グローバル化がうたわれて久しいこの世の中。外国語を学ぶことは一種「常識」であり必須項目のように考えられている。しかし、こんな疑問を抱いたことはないだろうか。

なんで日本人なのに、外国語を勉強しなきゃいけないんだ……。
日本から出るつもりはないのに、なんで英語なんか……。

確かに、仕事の手段としてしか外国語を捉えていないと、そう感じてしまうのも無理はない。小学生の教科として本格的に英語が始まろうとしている今、これは小学生までもが抱えている疑問かもしれない。
今日は、「何のために外国語を学ぶのか」という疑問に正面から取り組んでみよう。

「ことば」は文化そのもの

17歳にして20ヶ国語を操るアメリカの青年、ティム。彼はTED Talksで、言葉を学ぶことの本質について触れた。彼にとって、言語とは単なるコミュニケーションのツールではない。その国に暮らす人の文化や思いをそのまま反映したものなのだ。

辞書をひいて、「ありがとう」のペルシャ語の言い方がわかりました。「これの値段はいくらですか」の言い方がわかりました。「さようなら」もペルシャ語で言えます。これでペルシャ語が話せるようになった。本当にそうでしょうか?

ペルシャ人の方の本屋さんに行って、これはいくらですか?と尋ねるとします。多分、店員さんはこう返すでしょう。

「Ghabeli nadaareh」

この商品に価値はないよという意味です。

(引用:20カ国語を操る17歳の天才少年が語った、「言語を学ぶ」本質が深い・・・

ペルシャには「Taaraf」と呼ばれる謙遜の文化があるんだとか。お店の人は自分の商品を謙遜して「価値がないよ」と伝えるそうだ。こんなことは、ペルシャ語や文化を本当に理解していなければわからない。言葉とは、文化そのものである。20ヶ国語という、常人では到底使いこなせない数の言葉を操るティムだからこそ、達することのできる域なのかもしれない。

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外国語を学ぶもう一つの意味は、「異文化の他者の価値観」に触れることだ。「一生外国に出ない」というのは一つの選択肢として存在する。しかし、日本全体、世界全体を見た時に、国境の消失は避けて通れない現象であり、その傾向は今後もますます顕著になっていくだろう。

今や海外へ出かける日本人は年間1700万、日本へやってくる外国人は750万、仕事して、日本の人口に占める外国籍の人の割合は2%に近づいています。(中略)ものも文化も情報も(犯罪さえ)地球規模で移動しており、これらすべてをひっくるめて考えることが大切です。

(引用:立教大学|なぜ外国語を学習するの?

海外旅行や留学に行かなくても、外資系企業に勤めなくても、外国の価値観は否応なしに入ってくるはずだ。その時、自国の価値観に固執しては、うまくやっていけるはずがない。新たな友人ができた時、彼の価値観を受け入れてあげなければならないのと同じだ。外国語を学ぶことは、文化を知ること。新たな価値観を知る、手っ取り早い方法の一つなのである。

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文句なしに、外国語は美しい。

日本語はうつくしい、とよく言われるが、それは外国語だって同じだ。外国語に訳すのが難しい日本語を取り上げ、日本語は奥が深い、わびさびだ、と賞賛するのをよく見かける。例えば、「わびさび」「切ない」「もったいない」などは外国語に訳すことのできない、日本独特の表現だ。

たしかに、日本独自のことばは美しいし、素晴らしい。でも外国にだってこうした概念や考えはある。

言葉:Waldeinsamkeit(ヴァルトアインザムカイト)

言語:ドイツ語

意味:森の中で一人きりになっている気分

(引用:YOSO-WALK|世界の“他の言語には訳せない”ユニークすぎる独自の言葉5選【第一弾】

自然とのつながりを感じ、一人リラックスする気分を指すこの言葉。古くから森との関わりが深いドイツならではのことばだ。

言葉:Iktsuarpok(イクツアルポーク)

言語:イヌイット語

意味:誰か来るのではないかと、ついつい外を見てしまうような期待感

(引用:YOSO-WALK|世界の“他の言語には訳せない”ユニークすぎる独自の言葉5選【第一弾】

とても詩的な表現だ。遠い北限の地でも、人は誰かの訪問を待ちわびているのだろう。

言葉:l’esprit de l’escalier(エスプリ・デ・エスカリエ)

言語:フランス語

意味: あの時こう答えていれば、こうすればよかったと不意に思ってしまう現象

(引用:OCCULuTION|精神が引き起こす不可解な現象10種より一部改変して引用)

これらの語を聞いて美しさにハッとしたり、「その国ではそんな価値観があるのか」と驚いたのではないだろうか。このような考え方や概念は、当然外国語を勉強しなければ理解できない。外国語を学ばなければ、様々な異なる文化的背景を持つ人々がどのように世界を切り取るのか、それを知らずに終わってしまうのだ。

***

ことばとは、その人がどのように世界を捉え、見るのかを直接表現する手段だ。外国語を学ぶことで、外国人がどんな風に考えるのか、そこまで知ることができるはずだ。

俺、日本人だし……。外国で働くなんて絶対ないし。
そんな考え方は、今日でおしまいにしよう。

参考:
20カ国語を操る17歳の天才少年が語った、「言語を学ぶ」本質が深い・・・
立教大学|なぜ外国語を学習するの?
YOSO-WALK|世界の“他の言語には訳せない”ユニークすぎる独自の言葉5選【第一弾】
森と自然と環境
OCCULuTION|精神が引き起こす不可解な現象10種