「なるべく失敗したくない」とは誰しもが思うことですが、新しいこと、難しいことにチャレンジする時に失敗はつきもの。しかしこれ、一概には悪いこととは言えません。失敗から得られることはたくさんあります。 けれども、何度も同じ失敗をしてしまうのなら話は別。時間がもったいないですし、「なぜ同じ失敗ばかりするのだろう」と自信を無くしてしまいますよね。
今回紹介するのは、同じ失敗を無くすための方法です。同じ失敗ばかりしてしまう人は、もしかすると「フィードフォワード」ができていないのかもしれませんよ。
フィードフォワードとは
結果に対して行動を変えることをフィードバック制御という。これに対して、フィードバックされた結果から、先に起こることを予想して行動するのが、フィードフォワード制御だ。 (引用元:久保憂希也,芝本秀徳(2012)『頭の回転数を上げる45の方法』ディスカヴァー・トゥエンティワン)
フィードバックという言葉はよく知られていますが、フィードフォワードはフィードバックをさらに一歩進めた言葉といえます。
例を挙げると、大事な書類を無くしてしまったとき、謝罪して再発行の手続きをするのがフィードバック、二度と書類を無くすことがないようにファイルを整頓するのがフィードフォワードになります。つまり、フィードバックは問題に対して対症療法的に解決しようとし、フィードフォワードは原因から解決しようとするということです。
フィードバックは問題が起きてからの行動になるので、どうしても後手になり、問題に振り回されてしまいます。その点フィードフォワードは能動的に問題の根本を解決するため、同じ失敗を繰り返さずに済みます。フィードバックは当然行うべきですが、一歩進んでフィードフォワードを行うことで、同じ経験量でも多くのことを学習できるのです。
フィードフォワードの方法:原因の究明
ではフィードフォワードを実践していきましょう。
・まずフィードバックをする フィードバック無くしてはフィードフォワードはできません。まずはその場で、できる限り問題に対処しましょう。このとき、問題についての情報や、自分がどのようにフィードバックしたかをよく覚えておきましょう。
・原因を考えて潰す ひとまず問題が落ち着いたら、その原因について考えてみましょう。 先程の書類を無くしてしまった例で言えば、「所定の位置に戻す習慣を徹底していなかった」「分類がきちんとできていなかった」などが挙げられます。失敗の原因が分かったら、今後は「所定の位置に戻す習慣の徹底化」と、「分類をきちんとする」ことを徹底していきます。これがフィードフォワードです。
失敗やミスの原因を考えるというのはとても当たり前のこと。ですが、目の前のミスの処理に追われ、どうにかうまくフォロー出来たらそこで安心して忘れてしまうことも多いのでは。まさに「喉元過ぎれば熱さを忘れる」で、これだと冒頭に述べたように同じミスを何度も繰り返してしまいます。 失敗の原因を洗い出し、その要因を取り除く習慣をつけること。それこそが「ミスを次に生かすこと」なのです。
フィードフォワードの方法:ミスの対処法の精査
次に問題が起こってしまったときの対処を考えましょう。どんなにミスの原因に対処したとしても、問題が起こる可能性は0にはなりません。これは仕方のないことです。スッパリと割り切り、次に同じことが起こったときの対処法を考えておきましょう。このとき役に立つのがフィードバック。 自分のフィードバックは正しかったかどうか分析してみてください。落ち着いて原因からもう一度考えることでよりよい対処法が思い浮かぶはずです。この作業を行うことで、次に同じ問題が起きても、格段に楽に処理することができるでしょう。
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いかがでしたか。一つ一つ失敗に対して、単なるフィードバックではなくしっかりとフィードフォワードをすること。これが出来てこそ、「失敗をいかした」というプラスの経験になるのです。失敗をした時こそこの意識をしっかりともち、同じ失敗をぐっと減らしていきましょう。
参考 久保憂希也,芝本秀徳(2012)『頭の回転数を上げる45の方法』ディスカヴァー・トゥエンティワン ITmediaエンタープライズ|ITマネージャーがやめるべき言動を改善する「フィードフォワード」とは何か