その情報、信じる? 信じない? ネットの記事の真偽を疑い、見極めるための4つの視点

ニュースにまとめサイトに種々のハッキングメディア……。ネット上には膨大な量の情報が流れています。

その中には非常に有益なものから、正しいかどうか検証が必要なもの、はたまたインチキを本当っぽく書いただけの眉唾物まであり、まさに玉石混合。私たちはその中から玉だけを選びださなければならないわけですが、果たしてきちんと出来ているでしょうか。

「ネットやTVで紹介されているから正しい」を疑え

ここ数年話題となっている「糖質制限ダイエット」を例に考えてみましょう。

糖質制限とは、ご飯やパン、麺類、ジャガイモなど炭水化物(糖質)の多い食品を食べない糖尿病患者のための食事療法。糖質だけを控えれば肉や魚は制限なく食べてもよく、カロリー計算のいらない手軽さから糖尿病患者だけでなく、ダイエットをしたい人にも人気となっている。

(引用元:zakzak by夕刊フジ|桐山秀樹さんの急死で波紋 「糖質制限ダイエット」専門家はリスク指摘

ネットやテレビを中心に持て囃されているダイエット法で、医者や専門家の意見を根拠にしているので信頼できる、画期的な方法に思えます。

しかし一方で、

日本糖尿病学会が「総エネルギー摂取量を制限せずに炭水化物のみを極端に制限して減量を図ることは、長期的な食事療法として安全性などの重要な点について これを担保するエビデンス(科学的根拠)が不足している」などと指摘。「現時点では勧められない」とする提言を公表している。

(引用元:同上)

といったように確立された学説ではなく、一部の専門家が提唱し始めたが要確認といった状況のよう。実はこの指摘、つい最近出てきたのではなく、糖質制限ダイエットが登場した頃から言われているものなのです。でも、紹介するときに「このダイエット法を危険だと考える専門家もいます」なんて書かないですよね。そんなことを言ってしまったらその記事の意味がなくなってしまいますから。

このように、メディアは自分にとって都合の良い情報だけを根拠に、持論を展開することが出来ます。特に、誰もが発信者となれるネット上では、単なる持論を綴っただけのものでも、学説と同じように捉えてしまいがちです。「テレビで言っていたから、ネットに書いてあったからと言って正しいとは限らない」と意識することこそが、メディアリテラシーを養う第一歩となるでしょう。

情報の真偽を確かめる

ネットで見かけた情報が正しいかどうか見極めるには、いくつかの視点が存在します。

確立された学説であるか

糖質制限ダイエットの例でもありましたが、裏付ける研究結果が乏しい、長期的な観察が必要などの理由で、その学会では賛否両論である学説が、さも当然かのように説明されていることは多くあります。専門家、有識者という肩書を前にすると、情報を鵜呑みしてしまいそうになりますが、ここでネットを活用しましょう。

その学説名などとともに「危険性」や「真偽」といったワードを検索すると、それに対する見解や学会内での扱いなど、一メディアだけでは得られない情報に多く触れることができます。もちろん、それらの情報の真偽の問題もありますので、最終的に何も信じられなくなってしまう可能性はあります。そのため、情報を信じるかどうかは私たち次第となるわけですが、その判断のコツをいくつかご紹介しましょう。

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定量的な説明がなされているか

定量、すなわち具体的な数値を用いた説明がなされていなければ、その情報は誇張されている可能性が高いです。例えば、「〇〇を食べると脳が活性化するという実験データがある」とあっても、どれだけ食べればいいのか、どれだけの時間、どの程度活性化するのかがわからないですよね。実際は大量に食べてもほんの少ししか効果はないかもしれない。このように、嘘はついていないけど……。といったものが定性的な説明には隠れています。

定量については以下の記事でも紹介しているのでご覧ください。 StudyHacker|最近よく耳にする「定量」と「定性」という言葉。ほんとうの意味を知っていますか?

ただの相関関係を因果関係に装ってないか

Aが起きたときBも起きていたら、AとBは相関関係 Aが起きたためにBが起きていたら、AとBが因果関係

ややこしいですが、このすり替えが、ネット上で間違った情報が流されるときのよくあるパターンです。大学の研究チームなどが発表する「〇〇を飲んだら集中力が上がった」などのデータは、きちんとした対照実験(ある結果を検証するために対象以外の条件を全く同じにして行う実験)を行っているので大丈夫でしょう。しかし、個人の感想などの場合は、他の要因によるものであるかがその情報からは推し量ることが出来ません。その為、ブログやTwitterなどのメディアの情報では、その関係性を見極めることが肝要です。

因果関係と相関関係については以下の記事をご参照ください。 StudyHacker|それってほんとに因果関係?それともただの相関関係?

運営元が信頼できるか、「参考」や「出典」があるか

インターネットの記事を見る時には、最後に「参考」や「出典」といった項目があるかをチェックしましょう。大企業のサイトなどであれば、その会社の信頼性が担保されるのですが、個人のWebサイトやハッキングメディアでは間違った情報、怪しい情報を流していても問題は起きません。

ですので、根拠となる参考元や出典の存在が重要となるわけです。

*** いかがでしょうか。

現代は「ああすれば上手くいく」「こうすれば解決する」という類の甘い言葉がたくさんあります。しかし残念ながら、ドラえもんの秘密道具のように都合よく行くものは多くありません。何事においても、簡単に上手くいくのなら皆がやってるはずですものね。不安や悩みが多い時代ゆえに、万能な解決策を求めてしまうのでしょうか。

奔流する情報の中から正しいものを見つけ出すのは、現代人の必須スキルです。綺麗なバラには棘があるということを忘れずに、情報に簡単に飛びつかないようにしましょう。

(参考) zakzak by夕刊フジ|桐山秀樹さんの急死で波紋 「糖質制限ダイエット」専門家はリスク指摘 StudyHacker|最近よく耳にする「定量」と「定性」という言葉。ほんとうの意味を知っていますか? StudyHacker|それってほんとに因果関係?それともただの相関関係?

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