「もう少し記憶力が高ければ、暗記がラクになるのに」
勉強していると、記憶力を高めたいという願望が出てきます。
記憶力が劇的に高まる魔法の薬はありませんが、注意力や記憶力が促進される状況はあります。
それはどんな状況かというと、危機的な状況です。

危機的な状況といっても、なにも命を危険にさらす必要はありません。
脳は寒いときと空腹のときに危機感を感じます。
これをもとに、記憶力を高めた状態で勉強できる環境にするためにはどうすればよいか、考えてみました。

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badge_Columns_100寒いときに暗記をする

まずは寒さについて。
凍えながら勉強して、風邪をひいてしまっては意味がありません。
寒いときは着込んだり暖房を使用したりして、快適な環境で勉強したいですよね。
でも、暖房を使用すると空気が乾燥します。
空気が乾燥すると、喉や鼻の粘膜も乾燥し、ウイルスが侵入しやすくなります。
そのため、暖房の効いた部屋で長時間勉強する場合は、換気をする必要があります。
窓を開けて空気を入れ替えているとき、空気が少しひんやりしていると思います。
そのときが暗記のチャンスです!
突然冷たい空気にさらされて、脳は危機感を感じているはず。
記憶力が促進されている状況です。
そのタイミングで数学から世界史に切り替え、集中して暗記しましょう。

でも、窓を開けている時間はたった数分。
もっと長時間記憶力を高めていたいという人は、冷却シートを額に貼るというのはいかがでしょうか。
ただし、足はちゃんとあたたかくしておいてください。
「頭寒足熱」という四字熟語があるように、頭を冷やして足を温めると健康に良い上、記憶力もアップするということですね。

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badge_Columns_100お腹が空いたら暗記をする

寒さだけでなく、空腹も生物にとっては危機です。
空腹と脳の関係を調べた実験があります。
イェール大学のホーバス博士は、「グレリン」という消化管ホルモンに着目しました。
グレリンは胃が空っぽのときに放出され、血流に乗って脳に届けられます。
空腹になると食欲が湧いてくるのは、グレリンが視床下部に作用すると食欲が増進するしくみになっているからです。
ホーバス博士は、グレリンが学習に必須な脳部位である「海馬」にも強く作用することを発見しました。
グレリンが海馬に届くと、シナプスの数が30%も増え、シナプス活動の変化率が増大するというのです。
グレリンと投与したネズミは迷路を解く能力が高まり、グレリン遺伝子の働かないネズミはシナプス数が正常よりも25%ほど減り、記憶力も低下します。

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上記の実験結果から、空腹時は記憶力が促進されていることがわかります。
でも、お腹がすいたらご飯やお菓子を食べたくなりますよね。
それを我慢するとストレスが溜まり、逆に勉強がはかどらなくなってしまう恐れがあります。
わざわざ食事を抜いて空腹の状況を作り出そうとする必要はありません。
暗記する時間帯を工夫すればいいのです。
朝食や昼食、夕食の前はお腹がすいていますよね。
食事の30分前に暗記を始めて、30分間集中するというのはいかがでしょうか。
これなら記憶力が高まっている状況で暗記することができ、ストレスもなく続けられそうです。

***
寒さと空腹は勉強の敵だと思っている人もいるかもしれませんが、敵にするのではなく、勉強にうまく利用してみてください!

【参考資料】
池谷裕二、2010年『脳はなにかと言い訳する 人は幸せになるようにできていた!?』新潮文庫

Diano S, Farr SA, Benoit SC, McNay EC, da Silva I, Horvath B, Gaskin FS, Nonaka N, Jaeger LB, Banks WA, Morley JE, Pinto S, Sherwin RS, Xu L, Yamada KA, Sleeman MW, Tschöp MH, Horvath TL. Ghrelin controls hippocampal spine synapse density and memory performance. Nat Neurosci 9:381-388, 2006.


東京大学文学部行動文化学科社会学専修課程。ノートルダム清心高校卒業。大学ではセクシュアリティについて勉強している。忍者が好き。服のセンスとユーモアのセンスがほしい。