『天才とは99%の努力と1%のひらめきである』トーマス・エジソン 『天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず』福沢諭吉
偉人の名言、あなたはどう思うだろうか?確かに立派だけど、なんか偉そうだしちょっと信用ならない……。そんな人も多いのでは?
Study Hackerはそんな偉人たちの名言を脳科学的の観点から徹底分析。ほんとうにその名言が正しいものなのか調べてみた。間違ってるもの、ちょっと言い過ぎなもの、意外にいいこと言ってるもの…。あなたの学習に役立つものを紹介したい。
まずは第一弾。
『困難は分割せよ。』ルネ・デカルト
この名言、聞いたことのある人も多いのでは? これは近代哲学の祖とも言われるデカルトが、著書『方法序説』の中で述べた言葉だ。
どんな難しいことも、すこしずつ分割していけば達成できる。そんなところだろうか。まさに、スローガンの中のスローガンといった感じ。
では、これは科学的にみてどうなのだろうか。
レッツチャンキング!小さいと覚えやすい。
何かを記憶する時、小さく分けると覚えやすかった経験はないだろうか? 電話番号はそのいい例だ。多くの場合、電話番号は数字何個かずつハイフンで分けられていることが多い。07012345678ではなく、070-1234-5678のように。これは、人間がより覚えやすいようにするための工夫だ。
これを、脳科学の分野では「チャンク化」と呼んでいる。 文章を暗記する時も、まるごと一気に覚えようとする人はいないだろう。意味の切れ目、段落の切れ目で分けて覚えようとするはず。
分割することで、よりスムーズに記憶できるようになるのだ。
分割することで試行錯誤を減らす。効率よい学習のために
東大薬学部教授である池谷氏は、自身の著書の中でこんな実験を紹介している。
「画面が赤く点灯している時にボタンを押す」と、ジュースが出てくる装置を用意する。その前にサルを座らせる。はじめはもちろん、サルには何もわからない。
でもあるとき、たまたま画面が赤い時にボタンを押し、サルはジュースを手に入れる。するとサルはまず「ボタンを押すとジュースが出る」と学習し、ボタンを連打する。試行錯誤を繰り返した結果、そのうちサルは「ディスプレイが赤いとき」にジュースが出ることに気付き、ジュースを効率よく手に入れるようになる……。
学習には試行錯誤が必要なことを示す実験だ。池上氏はさらに、
「この学習を、ボタンとジュース、画面点灯とボタンの二段階に分けて行うと、ずっと素早く学習が完了する」と述べている。
つまり、まずはボタンを押せばジュースが出てくるようにして、その課題をマスターできたらレベルアップ、「画面が赤い」という条件を追加する。つまり課題を分割することで、ずっと早く学習が完了するというのだ。
何もわからない状態では、手探りで作業を進めなければならない。でも、ひとつの課題を分割することで、効率がぐっと向上する。
まさに「困難は分割せよ」のいい例と言えるだろう。
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いかがだろうか。さすがデカルト。デタラメなことは言っていないとわかっていただけただろうか。
『困難は分割せよ。』
みなさんも困った時には思い出してみてほしい。
参考 池谷裕二著『脳の仕組みと科学的勉強法』『受験脳の作り方』 wikipedia 「記憶」 記憶の三段階について