人から批判されるのは、あまり気持ちよくありません。何しろ、自分の欠点や不足を指摘されるのですから。
そして同時に、人を批判するのも、勇気がいります。特にそれが親しい人であればなおさら。よく「自分を批判してくれる友人を大切にしなさい」というのは、それが理由です。
いつの時代も私たちを悩ませる「他人からの批判」。筆者の経験を元に、考えてみたいと思います。
ステップ1, 批判してもらえる人になろう
他人をためらうことなく批判することができる人は、そう多くはないでしょう。
あなたが上司の欠点を指摘できないように、上司も部下を注意する際には、ビクビクしているはずです。上司→部下という関係でも躊躇するのです。友人や同僚、目上の人ならなおさら。他人を批判するのには、相当な勇気がいるんですね。
もし「人から批判された覚えがないなぁ」なんて思うなら要注意です。それは、周囲が遠慮しているだけのこと。天狗になってはいけません。
恥ずかしながら、筆者にも経験があります。以前、学生団体の運営をしていた時の話です。筆者が下したある決定について、不満を抱くメンバーがいました。しかし彼らは、それを直前まで伝えてくれなかったのです。しかも、あとで話を聞くと、彼らのアイデアの方がずっと素晴らしいではありませんか。
自分の意見が正しいと思っていた筆者は大慌て。急いで彼らの意見を聞き、活動に修正を加えました。
もちろん、批判を受け入れるかどうかは、相手に詳しく話を聞いてからでいいでしょう。
しかし、相手が批判してくれなければそれを確認する機会すら無いのです。普段から人の意見を積極的に取り入れるなどして「批判してもらえる人」を目指しましょう。
ステップ2, 批判を受け入れられる人になろう
自分が批判された時、一番やってはいけないのが「批判の完全拒否」です。
冒頭でも触れた通り、人から批判されるのは、気持ちよくありません。自分のマイナスポイントを指摘されるのですから当然ですね。
しかし、批判する側は相当の勇気を振り絞っていますから、その思いを無駄にしてはいけません。人から受けた批判は、カッとならず冷静にこう考えましょう。「この批判は、従った方が役立つのではないか?」「素直に受け入れないと大変なことになるのではないか?」と。
ただ自分の意見や主張を通そうとするだけでは、大きな失敗を招くかもしれません。人間は、他の個体と協力しあうことで、ここまで進化してきました。現代人だって、基礎の部分は同じはず。人の批判と張り合うのではなく、素直に受け入れましょう。
ステップ3, 批判を鵜呑みにしすぎない
ステップ1とステップ2では、他人の批判を自分のものにしよう、とお話しました。ステップ3では、少しレベルの上がった話をします。それは、「人の批判を鵜呑みにしすぎない」ということです。
「今までの話と真逆じゃないか」とこぼす人がいるかもしれません。その通りです。
批判の処理が難しいのは、ステップ3があるからです。
先ほど、筆者が学生団体の運営に関わった時の話をしました。例のエピソードを教訓に、筆者はメンバーに意見をどんどん聞きました。「不明な点はないか?」「不満はないか?」「どの方法が適しているか?」すると、聞いた人の数だけ、不満や批判が出てきたのです。当然ですね。一人ひとり違う人間なのですから。
すると、今度は別の問題に頭を抱えることになったのです。「全員の批判に応えられない」という問題に。先ほどの経験から、筆者は他人の批判に敏感でしたから、全員が納得できる方法はないか、悩みました。いつしか、他人に意見を仰がなければ行動できなくなってしまったのです。
そしてある時、単純なひとつの「気づき」を得ました。「全員が納得できる方策など、あるはずがない」と。
中には的外れで、実現不可能な批判もありました。それでも筆者は一つひとつに耳を傾け、頭を悩ませていたのです。真摯な姿勢に見えるかもしれませんが、時間と労力の無駄であり、優柔不断そのものです。
その事実に気づいてから、批判の鵜呑みをやめました。的確な批判か、自分のやりたいことに沿っているか、批判の取捨選択をしたのです。すると、負担が減り、意思決定や行動のスピードや質が、格段に上がりました。多少の不満は回避できませんが、それは微々たるもの。全体の満足度は上がった、と信じています。
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扱うのが難しい「批判」。 しかし、批判によって人は成長し、進歩します。
上手に批判と付き合って、自分のレベルアップを目指しましょう。