みなさんは、人前に立ってプレゼンテーションを行う機会はありますか? また、その時に上手くプレゼンテーションを行うことができますか?
話術を磨けばなんとかなる、と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、話術は、上手なプレゼンテーションを行うためのひとつの技術にすぎませんし、聴衆に感情操作的だと解釈されてしまう可能性もあります。
今回は、聴衆を唸らせるプレゼンテーションを行う方法についてお伝えしたいと思います。
資料作成の罠
プレゼンテーションが失敗に終わる原因として最も多いのが、資料作成に時間をかけ、本番でも資料のみに頼ってしまっている、ということです。レイアウトや装飾を凝り出せばきりがありません。しかし、資料の完成度とプレゼンテーションの成功率は決してイコールではないのです。
まず、資料作成はほどほどにして、説明の練習にも時間をかけるようにしましょう。ある程度ストーリーや内容が固まったら実際に声に出して説明してみるのが有効です。
練習してみると、時間内に収まらない、論理矛盾があるなど、資料作成の段階では分からなかった問題が浮かび上がってくるでしょう。
「アイデアを届ける」という意識
上手にプレゼンテーションを行う人には、それぞれの話す内容が異なっていても共通する重要な要素があります。それは、話し手に自分の「アイデア」という贈り物を届ける、という意識があることです。
アイデアは、さまざまな形や大きさ、複雑なものや美的なものまでありますが、伝えたい世界を理解し、舵取りしていく上で役立つ情報のパターンだと捉えることができます。
プレゼンテーションが行われる前には、話し手の世界観と聴衆の世界観にいくらか隔たりがあるでしょう。しかし、もしアイデアがプレゼンテーションを通じて適切に伝達されたなら、人間がその世界についてどう思うのかを変えてしまうほど大きな力が働くこともあるはず。
したがって、アイデアの重要性についてよく理解している話し手は、それを贈り物のように大切に聴衆に伝えることができるのです。
プレゼンテーションの「3層構造」
プレゼンテーションを構成する3つの部分について知っておくと、内容をより分かりやすく説明することができます。
1)「ビジョン」 なぜ、あなたはそのプレゼンテーションをするのか。なぜ、内容はそのようになったのか。なぜ、このタイミングで行うのか。
プレゼンテーションを行う前にこれらを自問する必要があります。もし答えることができなければ、原稿を練り直す必要があるでしょう。話し手の「聴衆に正しい情報を伝えられた」、また聴衆の「良い話を聞いた」という満足度だけでは不十分なのです。
聴衆があなたのプレゼンテーションを聴き、何らかの行動を起こしたくなる心理状態になったならば成功であるといえるでしょう。
2)「核」 プレゼンテーションにおける「核」とは「何を語るのか」ということです。しかし、ただの説明になってしまってはいけません。
聴衆が他の誰かにも伝えることができるような、極めてシンプルな表現かつ汎用的な言葉を用いるようにしましょう。往々にして、話し手は自分が日々使っている用語や概念の多くが聴衆には全然馴染みのないものであることを忘れがちだからです。
3)「話術」 ここでやっと話術が出てきます。レストランを用いて例えてみるとしましょう。レストランでは、話術は「接客」になります。接客は良いに越したことはありませんが、肝心の料理(=核)が不味くては元も子もありませんよね。これが話術だけでは上手にプレゼンテーションを行うことができない理由です。
しかし、プレゼンテーションの最初に聴衆の好奇心を掻き立てて関心を持ってもらうには有効であり必要なものなのです。
プレゼンテーションが成功するかどうかは、実際にはこれら3つの要素の掛け算で左右されます。しかし、話し方が適切でない、内容に説得力がないなど、もし3つの要素のうちどれかがゼロまたはマイナスであった場合には、プレゼンテーションそのものの価値が失われてしまう可能性もあるため、注意するようにしましょう。
これらのことを意識することで、プレゼンテーションを上手く行えるのはもちろん、自分の意見が求められた時や何か物事を決める時にもきっと役立つはずです。みなさんもぜひ実践してみてくださいね。
(参考) DIAMOND online|プレゼンは話術だけ磨いても絶対上手くならない PRESIDENT Online|プレゼンの盲点!「3つの失敗パターン」にハマっていませんか? PRESIDENT Online|プレゼンのメッセージにインパクトを与える“6つの要件” TED Talks|TEDが素晴らしいスピーチを生む秘密