「自分は中身で勝負したいから、外見なんて気にしない」 こんな考えのもと仕事をしている人は、知らず知らずのうちに損をしているかもしれませんよ。もちろん中身は重要です。しかし、“良い外見” なくして仕事での大成はあり得ないのです。
なぜ、見た目を軽視するのはマズいのか? その理由を探ります。
外見が魅力的な人は得をしまくる
現在ロンドン大学ロイヤルホロウェイ校の教授を務めている経済学者ダニエル・S・ハマーメシュ氏は、自身の著書『Beauty Pays: Why Attractive People Are More Successful』の中で、男女両方において、外見が魅力的な人々は平均以下の人々よりも平均3~4%多く収入を得ており、より早く雇われ、より早く昇進する傾向にあると言及しています。
仮に持っている能力が完全に同じである2人の人がいたとしたら、外見がより魅力的な人を選んでしまうのが心情というものです。見た目が良い人のほうがより多くの成功を得ているのも、その影響が多分にあることは否めないでしょう。
また、立正大学心理学部名誉教授である齊藤勇氏によれば、第一印象は0.2秒で決まるうえ、ある方向に心が動き始めるとそのまま同じ方向に動いていくため、最初に与えた印象がその後の評価にもつながるのだそう。その人と長期的な関係を見込める場合は、第二印象や第三印象でもリカバリーが叶うかもしれません。とはいえ、外見で相手に好印象を与えることは、これから信頼関係を構築していこうという初期段階ではとても重要なのです。
ここまでの話をきくと、「もともと顔立ちやスタイルが良くないと意味がないのではないか」と思うかもしれませんね。しかし、もとの顔やスタイルに関係なく、これから外見を魅力的にしていくことは十分可能です。以下、3つのポイントについて、外見を磨くための具体的な方法とその効果をご紹介しましょう。
「髪型」でイメージをコントロールできる
まずは「髪型」について、アメリカの政治家・弁護士であるヒラリー・クリントン氏を例に挙げてみましょう。彼女は、ファーストレディとして当時の大統領ビル・クリントン氏を支える立場だった頃には、優しさと落ち着きを感じさせる長い髪でした。ところが議員時代では、強さを見せるようなショートヘアへと髪型を大きく変えています。
顔のなかで最も目を引く「髪型」を通してできること、それは「自分が相手に与えたいイメージのコントロール」です。逆に言えば、そのシーンやシチュエーションに似つかわしくない髪型の場合は、その印象がマイナス方向に働いてしまいます。仮に取引先の男性担当者が、伸びきったぼさぼさの髪で現れたらどうでしょう。名刺交換をした女性が、奇抜な髪色をしていたらどうでしょう。「この人を信用したい」とは絶対にならないはずです。
プレゼンテーション・アドバイザーの澤円(さわ・まどか)氏は、「Aさんって〇〇の人だよね」の「〇〇」に入るようなトレードマーク(=タグ)を身につけることが、自分の印象を相手に残すうえで有効だと伝えています。そして「髪型」は手軽で効果的なのだそう。
私の場合には「長髪」がトレードマークになっています。(中略)こういったちょっとした工夫は、印象付けにはとても効果的であり、すぐにタグがつけられます。
(引用元:ダイヤモンド・オンライン|成功する人は「仕事」と「見た目」のタグ付けがうまい)
常識的で清潔感ある髪型にするのは当然のこと、一歩先を行きたいのであれば、髪型を「印象づけるためのツール」に使うのもいいかもしれませんね。
「歯」でプレゼン結果が決まる
審美歯科を専門としているノブ・レストラティブ・デンタルオフィスの北原信也氏は、「歯」の重要性を次のように語ります。
海外でのビジネスシーンにおいて、歯並びの良し悪しでプレゼン結果が左右されたという話を聞いたことがあります。たかが歯並びでと思うかもしれませんが、審美歯科の意識が高い欧米諸国では、仕事への評価に影響しかねない。
(引用元:ハフィントンポスト|健康にも。ビジネスにも。最大の効果をもたらすものは“美しい歯”だった ※太字は筆者が施した)
また、人に好印象を与えやすい「笑顔」についても、相手はまず目を見るものの、その次は歯に意識が向くのだそう。そこでもし、歯並びが悪かったり歯垢がたくさんついていたりするのに気づいてしまったら、相手はあまり良い印象を持ってはくれませんよね。
灯台下暗し、「歯」はなかなか意識しづらい部分ですが、定期的に歯科へ通うなど、お手入れを習慣化してみるのはいかがでしょうか。そしてもちろん、毎日の丁寧な歯磨きは欠かさないことも忘れてはなりません。
「服装」は選挙結果を左右するほどの威力を持つ
みなさんは、仕事のときの服装にまで気を配れていますか? スーツ着用が義務づけられている人、私服勤務が許可されている人、さまざまいると思いますが、どこかが少し崩れているだけで、印象はガタ落ちです。
アメリカの科学誌『Science』に発表された、プリンストン大学の心理学者であるアレクサンダー・トドロフ氏の研究によれば、選挙において有権者は候補者の外見から能力を判断して投票していることがわかったのだそう。
アメリカの大統領選挙時においても、外見の効果が結果を左右したことがあります。1960年、民主党のジョン・F・ケネディ候補と共和党のリチャード・ニクソン候補が激しい選挙戦を繰り広げていたときのことです。最初、多くの政治評論家は、政治家としてのキャリアが長く演説も巧みなニクソン候補が勝つだろうと予測していました。しかし、テレビ討論によって流れは一変、ケネディ候補が勝利したのです。これはテレビ討論における2人の服装の違いが生み出したものだと指摘するのは、イメージコンサルタントの川園樹氏です。
例えば、ニクソン候補が体型に合わないぶかぶかな色の薄いスーツを着て、ジャケットの前ボタンも留めていたのに対し、ケネディ候補は体型にフィットした濃い色のスーツを着て、前ボタンは外していました。その結果、ケネディ候補のほうが自分をコントロールしているように見え、堂々としているように感じられたのだそう。ニクソン候補とケネディ候補の服装が反対であったなら、もしかするとニクソン候補が勝っていたかもしれませんね。
このように、服装を整えることで、外見から発信される情報を利用し魅力を高めることが可能となるのです。
*** みなさんも、お伝えした外見に関するそれぞれのポイントについて自分の魅力が高まるような工夫をしてみてください。仕事にもきっと良い効果を得られるでしょう。
(参考) Psychology Today|The truth about why beautiful people are more successful プレジデント・オンライン|第一印象は0.2秒で決まり評価につながる ダイヤモンド・オンライン|成功する人は「仕事」と「見た目」のタグ付けがうまい ハフィントンポスト|健康にも。ビジネスにも。最大の効果をもたらすものは“美しい歯”だった プレジデント・オンライン|7割の人は「外見だけ」で相手を判断する