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若い時に経験した例だが、瞬間湯沸かし器と言う別名があるほど怒りまくるS課長が居た。その課長に、業務上どうしても必要な説明を始めて5~6分位経ったころ。返事がないのでふと顔を見たら、瞳孔が大きくなっていくのが見えのだ。
「うわ、これだ!」と思った瞬間、真っ赤な顔で雷鳴がとどろいた。

叱られるパターンにより変えるべき対応

「上司に怒られた」と言っても色々な状況が考えられる。上のように、全く意味がわからず突然怒られる、事故のようなケース。或いは、本当に自分に非があって、怒られて当然の場合。または、上司が職場にカツを入れるために、あえて見せしめ的に怒る場合も。そのような時、それぞれに取るべき態度は変わってくる。

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自己に非がある時

上司に怒られた経験。それは誰しも、一度や二度じゃないだろう。
怒られる理由で一番多いのは、何か失敗あるいは失策のような「予期せぬ悪いできごと」が発生して、その原因を作った責任が自分にある場合である。この時は、すなおに謝まらねばならない。自己弁護は単なる言い訳にしかうつらないので、とにかく「すみません」「申し訳ありません」「以後気をつけます」などの言葉を誠実さと共に出し、同時に「謝り顔」になることが大切である。

もし叱られる前にミスに気が付いたら即座に報告し、上記の誤り言葉を出しておく。そうすると、叱られ度が低くなる。

謝る時に効果的な非言語コミュニケーション

「謝り顔」の利点は、表情というのが言語による情報伝達量よりも圧倒的に情報伝達の量が多い「非言語コミュニケーション」であるということだ(Mehrabian 1969)。「謝る声」も然り。場合によっては、これらの非言語コミュニケーションこそが、言葉そのものよりも相手の気持ちに届くのだ。
「謝り顔」や「謝り声」にはさらなる利点もある。上司がこの対応を見て、「こいつはちゃんと反省したな。二度と同じことは繰り返さないだろう」と認識してくれるのである。

自席に戻ったら、忘れないようにその内容をすぐにメモしよう。翌日以降に上司に会った時指摘ポイントを短くまとめて伝え、「同じ失敗をしない」と再度伝えるのだ。このように口に出すことによって、さらに記憶や思考は強化される。
叱られたことを単なる「ムカついた」で終わらせるのではなく、これを機に学習していくのである。このような対応をしていると、その経験が財産となり、成長のための糧となっていく。

上司が叱ることで職場をコントロールしようとしている場合

この場合には「生贄」的な人物が叱られる対象になる。概ね、組織の中間層にいるような人物が犠牲になることが多い。上司は職場全員に聞こえるような大きな声で叱り飛ばす。このような生贄になった場合には、ひたすら時と叱りが経過していくのを待つしかない。
上司の狙いは、職場に「カツを入れる」ことであるから、反論などの無駄な抵抗をしないで、身体を小さくして叱られている様子を態度で示すのがコツである。
有能な上司は、後で叱られ役を飲みに連れて行くなどして、フォローをしっかりやるものである。このフォローをしない上司は、単なる八つ当たりの可能性も。こういう上司は先行き良くないと思って間違いない。

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何の落ち度も無いのに、パワハラ的に叱られる場合

最初の瞬間湯沸かし器の例のように、叱られる理由がないのに叱られる場合には、感情的にならず言葉や論理の展開など、しっかりと聞いておくことが大切だ。
こういった扱いを受けると、これは職場で最大のストレス要因となり得る。叱られた内容をメモると同時に、自分一人で抱え込まないよう、人に愚痴ったりすることも大切だ。
私たちは話すことによって、随分と気がラクになり、メンタルな問題に陥らないようになるのだ。

この時に叱られた内容をメモることには、二つの目的がある。一つは、理不尽でパワハラに近い怒られ方であっても何か学ぶことはないか、と振り返ることだ。そしてもう一つは、パワハラ対策や報告のための資料としてしっかり保管しておくこと。同じことは繰り返されないよう、職場で共有の認識にしておくと後で助かる。

叱られた経験を、成長のための教訓に変える

たとえ自分に非があろうと相手が上司だろうと、誰だって人から怒られるのは嫌なものだ。しかしどうせ嫌な思いをして叱られたのなら、それを後から「あの経験のお陰で成長できた」と振り返れるように、自分自身で転化していこう。具体的には、このような方法が有効だ。

1.立場を入れ替え、「自分が叱る立場だったら、今どういう言葉を使ったら相手にちゃんと伝わったか」などシミュレーションしながら聴く。

2.二度と同じことで叱られないよう、きちんと記憶しておこう。後日叱られた内容に関係した話が出た時、具体的な日付を入れて話をすると、上司は叱った甲斐があったと思い、逆に評価が上がる。

3.叱られている時に実は言っていることが的が外れていたり、そもそも事実の認識が誤っている場合もある。しかし激高している相手に反論するのは、かえって火に油を注ぐ結果に。そういう時は、「相手の挑発に乗らない練習の場」と捉えて、「叱られ顔」「平謝り」という技を駆使してみよう。相手をさらに怒らせたら自分の負け、言い分に耳を傾けさせることができたらこちらの勝ちである。

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いかがだっただろうか。こちらに非があり叱らざるを得ない状況もあるが、「愛のムチ」という言葉もあるように、成長させたいからこそ叱ってくれるという側面もある。せっかく叱られたなら、その経験が大きな成長の糧となるよう自分自身でも努力をしてみよう。

参考文献
Mehrabian A, Williams M.  Nonverval concomitants of perceived and intended persuasiveness.  J Pers Soc Psychol. 1969 ;13(1):37-58.


神戸大学大学院修了。近畿大学名誉教授。血栓塞栓症などの血栓止血分野の研究に取り組んで、心筋梗塞や脳梗塞の特効薬であるtPAを開発した。大学での医学教育や、臨床研修医や医療人の育成などに実践的な取り組みを広げている