人の名前を覚えるのは難しいと思っている方、多いのではないでしょうか。初めて会ったその日から期間を開けて再会したら、名前がきれいさっぱり頭から抜け落ちていたという経験、一度や二度はあるかもしれません。
名前に関するハプニングは思い出しただけでひやひやしますが、そもそもどうして名前を覚えるのは大変なのでしょうか? そして、どうしたら名前を覚えることができるのでしょうか?
今回は、名前と記憶について考えてみたいと思います。
顔と名前には関連性が薄いから覚えにくい
人の名前と顔を覚えることに悩んでいる方が多いのはなぜか。名前と顔を覚えるのは相当に難しいことである理由は、以下のように説明することが可能です。
私たちは名前を覚えるとき、顔と名前という二つの情報を覚えることになります。ここで厄介なのは、顔と名前の間には強い関連性がないということ。例えば、目の前にパソコンがあるとします。このように言うと、皆さんが思い浮かべるものはだいたい同じで、箱のような物体を思いうかべるでしょう。
しかし、「高橋」という名前の人がいたとします。「高橋」と言われて思い浮かべる顔はみんな同じでしょうか? きっと違うはずです。
このように、顔と名前は関連性が薄いため、記憶しにくいのです。
顔と名前を一致させる3つのポイント
では、顔と名前を覚えるにはどうすればよいのでしょうか?
まず記憶するうえで心に留めておいてほしいのは、「絶対に覚えるぞ」という強い意思を持つこと。先ほども紹介した通り、人の顔と名前を覚えるのは難しいことなので、「いつか覚えるだろう」といった程度の気持ちでは、いつまでたっても覚えられません。筆者自身、高校時代にそのような思いでいたため、15人程度いた部活の後輩の名前を完全に覚えるまでに半年以上かけた経験があります。しかも、ほぼ毎日顔を合わせていたのにもかからわらず。「絶対に覚える」という気持ちを、ゆめゆめ忘れてはいけませんよ。
心構えができたら、次は名前を記憶していきます。その時、ベイカーベイカーパラドックスを利用するとよいのだそう。ベイカーベイカーパラドックスとは、「ベイカー」という単なる文字情報よりも、「ベイカー(パン屋)」というその人の背景のほうがよく記憶されるという心理現象です。つまり、相手がベイカーさんという名前なら、「ベイカーさんはパン屋をやっていそう」というイメージを勝手に作り上げると、名前を覚えやすくなるのです。
最後に、「一度覚えたらそれで終わり」にはしないでください。どこでも言われていることですが、記憶の定着には復習が不可欠です。会話の最中に何度も名前を呼ぶようにしてみたり、もらった名刺に相手の印象を書き込んだりするなど、とにかく何度も相手の顔と名前を反芻するようにしてみてください。そうすれば次に会ったとき、すんなりと名前を呼ぶことができるはずです。
それでも忘れてしまったときは……
こんなに頑張って覚えても、忘れるときは忘れてしまうもの。残念ですが、人間は忘れる動物です。忘れてしまうことを嘆くのではなく、どうやって相手の名前を聞き出すかを考えるのが賢明でしょう。
もしも名前を忘れてしまったら、
相手に「お名前ってどんな漢字でしたっけ?」と聞き、名字を答えたら、「あっ、いやぁ名字じゃなくて下の名前です。漢字でどう書くのかなと思って」
(引用元:J-cast会社ウォッチ|田中角栄も使った「下の名前はなんだっけ?」)
と言うと、相手を傷つけずに名前を聞き出せるそう。
この方法は、元総理大臣の田中角栄氏が実践していたものだそうです。名前を聞かれたら、普通は苗字を名乗ってしまうでしょう。人の心理に則った上手な方法ですね。
大蔵大臣に就任したとき、大臣室に来た官僚全員の名前をフルネームで呼んだという逸話を持つ角栄氏。そんな彼ですら、名前を忘れてしまうことへの対策を行っていたのです。
忘れないことがベストであることに変わりはありません。しかし、万が一忘れてしまったときのために、何らかの方法を持っているといいですね。
*** いかがでしょうか。人の名前を覚えるのに大切なポイントは、 1、名前を覚える意思を持つ 2、名前をその人の背景と関連させてイメージする 3、後で復習する の3つです。この3つのポイントを意識することで、名前を覚えてより親密な人間関係を築いていってくださいね。
(参考) J-cast会社ウォッチ|田中角栄も使った「下の名前はなんだっけ?」 DIAMOND Online|仕事のできる人はやっている!人の顔と名前を覚える簡単な方法 非リア充秘密基地|名前と顔の一致が難しい理由を日本一分かりやすく解説