皆さんは、「かばん持ち」というのをご存知ですか? 今ではあまり知られていませんが、昔は、師匠の行動やノウハウを盗む目的で、かばん持ちや、運転手、付き人さんなどが、政治家や経営者、芸能人、歌手などにいつも一緒について行動しました。このように著名人の世話をしながら技、知識などを学ぶ人を「かばん持ち」と呼びました。
俳優の宇梶剛士さんは菅原文太さんの付き人として有名ですし、政治家も大体は誰かの秘書などをしてかばん持ち時代を過ごしています。
『1日36万円のかばん持ち――三流が一流に変わる40の心得』 小山 昇 著 ダイヤモンド社 2016年
「1日36万円のかばん持ち」の著者、小山さんは、株式会社武蔵野の代表取締役社長で、「独特のユニークな仕組み」による経営で知られています。彼のカバン持ちは、3日間総額108万円を支払って参加する現場研修ですが、立派な経営者の予約でいつも一杯。70人が1年待ちほどの人気らしいです。
経営にとってもっとも重要なことは、3点ー1現場、2環境整備(朝イチばんの掃除)、3経営計画だと口を酸っぱく言ってきました。真実は現場にしかありません。天国と地獄の別れ目は、ほんの些細な着眼点です。
引用 1日36万円のかばん持ち――三流が一流に変わる40の心得 小山 昇著 ダイヤモンド社
小山さんは、明確な評価・人事制度など、「強いしくみ」を作る事の重要性を説きます。一見、破天荒で逆説的に見えるやり方にも、経験に裏打ちされた根拠があります。
1989年の社長就任以来、私は数千人の社長を見てきました。指導した会社は600社以上に及びますが、相談にきた時は8割が右肩下がりで、3割5分は「赤字」です。でも、現在その中で倒産した会社はゼロ。5社に1社は過去最高益です。
引用 1日36万円のかばん持ち――三流が一流に変わる40の心得 小山 昇著 ダイヤモンド社
著書では、「かばん持ち」を体験した経営者との会話と、「三流、二流、一流」の見極めポイントを明文化することで、経営者に必要なエキスが学べます。では、「かばん持ち」で体感できる現場の真理の一部を見てみましょう。
利益の焦点を当てるのは未来
たくさんの経営者を見てきた小山氏は、「三流は目前の利益、二流は今期の利益、一流は未来の利益に焦点を当てる」と言います。
企業にって大切なのは、未来のお客さまに利益を投資していくことです。必要最低限の利益を確保したら、未来に投資する。目先だけのことはどうでもいい。私たちの目標についても同じことが言えますね。
社員のほめ方
また、社員に対しての接し方にも差が出るそうで、「三流は社員をしかり、二流は社員を励まし、一流は社員を褒める」とも述べています。
そういう小山氏は、1日一時間以上社員を褒め、サンクスカードで褒める点をメモして残すなど、社員同士で褒めあう仕組みも作っています。小さなことをたくさん褒めることが大事だそうです。大人であっても褒められて嬉しくない人はいません。トップがこのような姿勢でいれば、社内の空気も当然良くなっていくでしょうね。
ストレスに弱い社員を育てる
さらには、日本独自の「ノミュニケーション」についても述べています。三流経営者は社員と飲まない、二流は社員と月1回飲む、一流は年166回の飲むのだとか。これはほぼ二日に一回のペースですね。
最近の若者はストレス耐性が弱い傾向があるので、少しずつ強くしていい人材にしていくしかありません。そのために、一つは、定期的な面談や飲み会などでのコミュニケーションを増やし、仕事以外のことを本音で話し合う時間を増やすこと。もう一つは、上司は飲み会では傾聴に徹して、相談されるまで具体的アドバイスするのを待つそうです。
どちらも時間をかけて心の健康を守るために辛抱しなければなりませんね。最近は行わない会社も増えている社員旅行も、一体感を増すために、楽しい仕組みにして全員集合させるそうです。
健康の保ち方
最後に、健康状態も述べています。
三流は風邪を引く、二流は風邪をひかないで会社にいる、一流は30年以上風邪をひかず会社にいない(お客さんに会う)。
健康維持は自己管理で、体力がないと社長は務まらず、社員も家族も守ることができない。十分な睡眠、食事、運動(1万歩)、ストレス発散(お酒)など基本をまもるのが不可欠です。やはりリーダーには健康が一番大事です。
*** いかがですか?結果を出している人には必ず「理由」があって、多くは習慣になっているそうです。だとしたら、結果を出している人の習慣を学び、真似するのが近道ですね。
あなたは誰のカバン持ちをやりますか? 真似したい人の一流の行動を分析して、あなたも一流になりましょう。
参考資料 1日36万円のかばん持ち――三流が一流に変わる40の心得 小山 昇著 ダイヤモンド社 ダイヤモンド書籍オンライン 小山昇は、なぜ、『1日36万円のかばん持ち』を出版するのか?――本誌記者による発売前直撃インタビュー【前篇】