「妄想」と聞いてあなたはどんなことを思い浮かべるだろうか? ありもしないことを思い浮かべてニヤつく……。
こんなところを思い浮かべた人が多いだろう。 でもそれはちょっと古い。今回ご紹介する「妄想」とは、現状とは違う自分をイメージしてそれに近づこうとすること。とってもポジティブなものだ。
成功する自分をイメージせよ!「妄想」が脳を変える
ポジティブな妄想、とは「なりたい自分を思い浮かべる」こと。
誰しも、何かしら目標や夢があるはずだ。資格の取得、大学合格、ダイエット成功……。それを達成した自分を、思い浮かべてみてほしい。
人の脳には、「ミラーニューロン」と呼ばれる神経細胞があると言われている。別名は「共感細胞」とも言われる。これが働くと、他人のようすや行動を見ると、それが自分にも反映されてしまうんだとか。もらい泣きが代表的なものだろうか。
脳科学者である中野信子氏は、その「ミラーニューロン」について、こんなことを語っている。
成功者の考え方や生き方を目の当たりにすると、それが勝手に脳にコピーされる。そうすると、成功者の自己イメージが、自分の自己イメージと重なって、自然に行動や結果に反映されていくのです。 中野信子著「脳はどこまでコントロールできるか?」より
成功した自分を思い浮かべる。それだけで真の成功者に近づけるというのだ。人間の脳って案外、だまされやすいのかも。
創造性をうむ。妄想の時間は値千金。
でもそんなことを言うと、
「まずは目の前の仕事を片付けろ!」 「できないことを考えるよりは手を動かせ!」
なんて言葉が飛んで来そう。でも、妄想している時間は無駄なものなんかじゃない……そんな研究結果が出されている。セントラル・ランカシャー大学のMann博士によれば、妄想は、斬新なアイデアを生む「水平思考」を可能にするとのこと。
今ある証拠や状況から分析的・論理的に考えていくのを「垂直思考」と呼ぶのに対し、「水平思考」とはいろいろな視点から物事を見て、直感的にアイデアを出していくことをさす。 (wikipedia 水平思考)
Mann博士は退屈な作業やミーティングなど、「妄想を生みやすい」環境に被験者を置き、創造性のテストを実施。すると被験者は、かなり高い創造性を発揮したんだとか。
確かにひとつのことに集中し、みっちりと作業しなければいけない時もあるだろう。でも、妄想できるくらいの余裕がなければ、創造性は生まれないのだ。
またカナダのブリティッシュコロンビア大の研究では、人は1日の15~40%ほどの時間を妄想するのに当てているとのこと。本来人は妄想する動物なのだ。
ぼんやりと空を眺め、妄想にひたってみる……そんな時間も必要なのかもしれない。
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もし空がとべたら…この妄想がなければ、飛行機はうまれなかっただろう。 遠くにいるあの人と話せたら…この妄想がなければ、電話だって存在しなかったはずだ。
妄想は、人を動かし、脳を活性化させる重要な働きのひとつなのかも。くだらない、とバカにする前に、自分の夢を妄想してみては?
参考
中野信子著「脳はどこまでコントロールできるか?」 Mail Online | Another boring meeting? Don't despair, daydreaming at work 'will boost your creativity', study shows

