以前、「東大女子オススメ!犬と一緒に勉強して試験に強くなる方法」で、アウトプットの練習をすることの大切さについて書きました。アウトプットの練習をしておくことで「理解したつもり」を防ぎ、試験の問いに的確に答えられるようになるという内容です。その方法として、犬に話しかけることをオススメしました。
あのコラムを読んで、実際に犬に話しかけてみた人はどれだけいるでしょうか。 犬でなくても構いませんが、アウトプットの練習をちゃんとしていますか?
今回は、「アウトプットが大切なのはわかるけど、面倒だし、時間もかかるから」という理由で実践できていない人の背中を、もうひと押ししたいと思います。
インプットとアウトプットを繰り返そう
アウトプットはインプットよりも面倒で時間がかかります。 ひたすらインプットをして知識を詰め込んでいった方が、効率が良いような気がするかもしれません。 しかし、実はひたすらインプットを繰り返すより、インプットとアウトプットを繰り返す方が記憶の定着が良いという研究結果があるのです。
The critical importance of retrieval for learningという論文では、外国語の単語を覚えるためには、単語リストを何度も眺めてインプットしていくよりも、アウトプットとインプットを繰り返した方が記憶の定着が良いことが示されています。
A:単語をひたすら覚えていくが、確認テストはしない(インプットのみ) B:確認テストはするが、勉強し直さない(アウトプットのみ) C:覚えることも確認テストもしない(インプットもアウトプットもしない) D:勉強と確認テストの繰り返し(インプットとアウトプットの繰り返し)
上記の4パターンのうち、一番記憶の定着が良いのがDです。 単語リストを何度も眺めて知識を詰め込んでいくのがインプット。 確認テストは知識の出力、すなわちアウトプット。
アウトプットはインプットの結果だと思いがちですよね。 それも間違いではありませんが、実は確認テストというアウトプットによって記憶はより定着しやすくなるのです。
それは、繰り返しのアウトプットによって、脳が「この情報はこんなにも多く使われるのか!」と重要性を判定するから。 使用頻度が高い=重要である、という風に認識するわけです。合理的ですね。
知識をひたすら詰め込んでいく方が効率が良いような気がしますが、記憶を定着させるためには、アウトプットの機会を増やす必要があるのです。
単語暗記ならこの方法で。
すなわち、外国語の単語を暗記するためには、次の手順を繰り返すことが一番効率が良いと言えます。 1:確認テスト 2:間違えたら覚える 3:間違えたところの確認テスト
とにかく、まずは確認テスト(アウトプット)をすることが大切です。
犬に話しかける勉強法が有効であることは、研究によってちゃんと証明されていたんですね。 みなさん、ぜひインプットだけではなく、アウトプットもしてください! 試験に強くなるだけでなく、記憶の定着も良くなります!!
参考資料 池谷裕二・中村うさぎ、2013年『脳はこんなに悩ましい』新潮社 Karpicke, Jeffrey D. and Henry L. Roediger III (2008) "The Critical Importance of Retrieval for Learning," Science, Vo.319, No.966, pp.966-968

