かつて日本のテニス会をけん引したトッププレイヤー松岡修造氏。プロ引退後は、指導者として後進選手を育成する傍ら、選手時代の経験などから学んだことをもとに様々な書籍を著しています。「熱い人」というキャラクターでバラエティー番組などでも人気ですが、現役時代は華やかな活躍の裏で大変な苦労をしながら世界を転戦していました。そんな松岡氏の、リアルな経験に基づいたアドバイスは、説得力のあるものばかり。
テニスの試合中は、緊張と弛緩が絶え間なく繰り返されています。勝ち続けるためには、どんな状況でも集中力を保ち続けることが必要。戦い続けてきた経験に裏打ちされた松岡氏の精神コントロール法は、テニスやスポーツと縁がない人でも、仕事や日常に活かすことができるのです。
ストレスにさらされることの多い現代社会を生き抜くコツとして、松岡氏のアドバイスをいくつかご紹介します。
イライラしたら、自分の半径1メートルにマイシールド
現役時代、気持ちの浮き沈みの激しさを乗り越えるために様々なメンタルトレーニングを行ったという松岡氏。これは、感情的になってしまいそうなときの対処法の一つだそうです。
自分の周囲に半径1メートルのバリアを張って、外界との関わりを完全に遮断するイメージを持ちます。そしてそのバリアの中で、1分ほどかけていったん感情を整理して、再び冷静な状態に戻るようにします。
仕事に納得がいかずイライラしたとき、満員電車でストレスを感じたときなどに役立ちそうですね。
怒りは誰かに話す
こちらも、感情的になりそうなときの対処法。嫌なことがあったときの状況を身近な人に聞いてもらい、感想やコメントを言ってもらうという方法です。相手は第三者ですので、客観的に状況を分析し冷静なコメントをもらうことができます。そうすると、熱くなっていたときの感情が次第に引いていき、素直に状況を受け入れ、気持ちを整理することができるのです。
この方法で注意すべきことは、中立な立場の人に話すことです。そうでなければ、話を聞く側も客観的な分析ができません。松岡氏は、妻と口論した際には、子供たちに話を聞いてもらうそうです。
仕事で感情的になりかけたら、別の部署にいる同期に冷静なコメントを求めましょう。きっと気持ちが落ち着くはずです。
嫌なことは呼吸法で笑いに変える
嫌なことがあったときや緊張したとき、松岡氏は呼吸法によって忘れるようにするようです。その呼吸法とは、お尻の穴に力を入れて、腹筋に集中して鼻から空気を吸い込み、頬を膨らませながら思いっきり息を吹き出すというものです。その時に肝心なのが、忘れたい嫌なことを一緒に吐き出すイメージを持つことです。
松岡氏いわく、この呼吸法のいいところは「真剣にやればやるほど、途中で馬鹿らしくなって来て笑ってしまうこと」だそうです。そのうち、嫌なことを忘れ、気が付けば笑顔になっているのだとか。
プレゼンや面接前の緊張、人間関係のイライラは、この呼吸法によって解消することができそうですね。
ストレスを数値化する
現役時代、メンタル、技術、体力を数値化し、それをもとに戦略を立てて試合に臨んだという松岡氏。数値化することによるメリットは、自分の状態を客観的に確認でき、安心材料にもなるという点。このやり方が日常生活にも応用できるのです。
ストレスを感じたらマイナス、ストレスが解消されたらプラスの点を付け、プラスマイナス0となるように生活するのです。その数値を、毎日手帳などに記録していきましょう。そして、その数値を一日の過ごし方の指針にするのです。例えば「昨日はマイナス5だったから、今日はプラス5のリカバリーをしよう」という目標を立ててみましょう。このように自分を客観的に見続けることで、ストレスに惑わされることも減っていくのです。
*** いかがでしょうか。
ストレスを感じることが何かと多い現代社会ですが、ほんの少しの工夫で気持ちのよい毎日を送ることは可能です。松岡氏のアドバイスをヒントに、自分なりのストレス対抗手段を見つけてみてくださいね。
(参考) 松岡修造 著(2015),『解くだけで人生が変わる! 修造ドリル』,アスコム.