本書は、人生をドラゴンクエストのように楽しむことを目的とした、『人生ドラクエ化マニュアル』の続編です。
(前作については、こちらで紹介しています。StudyHacker|『人生ドラクエ化マニュアル』人生をやり込め!毎日をドラクエ化する方法)
前回のキャッチコピー「定価5,500円のTVゲームに、面白さで負ける人生を送ってどうする!」に対し、今回のキャッチコピーは「ドラクエ(定価5,500円)の主人公に闘いっぷりで負ける人生を送ってどうする!?」。
相変わらず耳の痛い言葉です。
しかし、本書を読めばドラクエよりも楽しい、血沸き肉躍る人生が送れるというのです。
(以下引用は本書より)
ゲームの三大要素を人生にぶちこめ!
著者であるJUNZO氏は、ゲームを次のように定義しています。
ゲームとは、【目的】を達成するための【ルール】に基づいた【敵】との楽しい闘い
この定義は【目的】【ルール】【敵】の三つの要素から成り立っています。これを人生に取り入れることで、毎日をドラクエのように楽しくできるとJUNZO氏は考えました。
例えば、「魔王を倒す」代わりに「なりたい職業に就く」というワクワクする目的を設定することができます。
また、目的達成を阻む障害は、スライムやゴールドマンなどといったモンスターに置き換え、弱点を見つけて倒していくという考え方ができます。
ドラクエと人生のルールは大きく異なりますが、人生におけるルールの方が自由度が高く、自分の好きなように行動できるとも考えられます。ドラクエでは負けたら経験値が得られないのに対し、現実では失敗したとしても貴重な経験となるなど、人生のルールの方が優れている点も多く存在します。
自分でワクワクするような【目的】を設定し、生きていくうえでの【ルール】に従い、目的達成を阻む【敵】(障害)を倒していく。本書を読めば、そんなドラゴンクエストのような楽しい毎日を送れることでしょう。
JUNZO氏の実体験からドラクエ化を学ぶ
前作は、人生をドラクエ化する方法を紹介するものでした。それに対し今作では、著者のJUNZO氏がどのようにして人生をドラクエ化していったかが書かれています。前作を読んで、「そんなことが本当にできるの?」と思ったあなたにおすすめ。
実際に人生をドラクエ化してきた著者の体験談は、非常に説得力があります。特に参考になるのが、JUNZO氏がどのように現実世界の敵と戦ってきたかということ。
例えば、エニックスから独立したJUNZO氏の前に立ちはだかったのは、「アイディア不足」という敵でした。一つのテーマに対して大量のアイディアを出し、そこから「最良の選択」をしようとしたJUNZO氏でしたが、そう簡単に沢山のアイディアを出せるものではないことに気付きます。
そこで、考え抜いた結果、アイディアの方程式を発見したのです。それは「アイディア=テーマ×ヒント」。アイディアを生み出すには頭で考えるだけでなく、ひらめくためのヒントが必要だということです。
では一体どうやってヒントを手に入れるか。この答えはドラクエの中にもありました。
ゲームで、ストーリーに行き詰ったとき一体どうしますか? 町の人の話を聞いたり、いろいろなところを探ったりして、ヒントを得ようとするのではないでしょうか。
現実世界でも同じこと。色んな人と話してみたり、目に入ってくるもの全てに関心を持ったりすることで、アイディアのヒントが得られるのです。
実はこの方程式は、プッチンプリンの容器にも見ることができるのだといいます。あるグリコの社員は、プリンの容易な開け方がないか模索していました。そんなとき、喫茶店の店員がヨーグルトゼリーの容器に錐で穴をあけてゼリーを出そうとしていたところを見て、あのプッチンプリンの容器のアイディアを思いついたそうです。
まさに「プッチンプリン(アイディア)=プリンの容易な取り出し方(テーマ)×店員がヨーグルトゼリーの容器に錐で穴をあけようとしている様子(ヒント)」という方程式が成り立っていますね。
他にも「見栄、世間体」「死の恐怖」など、誰しもが立ち向かわなければならない敵とどのように闘ってきたのかについて書かれているのでとてもためになります。
もちろん、前作を読んでいなくても十分楽しむことができるでしょう。
あなたの人生を変える「運命のクエストカード」
そして、今回新たに導入されたのが、巻末に付いている「運命のクエストカード」です。この32枚のカードには、人生ドラクエ化のための「クエスト」がそれぞれ書かれていて、毎朝一枚引き、その日中にクエストを実践しなければなりません。
内容を一部紹介しましょう。
・今まで見栄、世間体を気にしてできなかったことをやってみろ! ・予想外の出来事に遭遇した時は「面白くなってきた!」と叫べ ・街で気になる異性を見つけ道を聞くフリをして声をかけろ!
普段通りすごしていたら、なかなかできないことばかりですよね。クエストカードは、人生をドラクエ化してみたいけれど勇気が出ない、というあなたの背中を押してくれます。
*** 表紙の間の抜けた絵や、ドラクエの画面をモチーフにしたデザインなど、くすりとくる工夫が満載。文体も語り口調でとても読みやすいですが、前作と変わらずしっかりとした中身になっています。
人生の「冒険の書」をつくるため、本書を手に取ってみてはいかが。