、みなさんはどんなジャンルの本を読むことをイメージしますか?小説、それともビジネス書でしょうか。漫画と答える方もいるかもしれませんね。 今回はその中の1ジャンル、文学作品を読むことについて紹介したいと思います。
良い文に触れ、表現力を磨く
文学作品には、一回聞いただけで覚えてしまうような、魅力的な文章が数多く存在します。「恥の多い生涯を送ってきました。」(太宰治 『人間失格』)、「吾輩は猫である。名前はまだない。」(夏目漱石 『吾輩は猫である』)、などはとても有名ですよね。 文章を読み、どんな文章が良いものかを知ることは良い文章を書くのに役に立つんです。文学作品には、先ほどのような魅力的な文章が数多く存在します。そういった文章をたくさん読み、時には書き写すことで素敵な文章が書けるようになるかもしれませんよ。
文学作品を読めば、コミュ力アップ
文学作品を読むメリットはもちろん、魅力的な文章が書けるようになることだけではありません。文学作品を読むことによって、コミュ力を磨けるかもしれないんです。元総理大臣である橋本龍太郎氏にはこんなエピソードがあります。
佐藤 橋本龍太郎さんが総理だったころ、ロシアのエリツィン大統領にタチアナという娘がいて、父の権勢を借りて好き勝手していました。それについて、橋本さんが私に「エリツィンは(娘の横暴を)分かっているのか?」と聞いた。そのとき、私はこう答えました。 「分かっていますよ。彼はリア王と同じ心境なんです」。そうしたら橋本さんは「リア王か。それなら会談の内容は全部組み立て直しだ」と。 五木 なるほど。橋本さんもなかなかの人ですね。 佐藤 橋本さんは『リア王』を読んでいるから、娘がキーパーソンだということが分かるし、その娘に裏切られるかもしれないというエリツィンの心理状態を『リア王』を通じて追体験できる。それが'97年11月のクラスノヤルスク会談につながったんです。
引用元(現代ビジネス|【特別対談】五木寛之×佐藤優 「大人の勉強」のススメいまこそ「異端の人」に学べ!)
文学作品は、偉人たちの経験や知識が詰まっていて、いつの時代も変わらない人の行動、気持ちの変化などを伝えてくれます。文学作品は、他人との付き合いを学べる最高の教材かもしれません。
視野を広げられる
文学から学ぶことがあるとはいえ、難解なものもあり、読むのはなかなか大変です。なので、読むのに抵抗があるという方もいるかと思います。でも、一つのジャンルを読まないということは、その分だけ視野を狭めているかもしれません。脳科学者の茂木健一郎氏は著書『頭は「本の読み方」で磨かれる: 見えてくるものが変わる70冊 』の中で、さまざまなジャンルの本を読むことにより視野が広がることを述べていらっしゃいます。
「推理小説だけを千冊読んでいる人と、自然科学書から哲学書、小説、マンガまで、さまざまなジャンルをまんべんなく読んでいる人とでは、足場の広さが違ってきます。(中略)足場が広ければ、世界をより広く自由に動き回って見ることができ、足場が高ければ、より遠くまでものを見ることができる」
引用元(BOOKSTAND|BOOKSTANDニュース 脳が成長する、本の読み方とは?) 現在は文学作品の漫画やパロディなどが数多く出版されています。それらをきっかけにして、文学というジャンルに足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。きっと今よりも多くのものが見えるようになるのではないでしょうか。
(参考) 青空文庫|人間失格 太宰治http://www.aozora.gr.jp/cards/000035/files/301_14912.html 現代ビジネス|【特別対談】五木寛之×佐藤優 「大人の勉強」のススメいまこそ「異端の人」に学べ! BOOKSTAND|BOOKSTANDニュース 脳が成長する、本の読み方とは? amazon.co.jpプライム|新釈 走れメロス 他四篇