何か作業をするときに、時間の扱う方法は二種類あります。 これらは「クロックタイム」と「イベントタイム」と呼ばれており、私たちはこの二つを使い分けています。 おそらく、ほとんどの人はこれらの使い分けをなんとなく行っています。 しかし、この二つの区切りにはそれぞれ特性があり、正しく理解していなければ、作業の効率や質を落としてしまうことになります。 今回は時間を正しく扱うために、クロックタイムとイベントタイムについて詳しく紹介します。
クロックタイムとは
クロックタイムは、人為的な時間の区切りに従います。 つまり、その名の通り、時計による時間の区切りのことです。 「一時間」「四時まで」などと表現するときはクロックタイムで時間を見ています。 一定の時間内で迅速に作業を進めたいときに効果的です。 問題点は、時間を気にするあまり作業の質が落ちてしまう可能性があることです。 また、クロックタイムを重視しすぎると、作業に対する達成感が少なくなることも分かっています。
イベントタイムとは
イベントタイムは、作業を終える、または何らかの出来事が起こるといったことを区切りにします。 「この作業が終わったら、次の作業にとりかかる」というようなときはイベントタイムで時間を見ています。 作業を確実に終了させることができ、また満足のいくまで取り組むことができるので、作業の質が高くなります。 問題点は、時間が長くかかってしまうことです。
どのように使い分けるべきか
二つの区切りを理解したところで、どのように使い分けるのが有効か考えてみましょう。 スピード、効率を求めるならクロックタイム、質を求めるならイベントタイムだというのは当然ですね。 もっと細かい、具体的なことに注目するとどうでしょうか。
・締切の近さによって 理想としては、いつでも最高の状態で課題を仕上げたいですよね。 しかし、締切が一時間後だというのに、いつまでも質ばかり追い求めているわけにもいきません。 締切が近いのならクロックタイム、まだ余裕があるのならイベントタイムを使うべきです。
・課題の内容によって 学生さんにも社会人にも必須の、英語の勉強を例にとって考えてみましょう。
単語暗記は効率的に行いたいのでクロックタイム。 文法の問題のトレーニングは、素早い判断で解いていくべきなのでクロックタイム。 リーディングは、時間がきたからと言って途中でやめるわけにはいかないので基本的にはイベントタイムが向いているでしょう。ただし、時間制限を気にしたいときはクロックタイムになりますね。
このように、素早い判断が必要な課題はクロックタイム、長期的な思考が必要な課題はイベントタイムが向いていると言えます。
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あなたは今までクロックタイムとイベントタイムの使い分けはうまくできていたでしょうか。 出来ていなかったかも……。と思ったなら、これからはどちらの時間の区切りが適しているかを考えてから作業に取り組むようにしてみてください。 うまく使い分ければ、時間を最大限有効に活用できるでしょう。
参考 Frank Partnoy(2012), WAIT:The Art and Science of Delay, 上原裕美子訳(2013)「WAIT すべては「先送り」でうまくいく 意思決定とタイミングの科学」

