「インスリン」は、血糖値を下げる働きのある物質です。でも実は、「記憶力」にも大きくかかわっているんですよ。記憶力を向上させる方法を探っているならば、インスリンの働きにも目を向けてみてはいかがでしょう。

インスリンとは?

食事によって血糖値(血液中のブドウ糖)が上がると、すい臓のβ細胞がインスリンを分泌します。すると各臓器は、インスリンの働きによって血糖をエネルギーとして取り込むことができます。こうして、食後に増加した血糖が一定量に保たれるのです。

インスリンの主な働きは、ほぼすべての臓器細胞にブドウ糖をとり込ませること、肝臓や筋肉におけるグリコーゲン合成を促進し、その分解を抑制すること、脂肪の合成を促進し、その分解を抑制することなどです。

そして、なんと、脳の神経細胞を増やしてくれる働きがあります。

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インスリンが神経細胞の成長を後押し

脳の「海馬」は、エピソード記憶の形成・想起にかかわる重要な脳領域です。この海馬の入り口にある「歯状回」と呼ばれる場所では、神経細胞が新たに生まれ続けていると考えられています。

その研究成果を発表し、世界に衝撃を与えたソーク研究所(米サンディエゴ)のフレッド・ゲージ教授は、「生まれたばかりの細胞は敏感で、わずかな刺激にも反応する。つまり、新しい細胞が増えれば記憶力を高められる」といいます。そのカギとなるのが、「インスリン」なのだとか。

サウスカロライナ大学のローレンス・リーガン教授によれば、インスリンが脳に届いていないときは、届いたときに比べて、細胞の成長が格段に落ちるそうです。つまり、インスリンが脳に届くことによって、脳の神経細胞の成長が後押しされていると考えられるわけです。

脳の血管は、他からの侵入を許さない関門。そのため、脳の血管の壁を突破できるのはごく一部の物質で、そのひとつがインスリンだといいます。このメカニズムを利用し、認知症を食い止める薬剤開発も進められているとのこと。

では、インスリンの働きをよくするには、どうしたらよいでしょう。

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インスリンの働きをよくする方法

体重を適正にコントロールする

内臓脂肪型肥満になってしまうと、インスリンの働きが悪くなり、血糖値が高くなりやすくなります。したがって、とにかく肥満にならないよう体重を適正にコントロールすること。常日頃からからだを動かすよう心がけ、ウォーキングやストレッチ、体操に筋肉トレーニングなどを積極的に行うようにしましょう。

「体重(キロ)÷身長(メートル)の二乗」で算出される、肥満度を示す体格指数BMIは、日本肥満学会の定めた基準によると、18.5未満が「低体重(やせ)」、18.5以上~25未満が「普通体重」、25以上が「肥満」になります。そして、BMIが22となる体重が標準体重です。

ちなみに、日頃から運動習慣があると、筋肉が自主的に血液からブドウ糖を確保するため、インスリンをムダづかいしないそうですよ。

すい臓を疲労させない食生活に

もちろん食生活も大切です。食べ過ぎやアルコールの大量摂取は、血中のブドウ糖を急激に増加させるので、インスリンを分泌している「すい臓」が疲労してしまいます。腹八分目を心がけ、血糖値が急激に上がらないよう、「野菜」→「タンパク質」→「控え目にした炭水化物」という順番で、しっかり咀嚼して食べましょう。

なお、オクラに含まれるネバネバ成分のムチンやペクチンは、食後の血糖値の上昇を抑え、糖質の吸収を抑える働きがあります。インスリンの働きをよくするというマグネシウムや亜鉛などのミネラルも豊富ですよ。そのほか、タマネギ、五穀、バナナ、シークァーサー、アロエなども血糖値の上昇を抑えたり、インスリンの働きをよくしたりするので、ぜひ食事に取り入れてください。

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インスリンが十分に働かなくなると糖尿病を発症しやすくなりますが、認知症の進行にも影響するそうです。なぜならば、神経細胞のエレルギー源である糖を取り込めなくなってしまうから。インスリンの働きをよくする生活習慣は、記憶力の維持、糖尿病や認知症の予防にも役立ちます。健康的な食事と、適正な体重のコントロールを心がけ、頭もからだもスッキリさせてくださいね。

(参考)
糖尿病がよくわかるDM TOWN|インスリンはどのような役割?
NHK健康ch|NHKスペシャル「人体」”脳”すごいぞ!ひらめきと記憶の正体
NHK健康ch|記憶力アップのカギ!?海馬で起きている大事件・神経細胞の生まれ変わり
理化学研究所|海馬から大脳皮質への記憶の転送の新しい仕組みの発見
一般社団法人 日本生活習慣病予防協会|生活習慣病|糖尿病
ダイヤモンド・オンライン|男の健康|運動で培った筋肉が膵臓を守ってくれる!インスリンのムダ使いを阻止しよう
e-ヘルスネット(厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト)|BMI
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