みなさんは「キュレーション」という言葉をご存知でしょうか?
Webサイトでは「NAVERまとめ」、またスマホアプリではLINE NEWSやantenna、グノシーなどは耳にしたことがあるのではないでしょうか。 これらはいわゆるニュースのまとめサイト的なもので、ユーザーとしては急に流行ってきた感覚があると思います。ただこれはアプリの話だけではなく、様々なビジネスにも応用できる考え方なのです。
キュレーションとは
キュレーションという言葉は
curate(動詞) 1. <美術展・博物館などの>キュレーターを勤める 2. <美術展など>を企画推進する
(引用元:ジーニアス英和辞典) という動詞の名詞形になります。美術館や博物館には「キュレーター」という職業があり、資料の収集や保管、展示に加え調査研究など多岐に渡る業務を行います。
いまよく耳にする、キュレーションという言葉は、特に「資料の収集・展示」という部分に注目した使われ方でしょう。
実は昔からあったキュレーション
最近になって流行ってきたようなイメージのあるキュレーションですが、実は昔からいろんな形で存在していました。
例えば音楽番組は、限られた時間の中でどんな楽曲を流すのかを決めます。これはいろんな楽曲の情報を“収集”して、各番組のコンセプトにあったモノをリスナーが聴けるところ(オンエア上)に “展示” していると考えられます。
また近年様々なミュージックフェスティバルが開催されていますが、これもそのフェスのコンセプトにあったアーティストを集めて一斉に展示する場所となっています。いかに多くの人に聴いてもらうか、さらには新人アーティストをプレゼンできるかは、もちろん開催決定後のプロモーション施策の影響もありますが、その核は情報収集及び展示にあります。
さらに身近にあるキュレーション
みなさんは毎日お出かけする際、どのように服を選んでらっしゃるでしょうか? 服のコーディネートもいわばキュレーションと言えます。もちろん個人の好みやファッションへの興味の有無が強く反映されるものの、人目に触れる街中はひとつのプレゼンテーションの場となります。さらに最近では自分のファッションを発表することに特化したSNSであるWEARも人気となっています。またアパレルにおいてはセレクトショップも同様です。それぞれのコンセプトに添った形で仕入れと販売をしていることでしょう。
では書店はどうでしょうか? 売れそうな本を多く仕入れるのと同時に、店としてプッシュしたいものもPOPなどを自作して目立つ売り場を作っています。そして書店の中では異質と言える形でヒットしたのがヴィレッジヴァンガードです。書店を名乗りながらも、書籍を雑貨や食品さらにはファッション小物など、様々なコンテンツと組み合わせて展示することでユニークな空間を創り出しています。売り場の作り方もに工夫が見られます。 このように、「取捨選択して展示する」といったキュレーションの一連の作業は我々の日常生活に既に根付いているのです。
様々な分野で役立つキュレーション思考
キュレーションとは簡単に言うと、「いいとこ取りしてうまく見せよう」ということです。ここで重要なのは、個別で存在しているものをうまく揃えることで、塊としての価値を上げることができる、すなわち1+1を2以上のものにできるということ。その揃え方と見せ方が付加価値となります。
コンビニエンスストアなど小売業も品揃えというキュレーションで争っています。
新たな事業を考える際、まったく新規なものを0から作り出すことは難しいものです。しかし、個の素材を吟味した上で全体を俯瞰することで新たな価値を生み出す可能性があります。そう考えると、新たなアイディアを考えるハードルが下がってきませんか?
《参考文献》 アイデアのつくり方 | ジェームズ・W・ヤング | 阪急コミュニケーションズ 商売の創造 | 鈴木敏文 | 講談社