単語の暗記をやって、数学の過去問と英語の文法問題もやって……。一日は24時間もあるはずなのにあっと言う間に1日が過ぎてしまう。計画を立てたのに途中で疲れたり、実行不可能になってうまくいかなくなる。このような経験は誰にでもあるでしょう。しかしそんな時に「自分でなんてダメなんだ……」と自分を責めることはありません、世の中の全員が同じような経験をしているのです。 それでは世の中で色々な仕事を効率よく片づけているビジネスマンはどのような方法で仕事をこなしているのでしょうか。
マルチタスクとシングルタスクの使い分け
そのキーワードとなるのは、マルチタスクとシングルタスクです。マルチタスクとは、元々は1台のコンピュータで同時に複数の処理を並行して行うOSの機能を指す用語でした。この動きを人間の動作になぞらえ、色々な仕事を並行してすることを指します。例えば、単語帳を暗記していて、飽きてきたら古文単語の暗記に切り替える、といったようなやり方です。 逆にシングルタスクとはある仕事をやり切るまで他のことをしないことです。勉強や仕事を効率よく進めるためにはこのマルチタスクとシングルタスクを上手く切り替えることが必要です。
単調になりやすい勉強にはマルチタスク
単語の暗記や英文法の問題集など、同じ作業の繰り返しにはマルチタスクが有効です。単調になりやすい仕事はマルチタスクにして短時間で頭を切り替えることによって、常に新鮮な気持ちを保つことができます。動作を頻繁に切り替える(つまり今の例でいえば、参考書を取り換える)ことによって行動パターンがリセットされるために眠気などを感じにくくなるというわけです。 このときのポイントは自分の気持ちのおもむくままに勉強内容を切り替えることです。
じっくり考える場合はシングルタスク
逆に数学の問題などにはシングルタスクが有効です。問題によって臨機応変に解き方を変えなければいけない時には、他の情報をシャットアウトしてより深く考えることが必要となります。そのような時には「この問題をやり切るまで他のことはしない!」と心に決めて取り掛かることが大切です。
MIX!マルチとシングル
ここが最後にして最大のポイントです。一日の勉強の計画を立てるときにはマルチタスクとシングルタスクの両方をバランスよく入れましょう。マルチタスク↔シングルタスクの思考回路の切り替えが脳をリフレッシュさせ、集中力を持続させます。
具体的に週末の勉強計画を例にすると、以下のような感じです。 12:00-13:00 英単語/日本史一問一答/英文法問題集(マルチタスク) 13:00-14:00 数学過去問(シングルタスク) 14:00-15:00 生物一問一答/英単語/世界史穴埋め問題集(マルチタスク) 15:00-16:00 センター数学復習(シングルタスク)
マルチタスクは効率を下げる!?
さてここまでマルチタスクとシングルタスクの効率について話してきましたが、最近の研究では「マルチタスクは40%も効率を下げる」という結果が出たり、マルチタスクは脳に損傷を与えるという研究結果が2010年の英科学誌『ネイチャー(オンライン版)』で発表されました。マルチタスクをするためには大量のアドレナリンが放出され、それにより脳細胞がダメージを受けるそう。この場合の「マルチタスク」は、「テレビ会議をしながらレポートを書く」「音読をしながら英単語の暗記をする」というような、同じ時間に複数のことを行う「マルチ」。勉強法で紹介したマルチタスクは、1時間という単位で見れば複数の勉強を行っていますが、同じ時間に別のことを平行して行うことはありません。そういった意味では「瞬時に切り替える方法」とも言えるかもしれません。
*** 仕事でも勉強でも、「深く考え込んだ方が良いのか」「集中力を途切れさせないために、短時間で切り替えた方が良いのか」、内容に応じて考えながら進めてください。
【参考文献】 IT用語辞典 マルチタスク コトバンク シングルタスク 財経新聞 マルチタスクによる脳へのダメージは回復不可能 記憶力アップの方法 脳を効率的に使う