子供の頃や学生時代は友達を作る機会がたくさんあったのに、大人になるにつれて新しい友人を得るのはなかなか難しくなっていきますよね。特に社会人の方であれば、家と会社を往復する毎日でフランクな友人付き合いが少なくなってしまった、という人もいるのではないでしょうか。
友人付き合いが少ないことで、数少ない(例えば一人の)友人に依存してしまったり、逆に心を許せる友人が一人もいなかったり……なんて状況に陥ってはいませんか。しかしそんな状況では、あなたの社会人としてのパフォーマンスは上がらないかもしれません。「職場」と「友人」なんて、一見なんの関係も無いように思えますが、実は仕事の質を大きく左右するものなのです。
そこで今回は、“大人のための”友達付き合い指南書をお送りします。
職場に友人は要る? 要らない?
真の友をもてないのはまったく惨めな孤独である。友人が無ければ世界は荒野に過ぎない。
(引用元:世界傑作格言集|〔格言シリーズ第10弾〕~友情の格言~)
これはフランシス・ベーコンの格言。古くから、友人の大切さが説かれていたことが分かりますね。
仕事が忙しい社会人の方は友人関係を広げにくいと思いますが、ここで興味深いデータに触れておきたいと思います。
まずは、職場での友人の有無を調査したデータ。20代~40代の有職者を対象にしたアンケート調査によると、
「同じ職場に心を許せる友人がいる(いた)か?」の問いには、半数以上が【いない(いなかった)】と答えた。その回答者に「友人がほしいと思った事はあるか?」返答を求めると、ここでも【ない】(あまりない:39.2%、全くない:18.4%)が約6割という結果で、仕事とプライベートは分離したい考えの人が多数を占めている事がわかった。
(引用元:ORICONキャリア|【働きビト】職場に友人「いない」半数以上、私生活と分離したく「必要ない」も6割)
次に、社会人のストレス原因を調査したアンケート。ストレスの理由として一番多かったものは職場の人間関係で、女性だけにしてみると、なんと50%以上もの人が職場での人間関係をストレスに感じていることが判明したのだそうです。
職場では人間関係のストレスを感じる。だから職場には友人なんか作りたくないし、必要ない。そんな声が聞こえてくるようですね。
大人にこそ大切な、友人の存在
さきほどのアンケート結果から考えると、「会社は仕事をする場所だからプライベートとは完全に分けたい」という人や、「最低限、家族や恋人がいればいい」「一人のほうが楽」という人、「最後に頼れるのは自分だけ」と思っている方など色々な考えから、職場ではあまり友人を作らないという人が多いのかもしれません。
しかし、児童精神科医の佐々木正美先生によると、人間関係で生じたストレスは人間関係によって解消するのが大事なのだそう。人間関係がストレスになるなら、ストレス解消になるような人間関係も持っておかなくてはならないのです。
例えば、職場に友人を作ってみてください。忙しくストレスのたまりやすい職場の人ほど、仕事場で過ごす時間が長くなりますよね。長時間過ごす職場に友人がいることは、ストレスを軽減するだけでなく、会社を好きになれたり、生産性が向上したりするなどの効果があるようです。職場で頻繁に顔を合わせていれば何かしら共通の話題はあると思いますので、思い切って話しかけてみてはいかがでしょうか。きっと親しくなっていけるでしょう。
また、仕事のスタイルなどから友人を作ることが難しいという人は、仕事以外の人間関係(家族や、昔からの友人など)を大事にしましょう。安心できる人間関係を持つことが大切です。身近にそういう人がいない場合には、試しに学生時代の友人に連絡を取ってみてください。もしかしたら向こうも、連絡を待っているかもしれませんよ。私自身、大学入学後しばらくしてから久しぶりに高校の友人と連絡を取り、それ以降月1回くらいのペースで会うようになりました。学生時代の友人であれば飾らない自分を知ってくれているので、安心できる人間関係には一番ですよね。
しかし、自分とは異なる視点でのものの見方を教えてくれ、時に厳しい言葉をくれる友人の存在はやはり貴重なものです。ぜひ、友人を作りましょう。
よき友人の存在が仕事の質を高める
多くの愚者を友とするより、1人の知者を友とするべきである。
(引用元:名言・格言・いい言葉|友)
このデモクリトスの格言にもあるように、たくさん友人がいたとしてもそれがすべて愚者であれば、あなたはそれを誇ることはできません。
友人の質がなぜ重要かということを示した調査結果があります。アメリカの起業家であるJeff Fermin氏によると、職場に友人を持つと、1週間のうちに受ける称賛が1.4倍にもなり、過去半年に受けるフィードバックも1.3倍にアップしたのだそう。フィードバックが受けられれば、自己成長につながりますよね。実際、仕事の質にも35%アップが見られたのだといいます。
これは、職場に友人を持つことのメリットについて調査したものですが、メリット自体は、職場だけでなく広く一般的な友人関係にも共通するものです。
あなたにとって多少耳が痛くても忠告をしてくれたり、厳しいことを言ってくれる友人のことは大切にしなければいけません。子供のころと異なり、大人になってからは利害関係も絡んでくるので、自分をきちんと一人の人として叱ってくれる友はなかなか得難いものです。自分が何か間違ったときにしっかり叱ってくれる友人とはこまめに付き合うことが大事です。
逆に、いつも一緒にいて話も聞いてくれるけど、あなたのためにならないアドバイスばかりくれるような友人とは、一緒にいても自身が成長することはできない可能性があります。たくさん友人がいたとしても、心底悩んでいることなどを相談できる相手がいなかったり、逆にあなた自身もそういったことを相談されない場合には、その友人グループとの付き合い方を見直したほうがよいのかもしれません。
*** 言うは易し、行うは難し。友人作りは相手もいることですので、なかなかうまくいかないこともあるかもしれません。ですが、自分が心を開いて真の友人を作ろうとすることが、一生付き合える友人作りの第一歩です。 今この瞬間から、心の片隅にメモしておいてくださいね。
(参考) 世界傑作格言集|〔格言シリーズ第10弾〕~友情の格言~ 名言・格言・いい言葉|友 エン 人事のミカタ|社会人のストレス原因 男性は「仕事の質」、女性は「職場の人間関係」が最多。 WooRis|人間関係のストレスは「人間関係の中でしか解消できない」と判明 Officevibe|Why Having Friends at Work Is Important ORICONキャリア|【働きビト】職場に友人「いない」半数以上、私生活と分離したく「必要ない」も6割 BizLady|いい仕事したいなら絶対必要!「職場に友達がいないとダメ」な理由4つ