学生時代には読解力の向上や小論文対策として、社会人になってからは世の中の動向を知るために「ニュースを見ろ」「新聞を読め」とはよく言われること。しかし、ただ何となく読んでいたのでは、大切な情報はしっかり把握できません。読解力を深めるための読み方のポイントだったり、重要な情報をしっかりピックアップするにはどうすれば良いのでしょうか。
情報を「つかむ」「よむ」「伝える」
元新聞記者である外岡秀俊氏の著書『情報のさばき方』では、情報を「つかむ」「よむ」「伝える」という三つの側面からそれぞれのポイントが解説されています。 発行は2006年と少々古いものでありながら、本書で指摘されている「膨大な情報の中から本当に必要な情報を選別し、検証した上で、わかりやすく伝える」ノウハウは、まさに今の時代に必要とされているもの。 情報力の二原則として以下が挙げられています。
新聞やテレビの報道は、現物にたどり着くための「インデックス情報」に過ぎない:一次資料にあたろう
これはいかにして情報を「つかむ」かに分類されます。インデックス情報=「どこに行けばそのニュースを詳しく知ることができるかを示す情報」と本書では言われています。
現物に当たれば、報道がどの部分を切り取り、どういう点を強調しているのかがわかる
出典:情報のさばき方―新聞記者の実戦ヒント
現代では多くの資料がネット上で公開されていますが、それを鵜呑みにしたり丸写しにすると様々な問題やトラブルの原因となることは周知の事実。本書に書かれているように、新聞やテレビ、ネットなど手に入りやすい環境から得た情報はあくまで「調査のとっかかり」として捉えましょう。これらのあふれる情報の中から自分に必要なトピックを見つけ出し、アンテナに引っかかる情報があれば次は自分自身でしっかりとソースを探して知識を深めていくことを意識してみて下さい。
多メディアのクロス・チェック
次に情報を「よむ」(分析する)ためには、クロスチェックは必要不可欠な作業です。
クロスチェックとは、確認や検証の精度や信頼性を高める手法の一つで、二つ以上の異なる方法や観点、資料などによりチェックを行うこと。
出典:IT用語辞典
なぜクロスチェックが必要かというと、送り手と受け手の「位置情報」によって情報は偏るからです。各紙で一面で取り上げる事件が違う、同じ事件でも論調が違う等がこの典型例です。先日の安保法案改正の際にも、新聞やテレビ局によって論調がまるで違うことが大きな話題となりました。送り手が「誰から情報を得て」「どのような読者層を想定して」いるかをしっかりと把握しながら情報のあたることが、正しく分析する上で重要だそうです。
例えば、 ・米国のニュースが日本で大きく取り扱われる細かい要因の一つに、「時差の関係で夕刊の締め切り時間に原稿が入りやすい」という事情がある ・APは米政権、ロイターは英政権、AFPは仏政権というように、通信社の記事は拠点国の政権中枢からの情報が出やすい ・地政学的なリスクの多寡によって、同じ事件でも各国での扱われ方が違う などです。
次は正しい情報のアウトプット
媒体ごとの情報の偏りや、「元情報は自分でしっかりと調査する」という意識を持ちながら情報をインプットしたら、その次に必要なのは端的なアウトプットです。自分が仕入れた情報を端的に他人に伝える上で重要なことは、以下の三つです。
原文のポイントが押さえられていること 短い文章で書くこと 全体の内容が含まれていること
出典:スキルアップ堂 要約文の書き方のコツとは?端的に情報を伝える方法を紹介
最近ではどんなに重要なプレゼンでも、A4のパワーポイント1枚におさめる、「一枚企画書」が話題になっています。表紙があって大きな字で箇条書きを書いて、詳細の資料をふんだんに入れるという方法では、説明に数十分を要してしまい、相手の集中力も下がってしまいます。現在はジャパン・フラッグシップ・プロジェクト社長である三木雄信氏はソフトバンク勤務時、孫正義氏へのプレゼンは最初の10秒でハートを掴めなかったら話さえ聞いてもらえないため、必然的に1枚に落とし込んでいたそうです。
*** いかがでしたか。これだけ多くの情報があふれている時代、正しい情報にたどり着くための努力を怠らないようにしましょう。「一枚企画書」で検索すると色々な雛形も出てくるので、正しく仕入れた情報をいかに端的にアウトプットするか、ぜひ実践してみてください。
参考: IT用語辞典 クロスチェック スキルアップ堂 要約文の書き方のコツとは?端的に情報を伝える方法を紹介 PRESIDENT online 孫正義式「仕事はすべてA4 1枚」の技術

