人間生きていればいろいろな感情を持つことがありますよね。例えば、楽しかったり嬉しかったりして笑うこと。感動したり悲しかったりして泣くこと。自分の思うようにいかなかったり理不尽な目にあったりして怒ること……。
これらの感情は、時には煩わしく感じることもありますが、メリットもあるのです。今回は、科学的に判明している感情のメリットをお話したいと思います。
笑うこと
笑うことには大きく分けて3つの効果があることが分かっています。
- ナチュラルキラー(NK)細胞が増加し、免疫力アップとがん予防になる
吉本新喜劇や、お笑いのビデオを見た後の血中のNK細胞の活性度の変化を調べた実験があります。その実験結果によると、笑った後の血中NK細胞の活性度は明らかに増加していたそうです。
このNK細胞と呼ばれる細胞は、体内に侵入したウィルスを攻撃したり、がんの発生を抑えたりするものなので、この細胞の活性度が高まることは、免疫力が上がったことに他ならないのです。
今はちょうど風邪をひきやすいシーズンなので、大いに笑うことをお勧めします。毎日笑うことが効果的。作り笑いでも効果があるそうなので、一日一回は笑うようにしましょう。
2. ストレスに強くなる
マウスを使った実験によると、毎日笑っていたマウスの方が、笑っていなかったマウスに比べて、恐怖で足がすくむことが少なかったそうです(くすぐられたり兄弟ラットとじゃれあっているときのラットの鳴き声を、快の感情を表す笑い声とみなすのだそう)。
人間に当てはめて考えれば、毎日笑うことで、ちょっとしたストレスに対しても過剰に反応せずに過ごすことができるということでしょう。
3. 笑うことは運動の代わりにもなる
100回の笑いは15分間のエアロバイクと同じ運動効果を示すそうです。なかなか時間がなくて運動できない人も、笑うことで運動不足を解消できるかもしれませんね。
そういうわけで、笑うことはメリットだらけなのです。是非、毎日笑いましょう。
泣くこと
笑うことと同様に、泣くことにもメリットがあります。
一番のメリットは、ストレスを解消しリラックスさせる効果です。まず、泣いて涙を流すと、涙の中に含まれているストレスのもととなる成分を外に排出することができます。さらに、泣くことは副交感神経を活性化するので、眠っているときと同じくらいリラックスできるんだとか。
ただし、ウソ泣きではだめ。情動(例えば感動)による涙でないと、このような恩恵は受けられないそうです。玉ねぎは使えないということですね。
逆に、男だから、といったくだらないプライドで泣くのを我慢すると逆効果。ストレスが解消されるどころか増えてしまうこともあるそうです。泣きたいときには思いっきり泣きましょう。
怒ること
嫌なことがあって怒りたいことってありますよね。とは言え、なかなか表には出しにくいもの。しかし、表に出せないからといって、怒りをそのまま飲み込んでしまい鬱積していくと、健康に甚大な被害が出る可能性があるそうです。
イェーナ大学の研究グループが、負の感情をため込んでいる人たちの多くが高血圧に悩まされているということを発見しました。またそれに関連して、短気なスペイン人やイタリア人の方が、感情をあまり表に出さないイギリス人よりも寿命が長いことも判明しています。つまり、怒りをそのままため込んでいると、高血圧になり、そして寿命も短くなってしまうということです。
また、負の感情が残っていると、炎症誘発性の遺伝子が発現しやすくなり、病気になりやすくなるというリスクもあるそうです。
そういうわけなので、かならず負の感情は発散させましょう。先ほど挙げた通り、感動する映画やドラマなどを見て泣いてもよいですし、気の置けない友達に愚痴ること、カラオケなどで大声を出すこと、運動すること、趣味に没頭することなども、負の感情を発散してくれます。ため込まずに何かしらしてみましょう。ちなみにヒトカラでもストレス発散になるそうです。安心してください。
*** 感情を制御することって難しいですよね。自分でもよくわからないときに、泣きたくなったり怒りたくなったりすることもあるでしょう。そんなときには、この記事を思い出してください。泣きたいときに泣きましょう。怒りたいときには、ため込まずどうにかして発散しましょう。それが心身の健康へと繋がっていくのです。
(参考) 財団法人神奈川県予防医学協会|笑いはがんを征圧する Daiwa|免疫力を高める、「笑い」の効用 日経電子版|「笑うと健康になる」を遺伝子レベルで検証する 太陽笑顔fufufu|泣いた後には笑顔になれる。人だけが持つ「涙」の力。 Mail Online|Why having a hot temper is 'good for your health': Expressing negative emotions can add two years to your life スーザン・ノーレン・ホークセマ,バーバラ・フレデリックソン,ジェフ・ロフタス,クリステル・ルッツ著,内田一成訳(2015),『ヒルガードの心理学 第16版』,金剛出版. 松本じゅん子,多賀谷昭,北山秋雄(2015),「カラオケとヒトカラによる心身への効果」,信州公衆衛生雑誌,10(1),p.42-43.