読書の効果を何倍にもする!? フィンランド式の読書術

Stressed asian caucasian woman student learning in tons of books

良いと言われるビジネス書や自己啓発本はたくさん読んでいるし、色んな講演も聞きに行っている。それなのに、特に学んだことが増えた気はしないし、視野も広がらない……。そんな悶々とした気持ちを抱えている人はいませんか? それはもしかしたら、読書や講演を聞くことが、「単に自分の考えをなぞる」行為になってしまっているからかもしれません。

badge_columns_1001711「学ぶ」のではなく、「自分の意見の確認」になっていないか

読んだ本の中でマーカーを引いたところ、また講演を聞いた時に書き留めたメモや、本の中で気になった部分をメモしたものが手元にあれば、それを見てみてください。それぞれの箇所に関してどういった印象をうけましたか。

「自分の考えと同じだ」「納得!」「共感!」「やっぱり!」

主にそんな言葉が浮かんできた人は要注意です。 もうお分かりでしょうか。「自分の意見にあっていること」ばかりが目や耳に入りそこが大切だと感じていたら、読書も講演も、単に「自分の考えが合っていることを確認して安心する作業」になってしまっています。これではむしろ、固定観念が強まり、新しい考えが入れられなくなってしまいますよね。

badge_columns_1001711読書や講演を聞くことを学びにつなげるには

私たちは、無意識に自分に都合が良い情報だけを探してくる性質を持っています。そのため、普通に情報を仕入れると、「自分と同じ意見ばかりを拾う」状況になってしまいます。それを「確証バイアス」と呼びます。

確証バイアス(かくしょうバイアス、英: Confirmation bias)とは、認知心理学や社会心理学における用語で、仮説や信念を検証する際にそれを支持する情報ばかりを集め、反証する情報を無視または集めようとしない傾向のこと[1]。認知バイアスの一種。また、その結果として稀な事象の起こる確率を過大評価しがちであることも知られている[2]。

参考:wikipedia 確証バイアス

だからこそ、せっかく本を選んだり講演を聞きに行く場合には、以下のことを心がけてみましょう。

1.頭から否定せずに「一理あるかも」と受け入れてみる

2.むしろ自分の意見との相違、違和感に着目する

3.普段読まない分野の本を読む、自分と違う立場の人の講演を聞きに行く

バランスよく情報を入れるために、さまざまな立場に立つ人の意見を聞こうとする人は多くいるでしょう。新しい家電を買うのに、良いクチコミ、悪いクチコミを両方見てみるようなものです。 ただ、本や講演となると、無意識に自分が好きなもの、自分に都合が良いものを選んでしまいがちです。今度からは、図書館に行くときはあえて普段行かないコーナーに行ったり、自分とは違う意見をあえて読むなどしてみましょう。

最初は読むのが苦痛でも、次第に世界が広がっていくのを感じられるはずです。また、講演を聞いた時には、自分の意見がはっきりしている人ほど、違う立場の人の話を聞いた時に腹が立つかもしれませんが、その苛立ちを脇において、ではなぜこの人はこう考えるに至ったのか、を考えてみることも「学び」につながっていきます。

Man reading a book

badge_columns_1001711フィンランド式に読書してみる

昨今教育関連で注目を集めているのがフィンランドです。フィンランドは40年ほど前に教育を改革して以来、世界トップレベルの学力を誇っています。『図解 フィンランド・メソッド入門』などの、フィンランドの教育についての著作を多数発表している北川達夫さんは、フィンランドの国語教育におけるテキストの位置づけについて、次のように述べています。

(国語のテキストは)問題解決の具体例を提案してくれる「相手」という認識です。本の中ではなんらかの人生に起こりうる問題が提示され、それに対する解決策が提案されているということで、ここから「生きるための読解」という概念が生まれてくるわけです。

[引用元:講演 フィンランドの読解教育 ~読書=「本との対話」という視点から~北川達夫 (日本教育大学院大学)]

さらに、読書という行為自体をその「相手」との対話と考え、文中の大問題小問題に対して疑問点を見出してなぜか、を考えてみる。そうした流れが、読解力、ひいては学ぶ力を高めているのだと言います。

フィンランドの5年生に、日本の小学校の教科書の定番、『スイミー』を読んでもらった時には、先生は「ほかの赤い魚たちは無個性か、個性的か」という質問を出したそうです。 たしかに、本文中ではスイミー一匹が黒で個性的、といった描かれ方ですが、果たしてほかの赤い魚たちは、個性がないと言えるのか。面白い着眼点ですよね。


いかがでしたか。 このように読書を単なる情報の受身ではなく『対話』と捉えることにより、なんとなく一冊読み終わったら終了だった読書から、何倍もの気付きを得られるのではないでしょうか。ぜひ色々と意識して取り入れてみてくださいね。

参考

マイナビウーマン|試験は一切ナシ!学力世界1位「フィンランド」の教育方針のスゴさ 2012/ディスカヴァー・トゥエンティワン/久保憂希也・芝本秀徳/頭の回転数を上げる45の方法 wikipedia|確証バイアス

京都大学文学部所属。長野県立松本深志高校卒業。ぱんだとししまいがとても好き。在学中は京都でしか見られないししまいを見てまわりたい。

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