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記憶力は、受験をひかえた学生はもちろん、大学生も、社会人になってもいつまでも重要なスキルです。受験生は多くの時間を記憶に費やしますし、社会人になってからは「うっかり忘れた」ということが致命傷になる場合も。今回は、記憶力を必要とする全ての人が使える、「記憶力を圧倒的に高める方法」についてお話しします。

もともと持っている記憶と強く結びつける

コリンズとロフタスという学者達が提唱した「活性化拡散モデル」によると、記憶は以下の作業によって強固になるそう。

・記憶は、脳内で意味的な類似度が高いもの同士が結びついて貯蔵されている。
・ある記憶が刺激されると、その記憶に対し、結びつきが強い記憶も刺激され、思い出される。

まず一つ目は、すでに自分が「確実に記憶している事柄」と、これから覚えようとしている「新しい事柄」を結び付けて覚える方法。これにより、既に知っている情報トリガーにして、覚えたい情報も思い出すことができるというわけです。
そして二つ目は、何か新しいことを覚えるときには、自分が持っている類似の知識と関連付けて覚える、という方法。思い出すトリガーは多ければ多いほどいいので、複数の知識と結びつけることはさらに効果を高めます。

受験生は、一つの知識を学んだ時に、その周辺知識も簡単に知ることができる環境にあります。ぜひ先生に聞いたり参考書で調べたりして、類似性が高い情報の引き出しを増やしていきましょう。
また社会人になってから求められる記憶は、受験時代の詰め込み式とは異なるはず。人生経験を重ねたことによって画一的な知識よりもはるかに幅広い知識が自然と身についているはずなので、それを利用して知識を体系立てて行きましょう。

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海馬に働いてもらう

記憶を司ることで有名な海馬ですが、ただでは働いてくれないようです。ではどうすればいいかというと、まず大前提として「規則正しい生活を送る」ということが重要です。詳しくは記憶力は生活習慣で高める! 賢くなるための暮らしのヒントをご覧ください。
その上でさらに海馬を効率よく働かせる方法が2つあります。それは

1.目的を明確にする
2.時間制限を明確にする
です。

1は覚える理由を明確にするということです。海馬は目的のない情報を受け入れてくれません。何でもかんでも記憶させてしまっては、我々の脳は無駄な情報ばっかりになってしまい、いざ必要な情報を取り出しい時や記憶したい時にこんがらがってしまいます。つまり、海馬は実に合理的なのです。
では、具体的にどうすればいいかというと、例えば本を読んでいる時に、「これは明日誰々さんに話してみよう」とか、「この話題は今度のプレゼンの時に使おう」などと意識することです。このように目的を設定するだけでも記憶力にだいぶ違いが出るようです。

2は、いつまでその記憶を維持しておくか、という具体的な時間設定を明確にするということです。例えば「この資料の内容は4日後の商談までは覚えておこう」などと意識します。このように考えることで海馬の負担を最小限にすることができるようです。海馬って本当に優秀なのですね。

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歳をとっても衰えにくい「感情」を使う

一般に歳を重ねると記憶力が衰えていくことで知られていますが、一方で感情を司る部位は衰えにくいと言われています。感情と記憶は密接に結びついており、たとえば楽しかった記憶や辛かった記憶はずっと残っていますよね。以前よりも記憶力が悪くなったと思った際には、衰えにくい感情を伴って記憶することを意識してみましょう。それでは、具体的にはどうするか。

何かを覚えるときには、その覚える情報に対して常に感情を持つようにします。例えば、「この情報は面白い、興味深い」とか「これは不快な情報だなあ」などと思うようにしましょう。こうすることで、記憶が定着しやすくなります。

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今回のポイントをおさらいしておくと、
「記憶の際には覚える事柄と今自分が覚えている事柄とを結びつけること」「記憶の目的や時間制限を明確にすること」「覚える情報に感情を持つこと」の三点。これを意識すれば、一番記憶力が高い中高生はさらに強固に、そして記憶力の衰えを実感している年代の人も記憶力をキープ出来るはず。記憶力を必要とする作業を行う際、ぜひ意識してみてください。

参考文献
『仕事に効く記憶術のキーワードは、記憶を引き出す「アウトプット力」』,日経ビジネスアソシエ,2015年8月,14巻,9号,p.102-103.
日経ビジネスアソシエ|『記憶力の要“海馬”を働かせるコツをつかむ!:「脳の専門家」が語る』
岡市廣成・鈴木直人監修 青山謙二郎・神山貴弥・武藤祟・畑敏道編(2014),『心理学概論 第2版』, ナカニシヤ出版,p.110-111.


早稲田大学先進理工学部物理学科所属。横浜サイエンスフロンティア高校卒業。大学では理論物理学を中心に日々勉強に励んでいる。