Women. Disappointed mature businessswoman thinking over something

はぁ…
ため息をつきながら仕事をしている同僚がいたら、きっと気にしてしまうはず。それが女性ならなおさらのこと。

話を聞くと、どうやら恋人と破局してしまったらしい。心なしか、いつもより仕事も進んでいない。

仕事なんだからそんなこと関係ないだろ、と思う真面目な人もいれば、かわいそうに、じゃあ仕方ないね、と慰める優しい人もいるだろう。

そんな心優しい人には残念なお知らせだ。ポジティブな気分、ネガティブな気分、どちらもその人のパフォーマンスにはあまり影響を与えない、ということが科学的に証明されてしまったのだ。

つまり、仕事が進んでいないのは単なる怠慢か、思い込みにすぎないということ。
今回は、ちょっと残酷な研究をご紹介したい。

badge_columns_1001711幸せな時にアイデアが増えるとは限らない

人間には感情がある。テストで良い点をとれば嬉しいし、上司に叱れれれば悔しい。
気分がはずんでいる時にはなんでもできる気がするし、落ち込んでいる時には何もやる気がわかない。

昔から、創造的な活動をする際には、その人の感情が大きく影響するとされてきた。ネガティブな気分の時にはアイデアは湧かないと思うのが普通だろう。しかし、実験を行ってみると、どうもそういうわけでもないらしい…ということがわかってきたのだ。

例えば米国デューク大のJones氏は、こんな実験を行った。

ポジティブまたはネガティブな洋画の一部を参加者に提示し気分操作を行ったのち、旅行代理店の広告キャンペーンに使用するための標語生成課題を行うよう求めた。実験の結果、ネガティブな気分に操作された参加者は、集団でアイディアを生成する 状況において、アイディアの生成数が上昇していた。(引用元:尚絅学院大学紀要 63 (2012): 31-41.

そう。この実験は、「ネガティブな気分の時ほどアイデアは湧きやすい」ということを示している。これはネガティブな気分が自分のアイデアへの不満を招き、もっといいものを、と考えたことによるんだとか。

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badge_columns_1001711結局、気分は関係ない!?

しかし、それと真逆の研究結果も発表されている。

たとえば、創造的活動に影響を与える社会的要因を分析したAmabile(1983)では、創造性を向上させる要因として、アイディアの重要性の認識および楽しみや喜びといった内的要因を指摘している。(引用元:尚絅学院大学紀要 63 (2012): 31-41.

さらに、ポジティブな感情は認知的柔軟さを高める、つまり幅広いアイデアを生み出せることも知られており、その人のモチベーション自体も高めるんだとか。

じゃあ結局、ポジティブな感情とネガティブな感情、どちらがプラスに働くの??
みなさんそう思ったに違いない。

脳科学が出した答えは、「どちらも関係ない」だ。
そもそもこれらの研究のからくりはこうだ。ネガティブな時には自分のアイデアに不満をもちやすくなるせいで、ポジティブな時にはモチベーションが高まることで、課題に取り組む時間自体が長くなる。そのせいでより多くの、より質の高いアイデアが生まれる、というのが本当の理由なんだとか。

つまり気分上々だろうが暗雲低迷だろうが、ひとつのタスクに時間をかけることが重要なのだ。気分がいいから…悪いから…というのは言い訳にすぎないということ。

***

ちょっと残酷だったが、気分の変化は仕事にはあまり関係ないようだ。だからといって、落ち込んでいる人に「脳科学的にそれは”気のせい”だ!」なんて言わないように。

もしそんなことをして友達を失ったとしても、筆者は一切責任をとらないのでご注意を。

参考
池田和浩. “楽しいときには良いアイディアが生まれるのか?: 想起された記憶の感情価, 認知的覚醒度および思考時間の長さが創造的思考の生成数に与える影響の検討.” 尚絅学院大学紀要 63 (2012): 31-41.


東京大学理科二類所属。県立浦和高等学校および駿台予備校出身。小さいころから自然や生き物に関心を持ち、高校時代に読んだ福田伸一の「生物と無生物のあいだ」に刺激をうけ、分子生物学を志す。テニス歴6年。AKB48の大ファン。